(289)試作のタイルをならべて必要な枚数を算出する
前回、友人の陶芸家・いざきあつしくんにお願いして洗面に張るためのオリジナルタイルのサンプルを作ってもらいました。
事前に話し合ってイメージを共有できていたためか、写真を見ただけで「これはいけそう」と直感したのですが、やはりこの手のものは実物を見なければ最終的な判断は難しいのでサンプルを実際に見せてもらいました。
いざ自分の手でならべてみると予想以上にいい感じ!前回、サンプルを等間隔にならべただけの写真とくらべてみても、配置がちがうだけで印象がだいぶ変わったように感じます。
サイズや厚みにバラつきをつけたことで、ランダムにならべたときの独特の立体的な雰囲気が出ました。
表面のメタリックな質感も気に入りました。ところどころクリーム色の断面が見え隠れするのも面白いです。
もう気づきかもしれませんが、今回のタイルは目地を入れずにスキマなく張るつもりです。「眠り目地」とか「突きつけ目地」とか呼ばれる工法です。
目地がないとスキマから水が入りこむのを防ぐことができないので一般的にはあまり推奨されません。でも、お風呂場のような水が頻繁にかかるところならともかく、今回のように洗面の壁なら水滴が飛び散るていどですから神経質になる必要はないでしょう。デザイン優先でいこうと決めました。
目地なしで張る場合、施工上の問題もあります。タイルの形やサイズに多少の誤差がある場合、目地の太さを調節することでこの誤差を打ち消して整然とならべることができるのです。
これはトイレの床に張った大判のヘキサタイルですが、よく見ると目地の太さにバラつきがあるのがおわかりになると思います。僕のDIYの腕の問題は別にしても、タイルのサイズの誤差も影響しています。
今回のタイルはハンドメイドですからサイズの誤差はメーカー品よりも大きくなり、ならべた際にスキマができやすくなります。
このスキマをどうするべきでしょうか?幅の狭いスキマですし段差もありますから、ここだけ目地を入れることはできないでしょう。
思案した結果、タイルの表面に近い色で下地となる壁を塗り、タイルの接着にもダークグレーの接着剤を使い、スキマが目立たないようにすることにしました。
というわけで、タイルを張るはずの壁にもわざわざ珪藻土塗料を塗ったのでした。
さて、この壁のうちどの部分にタイルが入るかというと…
太い赤字で囲った部分が主にタイルを張る部分です。下部の空白にはタイル施工後に洗面台が設置されます。洗面台で隠れるところにはタイルは張りません。
測量して施工面積を算出してみました。
合計すると「0.4941+0.2673+0.12555」で「0.88695平米」となります。
でも、一体何個のタイルがあればこの面積を埋めることができるのか、数学がからっきしな僕にはまったくわかりません。
こんな感じに正方形のタイルを張るのならば計算も簡単ですが、今回はわけがちがいます。サイズが異なるタイルをランダムに組み合わせるとなると、どうやってタイルの数を割り出せばいいのでしょうか?
無い知恵しぼって考えたのが紙の上にランダムでタイルを描いて数拾いをするという方法。
気の向くまま3種のタイルをならべるように描きました。
小さい四角が25mm角、大きい四角が50mm角として計算すると、タテ・ヨコともにおよそ45センチになります。つまり、このスケッチ部分の面積は「45センチ×45センチ」で「0.2025平米」となります。
続いて、ここにどのサイズのタイルが何枚含まれているかを数えます。
こつこつ数えてみると、「大」は28枚、「小」は85枚、「横長」は38枚ありました。
「0.2025平米」に対してこの枚数が必要だとわかったので、あとは面積比で実際に施工する「0.88695平米」に必要な枚数を割り出せばOKです。 「0.88695÷0.2025=4.38」ですから、多少の余裕も持って4.5倍と見積もり、計算します。
- 【大】 :28枚×4.5=126枚
- 【小】 :85枚×4.5=383枚(端数繰り上げ)
- 【横長】:38枚×4.5=171枚
さらに、それぞれのサイズに対して「5mm/10mm/15mm」の3種の厚みを作り分けてもらいます。
比率としては「1:1:1」で問題ないだろうと考え、それぞれの枚数をざっくり3で割って必要なタイルの数が算出できました。
以上に加えて、青色で囲った部分=ミラーキャビネットや洗面台で隠れないスキマを埋めるタイルも必要となります。これについては、幅に合わせて別途に作成してもらうことにしました。
タイルの枚数が確定したら、僕はいざきくんが作ってくれるのを待つだけ。
水まわりの内装DIYがほぼ完了した頃には、いざきくんからタイルが無事に焼きあがったという知らせが写真とともに届きました。
次回は、このタイルをDIYで壁に張り付けていきます。