(225)浄化水槽設置のきっかけ・工事費用・維持管理など

お金のこと

徐々に寒さが和らいできて春の気配が感じられるようになってきました。僕にとっては長期天気予報をチェックしながら「いつ山(小屋)開きするか」タイミングを探り始める時期です。

その日にちを決める要素のひとつが「浄化水槽の定期点検(と清掃)」です。年4回のうち、最初の点検が毎年3月におこなわれるため、その立ち会いに合わせて山小屋を訪れることも多いです。

今回は、別荘の購入や維持管理においてよく話題にのぼる浄化水槽について設置から維持管理までまとめます


■ぼっとん便所か、浄化水槽か

うちの山小屋のように人里から離れた場所では、公共の水道が通っていないことはよくあります。我が家の場合、半世紀前に祖父がこの家を建てた際に上水道は引いてもらうことができていたので蛇口をひねれば水は出ます。

山小屋の蛇口

でも、使い終わった汚水を排水する下水道がありません

そういう場合、いくつかの選択肢があって、かつて主流だったのが「汲み取り式トイレ」でした。いわゆる「ぼっとん便所」ですね。トイレの下に汚物がそのまま貯まる仕組みなので、定期的にバキュームカーに来てもらい、汲み取って処理する必要があります。

この「汲み取り式」はその臭いもさることながら、便器の穴の下の黒々とした空間がなんとも不気味で、僕は子どもの頃にキャンプ場で初めて体験して、心の底からイヤだと感じたのを覚えています。僕が水まわりの清潔感に割とこだわるのも、これが原体験なのかもしれないと思うほどです。

話が逸れました。下水道のない家のもうひとつの選択肢が今回紹介する「浄化水槽」です。読んで字のごとく、汚水を水槽内で浄化してくれる設備です。これがあれば浄化したきれいな水を排水することができます。


■浄化水槽を設置するきっかけは水道屋さんの言葉

実は、祖父の山小屋にも簡易的な浄化水槽がありました。

床下の水槽に汚水が溜まり、徐々に上澄みの水と沈殿した有機物に分かれ、水だけを外に流して捨てるという仕組みだと聞きました。徐々に有機物は堆積していくはずなので、本来ならバキュームカーのようなもので有機物を回収する必要があったのかもしれませんが、使用頻度が少ない別荘だったのでそれをしないで済ませていたのだろうということでした。

伝聞調でご説明したのは、僕が山小屋の管理を引き継いでから別件の工事でやってきた水道屋さんに教えてもらって初めて知ったから。都会で生まれ育つと自分の家まで上下水道が通っているのは当たり前で「浄化水槽」の存在自体が初耳でした。

水道屋さんによると、我が家の浄化水槽は現在の衛生基準を満たすものではなく、今後も住み続けるならちゃんとした浄化水槽を設置するべきとのことでした。

別荘を所有して排水を垂れ流す以上、それをちゃんと処理する設備を持つのは家主の責任ですし、以前からごくたまに床下からイヤな臭いが立ち上ってくるのを感じることがあったので、それを解消できるならありがたいという気持ちもありました。


■我が家の「浄化水槽」設置費用は「95万円」

しかし、工事費用の見積もりを出してもらうと、これがなかなかの金額。

浄化水槽設置の見積もり

すべて込みで「95万円」、税金が加わると100万を超えます。

た、高い……とたじろぎましたが、調べてみてもほぼ相場どおりの金額です。水道屋さんによると、地域住民であれば市町村から補助金などを受けられるケースもあるのですが、我が家のように別荘として使っている家ではムリとのこと。まあ、別荘って贅沢品だから仕方ないよね……。

家族とも相談し、今後も山小屋を快適に使っていくには避けられない出費だという結論に至り、工事をお願いすることになりました。

浄化水槽設置前の穴

これは設置前の準備段階の写真。死体なら2つ3つは埋められそうなでかい穴です。怖い。

浄化水槽の本体

浄化水槽の本体が設置されました。この後、まわりをコンクリで固めて完成です。

完成後の浄化水槽

完成後に中を見せてもらうと、こんな感じ。

浄化水槽の中

電動でポンプやらが動いて水が攪拌され、仕込んだ薬剤が水をきれいにしてくれる、とかいう仕組みだったと記憶しています。詳しく知りたい方は調べてみてください。


■清掃・点検にかかる費用は年間「27,500円」

さて、設置完了したらあとは手間いらず、というわけにいかないのが浄化水槽の面倒なところ。

まず、東京都による法定検査があります。

法定検査のお知らせ

こういう知らせがきて、お金を振り込まねばなりません。

検査料金は「5,500円」。

法定検査料金

この検査は不在時にもおこなってもらえるので、そんなに厄介ではありません。

むしろ手間がかかるのは、年に4回の定期清掃を業者さんに頼まねばならず、立ち会って書類にサインをする必要があること。

浄化水槽の清掃

冒頭にも述べたとおり、年最初の点検清掃が毎年3月にあるので清掃業者さんと調整して山開きを兼ねて山小屋を訪れるようにしているのです。

ちなみに、年最後の点検は12月。この日が山じまいの日になることも多く、浄化水槽の点検が山小屋管理のスケジュール感を作っているという側面があります。

ちなみに、この清掃費用は年4回合計で「22,000円」。

浄化水槽の点検清掃費用

先の法定検査と合計して、浄化水槽の維持管理に年間で「27,500円」かかっていることになります。下水料金として捉えると公共の水道料金よりも割高なのは否めませんが、山奥の家なので仕方ありません。


■清掃業者さんに聞いた話

清掃の立ち会いは面倒なんですが、清掃業者さんと立ち話しながら浄化水槽の使い方のコツを教えてもらうのは勉強になります。

できればそれなりの頻度で使用して、水槽にきちんと「エサ」(有機物)を与えてやるのが理想なんだとか。浄化水槽には薬品を入れて使用するので、薬品だけになってしまうとph値が基準に収まらないこともあるんだそうです。我が家は別荘の割には使用頻度多いですが、冬はどうにもなりません。

冬といえば、ほとんど使わないなら電源を切って止めてしまってもよいらしいのですが、モーターで攪拌されない水は凍結のリスクが高まると聞いたので、冬場もスイッチはオンのままにしています。

メンテナンス以外で印象に残ったのは東京の都心でも、いまだに浄化水槽を使用している家があるという話。

ルール上は浄化水槽を一定期間内に下水道に切り替えねばならないのだけれど、自宅から本管までの工事は住人負担なので、その工事代が支払えない人はやむをえず浄化水槽を使い続けているケースもあるそうです。世田谷でも浄化水槽を使い続けている家があるとかで、僕の自宅からさほど遠くないどこかに浄化水槽があるなんていうのは驚きでした。

浄化水槽を所有してみると、ふだん使っている水道システムがいかに便利なのかが身に染みた次第です。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営。 『日刊Sumai』(扶桑社)で「なんでも大家日記@世田谷」を連載中。 https://s...

プロフィール

関連記事一覧