(288)陶芸家いざきあつしくんに洗面のタイルを試作してもらう
ここ最近、延々と書いてきた水まわりのリフォームもほとんどが完了しました。
ですが。
洗面を設けるはずの壁はまだ塗装が済んだだけ。
そもそも水まわりのリフォームをおこなおうと考えるきっかけになったのは「洗面がほしい」という思いからでした。
どこに洗面を設けたらいいか思案した末、ドアをひとつつぶして壁を造作してもらい、洗面を設けようと決めたのは以前も書いたとおり。
洗面の新設は今回の水まわりリフォームの本丸ですし、自分なりにこだわってDIYしたいという思いがあり、これまで書いてきた他の工事とは異なるスケジュールで作業しているのです。
まずは工事前の様子からどうぞ。
もともとは移設前のキッチンに続くドアでした。今や頻繁に使用する部屋ではありませんし、このドアがなくなっても隣室の引戸から出入りできるのでさしたる問題はありません。
大工さんに壁を造作していただき、埋込型のミラーキャビネットを設置してもらいました。水道屋さんによる給排水用の配管も済みました。この後、壁の表面を塗装して冒頭の状態にいたります。
洗面リフォームを決めた当初から、この壁をタイルで仕上げることははじめから決めていました。
いつもなら数あるタイルのうちから一体どんなタイルを選ぶか?で悩みまくるところですが、今回はちがいます。
というのも、友人の陶芸家いざきあつしくんにオリジナルのタイルを作ってもらおうと考えていたからです。いざきくんの作品については、以前テーブルクロスの回でもチラッとご紹介しましたね。
相談したところ、幸いなことにいざきくんにも興味を持ってもらえました。
いやね、タイルのオーダーメイドなんて鎌倉か軽井沢あたりに建築家と豪邸を建てられるような資力のある人間がやることなんだと思います。なんといっても陶芸家(タイル作家?)にそれなりの時間を割いてもらって作業してもらうんですから。
今回、いざきくんには「友人であること」と「陶芸家としての興味」という二つの理由で採算度外視で協力してもらえたわけです。もちろん報酬は払ってるのですが、そこはお友達価格ということで……。
いざきくんにはなるべく時間に余裕を持って作業してもらいたかったので、ムリに納期を決めたりするようなやり方はせず、洗面だけは他の部分とは別のスケジュールを組んで工事を進めたのでした。
でも、オリジナルのタイルと言っても、一体、どんなタイルを作ればいいのでしょうか?
きっかけは、いざきくんの作ったこれ。
試作した朱肉入れだそうですが、この表面のゴツゴツ・ザラザラした独特な質感が面白いよね、という話になりました。いわゆるタイル然としたツルツルで光沢のあるものではなく、石や金属を感じさせるようなタイルを作ろうという方向性がすぐに決まりました。
形に凝り過ぎるとせっかくの質感がぼやけてしまいそうということで、オーソドックスな四角形にすることにしましたが、並べ方にひと工夫しようと思いつきました。
ヒントになったのは、以前、僕の自宅のキッチンの窓辺に張ったモザイクタイル。
toolboxで見つけた「水彩タイル」です(現在、この色は取り扱いがありません)。
25mm角の正方形、50mm角の正方形、長さ100mmの長方形の3種類をランダムに配置し、並べ方にアクセントをつけました。今回のタイルもこのタイルのサイズを参考に大小で作り分けてみると面白いのでは?と考えたのです。
さらに、厚みにもバリエーションを持たせるというアイデアも浮かびました。薄いものと厚いものを並べることで立体的なアクセントをつけるのです。 あらためて構想をまとめると…
- 大きい正方形(50mm角)
- 小さい正方形(25mm角)
- 長方形(25mm×75mm)
- 上記のタイルを3種の厚さ(5mm/10mm/15mm)で作り分ける
といった感じで試作品を作ってもらうことになりました。
僕が床にタイルを張ったり壁をペンキで塗ったりしている間に、いざきくんから試作品ができたとの連絡が。サンプルの写真を送ってくれました。
石や金属にも似た面白い質感が印象的です。
ハンドメイドならではの個体差も魅力で、ならべても単調さを感じさせません。
表面をちょっと荒らしてみたものも試作してくれたとのこと。これもいいアクセントになりそうです。
予定どおり、厚みは三種類。
横から見ると、土の色がのぞきます。
タイル全体に釉薬をかけたものも試作してくれたのですが、個人的には側面のクリーム色がいいアクセントになっていると感じ、表面のみ釉薬をかけるほうを選びました。
いざきくんによれば、表面のグレーにはややメタリックな雰囲気があるとのこと。 色味の部分は光の当たり方や撮影方法によって印象が変わるのはよくある話なので実際にサンプルを見せてもらうことになりました。続きは次回。