(314) フロアタイルならお安い価格でヘリンボーンの床が手に入る
引き続き、世田谷のマンションのリノベーションの話。
前回は壁紙や巾木を選びました。
今回は、床に張ったヘリンボーンのフロアタイルについて。
施工の様子から気になる施工費用のことまで、いろいろお話したいと思います。
■ヘリンボーンのフロアタイル「シェブロンウッド」
前々回書いたとおり、工事に使う床材はサンゲツ(sangetsu)のショールームで選びました。
うちのマンションではほぼ例外なくリノベーションのたびにサンゲツのフロアタイルを採用しています。メンテナンスや施工の手間がかからず質感のディテールも優れていて、賃貸マンションにはベストともいえる床材です。
僕が大家を引き継いだ頃は、白ペンキで塗装した壁や天井に合わせて白のフロアタイルを張るのが定番でしたが、リノベーションを重ねるうちに変化が欲しくなってきました。
濃い目のブラウンで渋い雰囲気を出そうとしたり、
障子に合わせてナチュラルな色味を選んだことも。
手前から奥に向かって張るか(長手)、部屋を横切るように張るか(短手)でも印象は変わります。
こんな具合にさまざまな種類のフロアタイルを試してきたのですが、色とタテヨコの向きだけでバリエーションをつけるのに限界を感じていたのも事実です。
そんなわけでショールームでヘリンボーンのフロアタイルがあると知ったときは、ぜひ試してみたいと思ったのでした。
「シェブロンウッド」(WD-916)という製品です。
ヘリンボーンといえば一般的にはこのような組み方がポピュラーですが、「シェブロンウッド」は斜めにカットされた木材が矢印のようにつらなるフレンチヘリンボーンという組み方です。
■ヘリンボーン組みにかかる割増料金は?
気になるのが施工費用のこと。
ヘリンボーンといえば、とにかく費用がかかる印象があります。割り付けから端部のカットまで施工に手間がかかりますし、カットするぶんだけ多めに材料を用意する必要があって材料費もかさむのです。木材のフローリングだと費用は1.5~2倍に跳ね上がることもあると聞きます。
ただし、今回施工するのはフロアタイルだというのがポイント。ノーマルなフロアタイルにくらべて手間賃が加算されるのはまちがいありませんが、木材のフローリングほどではないのでは?と期待して見積もりを出してもらいました。
一段目が通常のフロアタイルの施工料金で、二段目の「貼り手間割増」と書かれた部分がヘリンボーン施工に伴う手間賃です。
約12万円の基本料金に対して3万5千円ということは、およそ3割増しの計算。
これが相場的に見て高いか安いかという判断は難しいのですが、フローリングでヘリンボーンを施工した場合にくらべると割増の幅が小さいのはたしかです。個人的な印象を言うと「これくらいでヘリンボーンにできるなら試してみたい」と思えるていどの差額でした。
うちのマンションは工事のたびに異なるインテリアの部屋を作りますから、工事の費用の総額は変わらなくてもお金のかけどころは部屋によって異なります。床にお金をかけたなら、どこか他で帳尻を合わせればいいかな、と。
■割増料金を払うだけの価値がある仕上がり
工事の様子もご紹介いたしましょう。
工事前の室内。いろいろとトラブルがあり、フロアタイルの納品はほとんどの工事が完了した最終盤でした。
ブツが現場に届いたのは、なんと内見を翌日に控えた日(!)。
内見当日に床を張ってもらい、午後3時頃には内見というタイトなスケジュール。
そんな中でも職人さんの仕事はしっかり丁寧で、ヘリンボーンがきれいに見えるように割り付けをおこなってからの作業でした。僕のような素人がやると「とりあえず端から張ってくか」となっちゃうところだな。
先ほども書いたとおり、ヘリンボーンを張るときは部屋の端に合わせてきれいにカットしなければなりません。こういうのは素人がDIYでやると、時間がかかるわりに粗が目立つ仕上がりになりがちなんですよね。
こういった細かい配管まわりもバーナーでフロアタイルに穴を開けて収めるんだそうです。プロのテクニックを垣間見た気がしました。
あたりまえですが、プロの作業はムダがなくスピーディー。僕がDIYで張ったら軽く倍以上の時間がかかり、内見には間に合わなかったことでしょう。
張り付けが完了しました。さすがヘリンボーン、床に独特の表情が出ました。
眺める方向を変えるだけで印象が変わるのも面白い。
内見にいらっしゃった方が玄関ドアを開けた瞬間に「あ、ヘリンボーン!」と声を弾ませたのを聞いたときはうれしかったです。
個人的には前回もご紹介した巾木(モールディング)との組み合わせが気に入っています。装飾のある巾木とヘリンボーンがあいまってちょっとクラシカルな雰囲気が出せました。
ふつうのフロアタイルの施工費用「約12万円」に加えてヘリンボーンの割増料金「35,000円」がかかったわけですが、そのかいは十分にあったと思います。
ちなみに、「20平米で15万円強」という費用は、(ヘリンボーンではないノーマル組み方で)無垢のフローリングを選んだときの料金に近いと思います。
ということは同じ予算の中で、
「木材の質感を重視して(ノーマルな組み方の)無垢フローリングを選ぶ」か、
それとも、
「(質感を妥協しても)フロアタイルでヘリンボーンの床を手に入れる」か、
という選択も成り立つわけで、今回のタイトルは「フロアタイルならお安い価格でヘリンボーンの床が手に入る」としてみた次第です。
もちろん無垢フローリングでヘリンボーンならより素晴らしいのでしょうが、同じ面積で30万円はくだらないでしょう。それとくらべればフロアタイルのヘリンボーンは格安と言っていいと思います。
予算の都合でヘリンボーンの床に迷っている方、ぜひフロアタイルという選択肢も検討してみてください。