(26)暗い暑い危ない……作業環境を整えないDIYは地獄
前回まで2階の壁と天井に木材を貼るまでをリポートしました。
散々「やめたい」だの「うんざり」だの愚痴りましたが、作業自体の大変さもさることながら、今思えば準備不足こそ大きな原因だった気がします。
山小屋を手がけるまで、モザイクタイルを貼ったりスツールのカバーを張り替えたり、小規模なDIYの経験はありました。
でも、家一軒の内装をまるまる工事するというのは次元が全然ちがいます。
工事現場には、冷暖房もなければ照明もありません。
当然、それに対する準備を事前にしておく必要があるのです。
このへん、僕はほとんど考えていませんでした。
まず、内装工事で天井に木材を貼る都合上、既存の室内照明を解体してもらわなければならず、灯りが一切ない状態での作業でした。
当初は、昼間の明るい時間帯に作業すれば大丈夫だろうと思っていましたが、決して日当たりのいいとはいえない物件だけに、自然光のみでは作業には心もとない状態。
これは「スライスウッド」と「ヴィレ」を施工した後に自然光で撮った写真。
こんな調子ですから朝夕や曇った日には手元がよく見えず、イライラすることもありました。
仮設の電源はあったので途中から母屋にあったデスクライトを持ってきましたが、光量も光の広がり方も限られており、劇的に作業が改善するまでには至りませんでした。
きちんと工事現場用の仮設照明を手配すればよかったんですが、買いに行くのも面倒だし、お金ももったいないかなと思ってしまい……自業自得です。
次に、まいったのは夏の暑さ。
ふだん、山の家は標高による気温差と裏手にある竹林のカーテンのおかげで、冷房なしでもわりと快適に過ごせます。
ところが、2018年の夏は殺人的な暑さ。
しかも、今回工事した山小屋の窓にはまだ網戸が設置されていなかったので、窓は閉めきりで作業せねばなりませんでした。
すでに足場は組まれて外壁の塗装作業も完了しており、てっきり網戸は設置済みだと思い込んでいましたが、傷つきやすい網戸は最後に設置するのが常識なのだそうです。
「いやいや、網戸なんかなくても窓開ければいいでしょ」と思われるかもしれません。
最初はそうしてたんですよ。
窓を開ければ、真夏の暑さもだいぶ和らぎます。
しかし、うちの家は水辺も近いので蚊が大量に発生します。
それが僕の吐いた二酸化炭素を嗅ぎつけて一斉に集まってくるのですから、たまりません。
いよいよ耐えきれず、母屋にあった網戸の取り換え用の網を養生テープで貼りつけたのですが、
こんな適当なやり方では、風が吹くとすぐにベロリと剥がれてしまいます。
作業は大変、しかも汗だく、網戸は剥がれてイライラ。
DIY後には設備の設置工事が控えているため余裕もなく、あせりが募ります。
(そもそも、DIYスケジュールの立て方にも問題があったわけですが、これについては別に反省の場を設けることにします)
これらが積み重なって、本来はもっと楽しいはずのDIYは苦行に変わり果てたというわけ。
そして、トドメはハチでした。
以前、日刊Sumaiの連載でも書きましたが、自然が多ければ害獣&害虫も多いもので、中でも怖いのがハチです。
作業中、耳元でブンブンと音がして、「うるせえな」と思ってチラ見したら、スズメバチで思わず「ひゃあ!」と叫んで、階段を駆け下りて逃げ出しました。
どうやら知らないうちに仮設網戸のスキマから入ってきたようです。
下手に刺激するわけにもいかず、階段の開口部から恐る恐る様子をうかがいながら、ジリジリ待つこと30分。
ようやく入ってきた穴から出て行きましたが、これ以降、窓を閉め切って作業したのは言うまでもありません。
おかげで、文字通り滝のような汗にまみれて作業しました。
あんな思い、二度としたくありません。
とにかく、本格的なDIYに取り組むときは周辺環境をしっかりと整えてから臨むことが大事だと思い知らされました。
なお、ハチの件には後日談があります。
あのスズメバチ、実は母屋の軒先にまんまと巣を作っていやがったのです。
母屋から離れまでは目と鼻の先。
そりゃ、窓開けてれば入ってくるわ……。
折しも、屋根と外壁修繕が完了し、足場のバラシが迫っておりました。
もし足場屋さんがスズメバチに刺されでもしたら大変です。
慌ててハチの巣駆除をお願いしたのですが……次回に続く。