(75)コール&サン(Cole & Son)の壁紙はとにかく個性的で楽しい
引き続き、2階のアクセントウォールに壁紙を貼る話。
今回は、ここに貼る壁紙を選びます。
壁紙といっても、いろいろありますね。
世田谷のマンションのリノベーションで壁紙を使うときはクセのないデザインを選ぶようにしています。
毎日暮らす家だから、あまり個性の強い柄は選びたくないという気持ちがあるのです。
でも、この山小屋はたまの休みを過ごす非日常の場。
第3回の「山小屋ディテール自慢」でも書きましたが、個性的すぎて賃貸では使えないような壁紙でいいと思っていました。
当初、念頭にあったのがウィリアム・モリス(William Morris)の壁紙でした。
「いちご泥棒(Strawberry Thief)」や「鳥とザクロ(Bird & Pomegranate)」のように、植物と鳥をモチーフにした柄なら山小屋にすんなりマッチすると思ったからです。
そういえば、僕が折にふれて読み返している『そうだ、京都に住もう』(永江朗著)でもリノベーションした京町屋にさりげなくモリスの壁紙が使われていました。
しかし、いろいろネットで調べていくと、モリス以外にも海外製の壁紙には面白いものがあることがわかってきました。
おすすめなのが、海外製の壁紙を2万点も取り扱っているという「WALPA(ワルパ)」(画像をクリックするとホームページに飛びます)。
空き時間を見つけてはこの膨大な壁紙の海をさまよっているうちに、徐々に自分好みのブランドがわかってきました。
それがモリスと同じくイギリスのブランド「コール&サン(Cole & Son)」です。
「コール&サン」だけでもかなりの数があるのですが、なかでも「ウィムジカル(whimsical)」と名付けられたカタログが面白そう。
あるていど的が絞れてきたので、実物を見に行きます。
というわけで、恵比寿にあるWALPAのショールームにやってきました。
店内の棚には壁紙のカタログがところ狭しとならびます。
平日ということもあり、比較的空いた店内でスタッフの方にいろいろと話をうかがうことができました。
壁紙の選び方からトリビアまで、いろいろ気さくに教えてくれます。
印象に残っているのは、イギリスの賃貸における壁紙の話。
あちらでは賃貸でも入居者が壁紙を貼ることはふつうらしく、住む人が変わるたびにどんどん壁紙が重ね貼りされ、古い建物にもなると地層のように何重にも折り重なっていくんだとか。
海外製の壁紙なんていうと敷居が高い印象がありますが、こういう話を聞くと身近に感じられます。
こちらが「コール&サン」の「ウィムジカル」のカタログ。
whimsicalとは聞きなれない単語ですが、「変な」とか「妙な」とかいう意味だとか。
大判のカタログをよいしょと開いてみると、その意味がわかります。
なんとも「奇妙な」デザインがずらりとならんでいるのです。
僕が気になった柄をいくつか紹介していきましょう。
『白鯨』の作者の名を冠した「メルヴィル(Melville)」。
波の中を泳ぐクジラがあしらわれた楽しい一枚です。
クジラの背中にカメがいたりして可愛らしいです。
以前ご紹介した「カウニステ(kauniste)」の生地もそうですが、ヨーロッパのデザインは遊び心がありながらも、ファンシー過ぎず、きちんとデザインされているものが多いのが特徴ですね。
もう少しシンプルな柄として波だけを描いた「コロンブス(Columbus)」もあります。
うちの奥さんは「ウッズ&スターズ(Woods & Stars)」が気に入った様子。
木々の間からのぞく星々がこれまた可愛らしいです。
よく見ると、木々のウロや節々まで丁寧なタッチで描かれているのもたまらないです。
うちの奥さん曰く、
ということでした。
たしかに、部屋の中に森の景色があるのはドンピシャだよね。
星がないシンプルバージョン「ウッズ((Woods)」もあります。
ピンクの壁紙をホワイトの腰壁と組み合わせ、ハンティングトロフィーを飾るコーディネートも素晴らしいですね。
先ほどの「コロンブス」もそうですが、このカタログの楽しさは壁紙のデザインだけでなく、その見せ方にもあると感じました。
「コール&サン」のように個性的な壁紙は日本の住宅においては上手に取り入れるのが難しい印象がありますが、このカタログのコーディネートからヒントを得ることもできそうです。
「海」と「森」のモチーフが混ざったデザインもあります。
これは「シークレットガーデン(Secret Garden)」という柄。
葉っぱにのったカタツムリも面白いですが、なぜか植物からホタテがにょっきりと顔を出しております。
「秘密の庭」という名前どおりの不思議な壁紙です。
そして。
いろいろ迷った末に僕が選んだ「ノーチラス(Nautilus)」も、「海」と「山」のモチーフがミックスされたデザイン。
植物のあいだをユーモラスな姿のチョウチンアンコウが泳ぎます。
名前どおり、まるで深海のような静けさを感じさせるのが気に入りました。
カラーバリエーションもあり、
色によって印象がガラリと変わります。
実は、うちの奥さんが推す「ウッズ&スターズ」か、この「ノーチラス」か、最後まで迷いました。
奥さんの言うとおり「ウッズ&スターズ」は山小屋にぴったり合うのはまちがいなく、失敗しない選択をするならこっちがまちがいなかったでしょう。
一方、「ノーチラス」はどちらかといえば海を感じさせるモチーフですし、色合いも強め。
これだけ個性の強い柄ですから、上手にコーディネートできるかも不安です。
でも、一目見たときにいちばん印象に残ったのは、やはり「ノーチラス」でした。
こんな壁紙、今使わなかったから一生使えません。
それに、もし失敗したらWALPAのスタッフさんが言ってたように、上から重ね貼りしてしまえばいいじゃありませんか。
オスモカラー選びのときのようにわりと失敗しない無難な選択をしがちな僕が、唯一冒険したのがこの壁紙選びだったと言えるかもしれません。
しかし、今振り返ってもとても良い選択をしたと思っています。
まあ、これをDIYで貼るのに盛大に失敗してしまうわけですが……。
次回は、その失敗の模様を中心に壁紙を貼ったときの模様をリポートします。