(259)結局エアコンがベスト?別荘滞在中の空調について考える

別荘管理&修繕

春のカラッとした日々は過ぎ去り、湿気の多い季節になりました。

雨の山小屋

これから夏にかけて気温も湿度も高まり、快適に過ごすための工夫が必須になってきます。今回は僕が山小屋に滞在しているときにどんなふうに空調を使用しているか書いてみようと思います。

ちなみに、以前こんな原稿も書きました。

ここからだいぶ考え方が変わったこともあらかじめお断りしておきます。


■涼しい外気には湿気も含まれているのが問題

夏になると都会の暑さから逃げるように毎週末山小屋に向かいます。

山の景色

世田谷のマンションにくらべると標高が高いうえに、小屋に覆いかぶさるように竹林が茂っていて日当たりが悪いため、夏でも比較的涼しく過ごせます。

窓を開ける

ちょっと暑いくらいならば窓を開けると涼しい空気が入ってきて室内の温度が下がります。僕が小さい頃、山で夏を過ごすときはいつも窓を全開にして涼を取っていました。まさにエアコンいらずの環境で、以前はこれで十分満足でした。

ところが「湿度」という観点から見ると話は変わります。涼しい外気は「温度」という観点では快適なのですが、山小屋周辺の外気は湿気を多く含んでいるため、どうしても室内の「湿度」も高くなってしまうのです。

これは以前軽井沢を訪れたときにもはっきり感じました。

軽井沢の景色

さすが高原の別荘地とあって、涼しさはうちの山小屋よりも一段上。夜に窓を開けているとクーラーのような冷気が室内に入ってきます。そのぶん空気に含まれる湿気もひどく、しばらくすると布団やソファもしっとりしていました。せっかくの冷涼な環境でも湿った布団に入るのってちょっとイヤだなって感じるわけです。

「涼しさを取り入れつつ、いかに湿気は取り除くか?」これが山の別荘のひとつの課題と言ってもいいでしょう。


■窓を開けつつ室内を除湿していたけれど……

別荘の除湿といえば、このブログではおなじみダイキンの「カライエ」(とその前身の「ルームドライヤー」)が鉄板であることは何度も書いてきましたね。

水捨て不要で「24時間365日除湿」をしてくれる「カライエ」ですが、一般的な除湿機とくらべて熱風などがほとんど出ないところも素晴らしいところです。

除湿機いろいろ

かつていろいろな機種を試して痛感しましたが、除湿機は駆動音がうるさいのに加え、排気される暖かい空気で室温が上昇してしまうのが夏には致命的な欠点になります。これでは、せっかく湿度を下げて体感を改善したところであまり涼しくなりません。

一方、「カライエ」は除湿機とくらべると静かに湿気を外に出してくれるのでとても便利。窓を開けて涼しい空気を入れて室温を下げつつ「カライエ」で除湿する……ちょっと前まではそれが山小屋に滞在中のベストな空調なのだと思っていたのです。


■結局、滞在中はエアコンをかけたほうが快適かも?

しかし。

以前「日刊Sumai」の連載でダイキンに取材させていただいたときにうかがった話をふと思い出し、いろいろと考え直しました。

話してくれたのは広報担当の重政さん。

細かい表現は覚えていないので自分の言葉でまとめると、

空き家や家具や家財を湿気から守るという意味では「カライエ」はベストな選択肢だけれど「カライエ」ではエアコンのように室温が下がるわけではない。夏になったら人間がいる部屋はエアコンをかけないと快適には過ごせない

だいたいそんな話だったと記憶しています。今思うとこの話はとても示唆に富んでいたと感じます。

つまり「人間が不在時の空調」と「人間が滞在中の空調」は考え方がちがうということ。「モノ」にとっては乾燥がマイナスに働くことは少ないですが、人間のような生き物にとっては「適度な乾燥と適度な涼しさ」が必要です。言い換えれば「快適な空調とは温度と湿度のバランスを取ること」なのです。

都会で殺人的な蒸し暑さに対抗すべくガンガンにエアコンをかけた結果、空気がカラカラになってしまって不快に感じるのも困ったものですが、たとえ涼しくても湿気たっぷりな外気を取り込んだ結果、室内がジメジメしてしまうのだって困ったもの。

山小屋のエアコン

よくよく考えてみればもともと多湿な山小屋の環境ならばエアコンをかけたところで室内が乾燥しすぎることはほとんどありません。窓から外の冷気を取り込んで「カライエ」で湿度をとりのぞくなんてことをするより、滞在中はおとなしくエアコンをドライ運転したほうが「温度と湿度の両立」が簡単にできるんじゃないか、と最近は思うようになりました。もちろん、窓の開け閉めによる適度な換気は心がけたうえでの話です。

夜の山小屋

実際、昨夏あたりから、日中はエアコンをドライ運転(猛暑日は冷房)し、夜になったら運転を切って寝るという過ごし方を試していますが、暑さも湿気も感じずに快適に眠れます。窓を開けて寝ていたときよりも湿気が少ないので個人的にはより快適になったと感じています。


■電気代も思ったよりかからない

「エアコンを動かしたら電気代がかかるのでは?」と思われるかもしれませんが、カライエだけを動かしていたときとくらべても大きく上がってはいません。

カライエ

「カライエ」は適度な湿度に下がると運転を停止する機能があります。多湿な状態では「カライエ」をがんばって稼動してひたすら除湿を続けますが、エアコンで湿度を抑えた状態では「カライエ」はほとんど動作しません。イメージとしては「カライエ」の代わりにエアコンが動いているという状態。もともと山小屋は基本的に週末だけを過ごす家ということもあり、劇的な差は出ていない印象です。

というわけで、不在中は「カライエ」に室内を除湿しておいてもらい、僕らの滞在中はエアコンをメインに使用するというのがベストなのではないかと思うようになった次第です。


■「快/不快」は人や環境によって異なるもの

最後に付け加えておくと「快適/不快」の感じ方は人によって相当異なることも言い添えておきます。亡くなった母親はかなりの暑がりで、昔は部屋の中をキンキンに冷やして暮らしていましたが、寒がりの父は室内でセーターやジャンパーを着ていました。 僕自身は母ほどの暑がりでも父ほどの寒がりでもありません。でも、湿度については知識が蓄積したこともあって年々気になるようになってきました。二年前に書いた原稿とくらべてだいぶ考え方が変わってきたのもこのせいだと思います。

山小屋の窓

温度と湿度以外の要素だって大事です。開け放った窓から入ってくるものには「湿気」だけでなく、「緑の匂い」とか「虫の音」などのような風情のある要素も含まれていますし、窓を閉めてエアコンをかけてすべてシャットアウトするのが正しいとは一概に言えません。

快適な空調を意識しつつ時には窓を開けて楽しむ。最近はそれくらいがちょうどいいのかもしれないと思ったりしています。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営。 『日刊Sumai』(扶桑社)で「なんでも大家日記@世田谷」を連載中。 https://s...

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