(276)ドアのやすりがけをさぼったらステインがのらなかった
前回、木部の仕上げ塗料をいろいろと比較して「ワトコオイル」を採用することに決めました。
塗装するのは、柱やドアなど。
壁や天井以外の木部を「ワトコオイル」の「エボニー」で塗装するのですが、色に深みを出すために水性のステイン塗料で下塗りをしたいと考えました。
■ステインを下塗りするも、塗料が入らない!
ステインによる下塗りといえば、以前、世田谷の自室の壁にスライスウッドを張り付けた際に「ブライワックス」の水性ステイン「ウッドダイ(WOOD DYE)」で下塗りしました。
「ウッドダイで下塗り→ブライワックスで仕上げ」はメーカーが公認する正しいルート。
ただし、今回は「ワトコオイル」のための下塗りであり、オフィシャルに認められた塗料はありません(たぶん)。
なので、ワトコオイルとステインを組み合わせたらどう仕上がるかもわかりませんし、耐久性の保証もありません。そういう話と思って読んでいただければ幸いです。
選んだのは「ワシン」の「水性木部着色剤 ポアーステイン」です。
リーズナブルですね。
色は「ワトコオイル」の「エボニー」に近そうなダークブラウンのカラー「オールナット」を選びました。濃い色に濃い色を重ねて、こげ茶色の仕上がりを目指します。
細かい字で塗り方が説明されていますが、ざっくりまとめると「たっぷり塗って、1~2分後に布ですり込みつつふき取る」という塗装方法だそうです。
ハケや布で塗るのが一般的なようですが、以前「ウッドダイ」を塗る際にも用いたスポンジハケがおすすめ。安価で毛が抜けることもなく、塗料を適度に含んで塗りやすいです。
塗料を浸み込ませたスポンジでステインを塗ります。
細かいところは筆で。
本当は養生しなきゃいけないんでしょうけど、テープを剥がすと今度は珪藻土塗料が剥がれて、また塗り直して……となるのが面倒なので、養生なしで塗装しました。
しばらく待ってから布でふき取ります。Tシャツの切れ端を使いました。塗ってから1~2分後ということでしたが、下塗りですしきちんと時間は計っていません。ひょっとしたら5~10分置いてしまったこともあったかも。
ばっちり色がつきました。
ふき取りをおこなったあとのほうが均一になり、ムラが目立ちにくくなる印象です。
このまま柱を塗っていき、ドアまでたどりつきました。
ところが……!
ドアの表面にステインが浸み込みません。
塗ってすぐぜんぜん色が入っていないことがわかりました。
案の定、ふき取ると見事に塗装前の状態に戻ってしまいました。
原因は単純で「表面のやすりがけが甘すぎたから」です。
■古い建具でも、きちんとやすりがけしなければダメ
少し時間をさかのぼりましょう。
これが塗装前の建具。
トイレのドアではなく引戸なので取り外して外で作業しましたが、表面の材質はどちらも同じで、薄い板が表面に張られています。
ぱっと見、ツヤなどもないですし、古い建具なので軽くやすりがけすればいいなあ、と甘く見ていました。
「180番」の紙やすりをセットしてハンドサンダーで表面をサンディングしていくと……
あるていどやすったところで、表面が削れて白っぽい下地が見えてきました。板の下に下地の角材が入っているところから、表面が削れてきたようです。
実は、引戸の表面全体がこんなふうに削れてくるまでやすりがけしないとステインは浸み込まないのです。
でも、建具は引戸2枚と、開き戸2枚の計4枚あって、それをぜんぶやすりがけするのはかなり大変なのはすぐにわかりました。もしこのまま続けてしまったら途中でやめるわけにはいきません。僕の心の中で「やめるなら今かもしれない」という怠惰な気持ちが芽生えたことを告白しておきます。
このまま塗ってもステインでそこそこ色がつくんじゃないか、という希望的観測もありました。
というわけで、全体を軽くやすりがけしただけでステイン塗装に踏み切ったのですが、結果は先ほどごらんになったとおり。表面で塗料が弾かれて、まったく中に入りませんでした。
柱はダークブラウンになったのに、建具だけナチュラル系の色のまま。
これではなんともアンバランスです。こんなことなら、柱もクリアー系の仕上げ塗料で塗ればよかった……などと後悔したところで後の祭り。
あせってジタバタしても仕方ないので、翌日仕切り直すことにしました。
■苦肉の策としてニスを選ぶ
さあ、この建具を一体どうすればいいのでしょうか?
今からでも全体を入念にやすりがけすればステインもオイルも塗れるでしょう。しかし、パテやシーラーや珪藻土塗料の作業を経て、それなりに疲弊していた自分にはとてもムリでした。
やすりがけしないで上塗りできる塗料を選ぶとなると、真っ先に思い浮かぶのはペンキによる塗装です。
これは10年以上前に友人たちと塗装した別の部屋の引戸。これはノーマルなペンキですが、珪藻土塗料でもアイアン塗料でもいいので、塗りつぶしてしまえばきれいには仕上がります。
ただ、もともとの木の質感がほぼ消えてしまうのが残念です。
できれば、木のドアの雰囲気を残したい気持ちがあります。
そこで苦肉の策として「ニス」を選びました。
「ワトコオイル」などとちがい、ニスは木の内部には浸み込まず、木部の表面にしっかりした塗膜を作ります。なので先ほどのようにステインが入らない状態でも、ニスならば問題なく塗装できるはずです。
ニスって光沢あるし塗りムラも出やすいし、正直言ってあまり好きではないんですけど、木材としての雰囲気はあるていど残せますし、この際ぜいたくは言えません。
「ドア全体にやすりがけするだけの根性も時間もない」けれど「木材の雰囲気はなんとか残して色を付けたい」という今の僕にはニスという選択肢しかありませんでした。
買ってきたのは先ほどのステインと同じメーカー「ワシン」の「水性ウレタンニス」です。水性なので扱いやすいかなと思いました。
2本買いました。けっこう高かったけど、これでリカバーできるなら仕方ありません。
次回はドアの表面にニスを塗ります。