(182)押入れはキッチンの移転先としてはちょうどいいサイズだった

母屋のキッチン

母屋の古ぼけたキッチンを食卓の近くに移設しようと思い立ったのが前回のお話。

今回は新たなキッチンの移転先を和室の押入れに決めた理由について書きたいと思います。

もともと移転先の候補となる場所は多くはありませんでした。

あらためて食卓の位置を間取り図で確認しておきましょうか。

母屋の食卓の位置

最初に考えたのは同じ部屋の空きスペースにキッチンを設けるという考えでした。

間取り図でいうと、この場所。

母屋の間取り図

ごらんのとおり、うなぎの寝床のように縦長な部屋なので食卓を置いてもスペースにはまだ余裕があるのです。

ちなみに、現在の状態はこんな感じになっています。

旧押入れの現在

実はここ、もともとは押入れでした。

10年ほど前にDIYで解体し、補強して塗装して壁紙を貼ってリフォームしました。

あのときは大家を始める前で知識も技術もなく、行き当たりばったりで作業したのですごく苦労したのを覚えています。

このソファをどけてキッチンを設置すれば、食卓と同じ部屋なのでお客さんの接待にはベストな位置でしょう。

しかし、ネックとなるのは2メートル強しかない横幅

キッチンを置くにはちょっと狭いです。

冷蔵庫に60センチを割くとすると、1.5メートル幅のキッチンも置くことができません。

それに、窓が多い部屋なので初春や晩秋には寒さが心配。

せっかくキッチンを新調して、寒さに悩まされるのではガッカリです。

そこで、次に目をつけたのが隣の部屋の和室でした。

母屋の間取り図

10年以上前にDIYで柱と壁を塗装して床に絨毯を敷きましたが、基本的な内装は和室のまま。

和室の押入れ

部屋の広さは押入れ部分をのぞいておよそ八畳、約3.5メートル四方です。

この押入れをキッチンにしてはどうかと考えたのです。

採寸してみると、幅はおよそ2.6メートルありました。

これなら冷蔵庫を置いても2メートル弱をキッチンに割くことができますし、床の間を整理すれば食器棚だって置けます。

思い立ったら吉日ということで中を整理してみると、これが意外に不要なものばかり。

どんどん捨ててあっという間に片付きました。

カラになった押入れ

下の段の奥に見えるのは断熱材。

実は、下段の奥には窓があり、換気できるようになっていたのですが、冬の寒さが厳しいので窓をふさいでしまったのでした。

あんまり昔のことで自分でも忘れておりました。

翌朝、これを取り除いて写真を撮ってみると、

押入れの窓

明るい!

以前は寒さをどうにかすることしか考えなかったけど、今見ると射し込む陽光のありがたみもわかります。明るいキッチンが作れそう。

冬の寒さが心配ですが、雨戸を閉めればなんとかなるでしょう。

ざっくり測ってみると奥行もしっかり90センチはありました。

これならキッチンがすっぽり収まり、調理をする人が立つスペースまで確保できます。

実を言うと、この山小屋みたいな環境では押入れって有効活用できないよな、と前々から思っていたのです。

収納時、建具を閉めてしまうと押入れ内の空気はどうしても淀みます。

世田谷のマンションのクローゼットですらそれを実感するときがあるので、リノベーション時には建具は取り払ってロールスクリーンを設置するようにしています。

世田谷のマンションのロールスクリーン

これなら換気もラクですし、建具に邪魔されずに物の出し入れもできるのです。

今思えば、山小屋の押入れもこうしておけばよかったのかもしれません。

建具の表面だけはDIYで白い壁紙に張り替えたものの、結局、中のスペースが有効活用できていなかったのは昔と同じ。

参考までに昔の室内をごらんください。

昔の押入れのパノラマ写真

今から15年ほど前、友人が複数枚の写真から作ったパノラマ写真の一部です。

こんな場所ですが、学生時代は友人たちと遊びに来てお酒を飲んで雑魚寝してました。

あのときはそんなに気にならなかったけど、今見るとほんとに散らかってますね。

当時は「カライエ」も「ルームドライヤー」もなく、山小屋の湿気はものすごく、押入れの中はカビだらけでした。

祖父がせっせと集めた掛け軸はカビがひどくて、買取りの際にほとんど値がつかなかったのを思い出します。

しかし、それも今となっては昔話。

祖父の骨董はほとんど処分してしまいましたし、ふだん暮らしている家ならともかく、たまの休みを過ごす家にこんな大容量の収納なんて要りません

押入れを撤去してキッチンを移設しても何ら困ることはないでしょう。

押入れの中段

工事的にも、この中段さえ撤去すれば、キッチンの設置は難しくないと思われます。

母屋の間取り図

食卓があるのは隣の部屋ですから、キッチンからテーブルは視界に入りますし、話し声も聞こえるくらいの距離。

しかも、春や秋の肌寒い季節にはこの和室にダイニングテーブルを移動して間仕切れば暖房効率も上がり、こじんまりとしたリビングダイニングにもなりそうです。

うむ、悪くないぞ。

「それならやっぱり対面式のキッチンがいいのかなあ」なんて空想しかけたりもするのですが、四十路ともなると思考を根本から規定してくる強固な下部構造の声を無視することは到底できません。

そう、結局カネの話なんですよ。

思えば、世田谷のマンションのキッチン選びもつねにお金との相談でした。

次回はうちのマンションに採用してきたキッチンを振り返り、予算の問題を考えてみます。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営。 『日刊Sumai』(扶桑社)で「なんでも大家日記@世田谷」を連載中。 https://s...

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