(10)別荘の修繕金額を「相見積もり」から考える
今回は、足場の設営、屋根の葺き替え、外壁の修繕&塗装工事の見積もりについて、少々突っ込んで考えます。
前回、外装をガッツリ修繕することを心に決めましたが、気になるのは予算のこと。
早速、屋根を見てもらった業者さん(A社)に見積もりを出してもらいました。
さすがに100万はいきませんでしたが、税抜きでこの金額(849,000円)です。
もともと屋根だけ洗浄するつもりでしたから、心の中で想定していた金額の3倍くらいまで跳ね上がった印象。
さて、家を建てたり直したりしたことのある人なら誰しも一度は考えるのは「この見積もりってほんとに適正なの?」(「ひょっとしてボラれてないの?」)っていう疑問ではないでしょうか?
そんなとき、いちばんスタンダードな解決方法はいわゆる「相みつ」(相見積もり)を取ることです。
「複数の業者さんに見積もりを出してもらってくらべる」ということですね。
「相みつ」にいたるまでの経緯はあとあと説明するとして、もう一社(B社)で取った見積もりをごらんください。
796,000円ということは、A社の849,000円とくらべて、およそ5万円の差。
パッと見、この差額にばかり目がいきがちですが、ちょっと待ってください。
まずご注意いただきたいのが、それぞれの見積もり書で書き方の形式や用語のチョイス、項目の立て方が異なるということ。
これでは、ちょっと見比べただけでは、どの項目がどの項目に対応しているか、わかりづらいですよね。
(今回の相見積もりでは、それぞれの業者さんからの独自の提案も含んでいるので、そのちがいもあります。)
では、2つの見積もりをつきあわせて情報を整理してみましょう。
比較できる箇所を色分けしました。
まず、足場(グリーン)については、
A社が80,000円と見積もっているのに対し、
B社は180,000円と大きく差があります。
次に、外壁塗装(レッド)ですが、
A社は160,000円、
B社が164,800円(112,600円+52,200円)と大差なし。
高圧洗浄(オレンジ)は、
A社が25,000円、
B社が14,080円。
軒天の修繕(ブラウン)については、
A社が65,000円、
B社が80,000円。
最後に、屋根の葺き替え(ブルー)ですが、
A社が324,000円に対し、
B社は220,000円とこれまた差があります。
項目ごとに金額の開きはあるのですが、合計してみると、
A社は「654,000円」
B社は「658,080円」
と、ほぼほぼ同じ金額でした。
乏しいながらも経験則でいうと、「激安」とか「高級品質」とかを謳う一部の業者を抜かせば、わりと同じくらいの見積もり金額に落ち着くことが多い、という印象があります。
じゃあ、同じくらいの金額の場合、どうやって判断したらいいの?という話は次回に譲るとして、最後にもう少しお金の話を。
上に挙げた2つの見積もりを比較して、両者のいいとこどり(安いとこどり)を目論む方もいるかもしれません。
たとえば、A社に対し「B社は22万で屋根をやるって言ってるぞ。10万下げろ」と要求するわけです。
(もちろん、A社がB社より足場で10万円安く見積もってくれていることは棚に上げて、です。)
少しでも工事代金を安くしたい気持ちはだれにでもありますし、強引に交渉すれば通ることもあります。
ですが、それぞれの業者さんに得意・不得意がありますし、金額でがんばれるところ・がんばれないところがあるのが現実。
そういうもろもろ含めて全体的に帳尻を合わせた結果が見積もり金額だと理解すべきです。
もちろん、疑問に思うことはどんどん聞いていいと思います。
工事代金は安い買い物ではないので、納得することも大事ですから。
でも、単純に「買いたたくため」だけに相みつを利用するのはどうかと思います。
事実、業者に不当に安価な工事を強いた結果、工事内容に影響が出たケースもありますし。
工事業者さんは、いい物件を作るための大事な協力者。
気持ちよく工事してもらうためにも強引な価格交渉は慎みたいものです。