(50)別荘の湿気対策に取り組み始めたときに試したこと
別荘を管理している人間にとって、もっともイヤな季節が到来しました。
梅雨のなにがイヤだって、湿気ですよ、湿気。
5月まではさらりとして爽やかだった空気が一気にじっとりとして湿度を帯びてきます。
体感も不快ですが、もっと困るのがカビです。
かつての山小屋(母屋)はとにかくカビがすぐ繁殖していました。
夏休みに山小屋を訪れ、ドアを開けると決まって鼻をつくカビの臭い。
幼い頃からかぎなれているせいか、どこか子ども時代を思い出して懐かしさを感じたりもしますが、そんな郷愁も湿ったカビ臭い布団にもぐりこむ頃にはゲンナリした気持ちに変わります。
もちろんずっと何もしないでいたのではなく、この10年のあいだに湿度を下げるためにさまざまな方法を試し、少しずつ環境の改善に取り込んできました。
今回からは、そんな湿気対策の変遷について語っていきたいと思います。
■除湿剤ていどじゃ焼け石に水
最初の頃は、別荘に湿気はつきものだって思ってあきらめてたんです。
なので、そんなに本気な対策はしていませんでした。
滞在中はキッチンの換気扇を回したり、リビングでは窓を開けてサーキュレーターを運転したりして、いわゆる「換気」をするていど。
まあ、どこの家でもやってることです。
人間が暮らしているとそれだけで空気が動くのでだいぶマシなのですが、やはり問題なのが不在中の湿気。
ちょっと留守にするとすぐに布団はカビくさくなるし、台所の菜箸にはうっすら緑のカビが……。
さすがにこれだけはどうにかしたいと除湿剤をいくつか置いたりしました。
こんな感じのやつですね。
置いておくと湿気を吸収してくれるのですが……正直、あんまり役に立ちませんでした。
あっという間に水が溜まってしまい、すぐに新しい除湿剤が必要になるので、留守のあいだもたないのです。
残念ながら、効果を実感するにはいたりませんでした。
なんというか、山小屋の湿気が強烈すぎて焼け石に水な感じ。
■床下換気扇&調湿材
やっぱりダメか……と早々あきらめかけた僕に転機をもたらしたのはシロアリでした。
ある日、山小屋に訪問業者が来たんです。
「お宅の家、シロアリにやられてますよ」みたいな感じで。
「うわ!きたきた、詐欺」とか思ったんですが、調べてみると農協公認のちゃんとした業者さんで、話を聞いてみると軒先からしてすでにシロアリに食べられちゃってるのがわかる状態だったそうで。
なんでも、シロアリは日当たりが悪くて湿気が強い我が家のような木造家屋が大好物なんですって。
早速、検査してもらうと、床下の根太やら柱やらいろいろ喰われていることがわかって、待ったなしの状態。
すぐにシロアリ駆除をしてもらうことになったわけです。
そのときに業者さんに湿気のことを相談したら、(1)床下に換気扇を設置すること(2)床下に調湿材を置くことを勧められたのでした。
実は、このときで山の母屋はすでに築40年を迎えていたにもかかわらず、ほとんどメンテナンス工事らしきものをやったことがなかったんです。
なので、ここらでいっちょ直しておくかという気持ちにもなり、それなりに値が張ったのですが(シロアリ駆除などや床の補強もあわせて50万円ほど)、設置をお願いしたのでした。
工事後、業者さんから報告とともにいただいた写真がこちら。
3本脚の丸い物体が換気扇です。
室内に設置されたタイマー(操作は不要)で昼のあいだだけ自動で作動し、床下の空気を入れ替えます。
敷き詰めてある白い物体が調湿材。
湿気があるときは吸い込み、乾くと吐き出すそうです。
正確な中身はわからないけれど珪藻土とかに近い仕組みなのかな、と思います。
この2つの設置で壁や床に露骨にカビが生えまくることはなくなりました。
体感的にも以前よりは快適になったと思います。
ですが、それでも10日も家を空けると、床がうっすら白くなったりはしますし、あいかわらずカビの臭いも感じる状態でした。
劇的とまで言える効果が上がらなかった理由としては、いくら空気を入れ替えたところで、結局、 外から入ってくる空気も湿気を含んでいるからなのでしょう。
■調湿作用のある壁材ってどうなの?
ところで、湿気対策といえば、必ず話題にのぼるのが調湿作用のある壁材。
珪藻土とか
エコカラットとかですね。
たしかに調湿作用はあるんですが、うちの山小屋のように強烈な湿気がある環境では、効果は限定的と言わざるをえません。
というのも、昨年、このブログで話題にしている離れの山小屋を工事した際、すでに珪藻土とエコカラットは施工済みだったにもかかわらず、室内の木部にはけっこうカビが生えました。
次回以降でお話しする除湿機などと合わせ技で使用するならともかく、珪藻土やエコカラットのみで強烈な湿気が劇的に改善することはたぶんないと思われます。
もし大枚をはたいて調湿作用のためだけに珪藻土やエコカラットの施工を考えている方がいたら、この点はご注意いただきたいと思います。
次回はさらに突っ込んだ湿気対策をおこなうべく除湿機を連続運転する話です。
※2019年11月20日追記
この後、令和元年台風第19号による大雨で床下換気扇が浸水被害を受けました。これについては、第97回「台風19号で台無しになった床下の湿気対策の復旧に18万円もかかった」に詳しく書きましたので、そちらもお読みくださると、より理解が深まるかと思います。