(73)山から帰って部屋が涼しいとうれしいので自宅のエアコンをIoT化した
お宅のエアコン、まだIoTじゃないの?
ということで、前回に続き空調のお話。
真夏のクソ暑い日に帰宅して家のドアを開けたとき、蒸し暑い室内に入る苦しみを避けるために1万円払えますか、という話です。
もとい、エアコンを外から操作できる機能に1万円が払えるか。
あ、エアコンといっても山小屋のエアコンじゃなく、僕がふだん暮らしてる世田谷のマンションのエアコンです。
なんで山小屋の日記に書くのかといえば、僕がスマホでエアコンを操作したい理由は山小屋にあるから。
夏になると仕事が許すかぎり山で過ごすようにしているのですが、うんざりするのが世田谷の自宅に帰ってきたときに感じる強烈な暑さ。
山小屋と世田谷では軽く5℃は温度差があり、ピカピカに晴れた日ともなると、日陰で過ごしやすい山と日当たりの良い世田谷のマンションでは、天国から地獄にやってきたくらいの温度差です。
でも、帰宅のタイミングに合わせて冷房を運転しておけば涼しい部屋が迎えてくれます。
そんな思いつきから、エアコンをIoT化しようと思いついたのでした。
きっかけは世田谷の自室のエアコンの故障。
今年の6月も終わりの頃、急に暑い日がありました。
それまでずっと梅雨寒が続いていたこともあり、急な暑さに耐えられずエアコンをつけてみたのですが、これが全然涼しくなりません。
エアコンは「ゴーッ」と轟音を鳴らして風を吐き出し続けるのですが、出てくる空気に冷たさがほとんど感じられないのです。
湿気だけは取れたので体感は多少マシになったものの、22℃設定で1時間運転しても28.2℃までしか下がりませんでした。
これは……壊れたかもしれん。
にしても、時期が悪いです。
これから暑くなる6月~7月はエアコン屋さんがいちばん忙しい時期。
新しくエアコンを注文するとしても、数日中の工事なんて絶対にムリです。
ダメ元で相談してみると、最短でも2週間はかかりそうという返事が来ました。
もちろん、修理という選択肢もあることにはあります。
その場合、うまく直れば安上がりなのですが「現状確認→部品などの取り寄せ」の2ステップになるのでさらに時間がかかることは必至。
しかも、現状を確認してもらった際に「買い替えたほうがいいです」となっても、この繁忙期ではかなり待たされることはまちがいなく、ひと夏耐え忍ぶことにもなりかねません。
見れば、エアコンの製造年は2004年。
一般的に10年が寿命ともいわれることを考えると、これは買い替え時だなと判断しました。
正式に手配したのが7月初旬でしたが、エアコン屋さんは超多忙とのことで、結局、3週間待たされました。
不幸中の幸いは、今年の7月は真夏日が少ない涼しい天候だったので、意外にラクだったこと。
去年みたいな酷暑じゃなくてよかった……。
で、我が家にやってきたのがこいつ。
三菱のルームエアコン「MSZ-BXV2519」です。
うちのマンションは天井の梁の幅が狭くてコンパクトエアコンしか設置できず、機種も限られるうえに、なんとか梅雨明けまでに間に合わせたいという事情もあり、僕には細かいリクエストを出す余裕もなく、業者さんにお任せでした。
でも、無事にエアコンが設置されると、いろいろと欲が出てくるもので。
「これってスマホで操作できたらいいよな」とか、ふと思いついてしまったのです。
説明書を読んでみると、オプションの無線LANアダプターを追加すれば、スマホのアプリで操作できるんですって。
調べてみると、価格はおよそ1万円。
ここで冒頭にも述べた「外からエアコンを操作する機能に1万円は高いのか安いのか」という問題に至るのでした。
まあ、エアコンとは別に1万円は決して安くはないですよね。
僕の場合は導入を決めましたが「山から帰宅したときに部屋が涼しい」という実用性に5千円、「宅外からエアコンを操作するってどんな感じだろう?」という興味に5千円を払ったというところでしょうか。
「オーケー、××」的なものにはまったく興味を持ってきませんでしたが、これを機にスマートホームをちょっぴりだけ体験してみるのも面白いかな、と。
届いたのがこちら。
無線LANアダプター「MAC-895IF」。
ほんとは電気屋さんに頼まなきゃいけないんだけど、そうするとさらにウン千円かかっちゃうし、この繁忙期にこんなアダプターだけ設置するために来てもらうのもね……という気持ちもあり、DIYでやってしまいました。
まあ、何かトラブルがあったら自己責任という覚悟です。
メーカーが提供してくれている「据付説明書」なるものには、無線LANアダプターの設置方法が掲載されているのですが、あくまでエアコン屋さんのための補助的な説明なので素人にはこれだけだとよくわかりません。
探り探りパネルやら何やらを外してコードをつないで配線するのに悪戦苦闘。
設置完了までに2時間くらいかかりました。
しかし、大変だったのはここから。
説明書によれば、エアコンに接続した無線LANアダプターのボタンをポチッと押し、無線LANルーターとペアリングすれば設定完了とのことだったのですが、いくらルーターの「WPS」ボタンを押してもウンともスンともいいません。
以前ご紹介したメッシュWi-Fiの設定のときもそうでしたが、こういうデジタル系のジャンルに疎い人間にとっては「何が問題かわからない」のが本当に苦痛。
しかも、ムリしてDIYで無線LANアダプターを設置したこともあり「ひょっとして配線がおかしかったのか」などとにわかに心配になってきます。
それとも、「我が家のルーターが無線LANアダプターに非対応なのでは?」などと、今思えば見当違いな疑問を抱いては、それを検証してつぶす的な作業を強いられること2時間余り。
あらためて無線LANアダプターの説明書を読み直してみると、こんな表記が。
2.4GHz対応か……。
言われてみると、我が家でも5GHzと2.4GHzの2種が飛んでいます。
ひょっとしてルーターの「WPS」ボタンでこの区別があるのでは……。
ルーターの説明書を調べてみると「WPS」ボタンの押し時間の長さで5GHzと2.4GHzの区別があるという記述を発見しました。
「WPS」ボタンを2秒押すと5GHz、5秒押すと2.4GHzだそうで。
そんなん、わかるか!!
と怒りの声を上げてしまいましたが、まあ、ようやく原因がわかってスッキリした気持ちがあったのも事実。
「WPS」ボタンを5秒押したら、あっさりエアコンの無線LANアダプターが反応しました。
いやあ、疲れたよ、ほんとに。
ここから先はトントン拍子。
アプリをダウンロードして設定すると、めでたくスマホからエアコンが操作できるようになりました。
三菱が提供する「霧ヶ峰Remote」というアプリです。
レビューが低評価の嵐だったので心配でしたが、使い勝手はそこまで悪くありません。
たしかに、ムダなプロセスが多い気はしますが。
うん、操作のたびにいちいち確認しなくていいからね。
まあ、僕にとっては家の外でエアコンが操作できるようになればじゅうぶん満足です。
山小屋を出発する前にスマホでエアコンのスイッチをオン。
帰宅する頃には部屋は涼しく快適な温度になっているというわけ。
これだけですごく便利です。
「IoT」とか「スマートホーム」とか全然興味なかったけど、利便性を体感すると悪くないなあと思いました。
個人的には1万円の価値はあったかな。
なお、アプリの使い心地については「日刊Sumai」の連載で書きましたので、そちらをどうぞ。