(345)キャンプのストレスがイヤで山小屋をリノベーションしたと言ってもいい
ちょっと前になりますが、キャンプ・アウトドア情報を扱うサイト「TAKIBI」で面白い記事を読みました。
キャンプをめぐるあれやこれやについて2,000人にネットリサーチした結果をまとめた記事なのですが、僕が興味を持ったのは防犯ではなく「キャンプ中に感じるストレス」をめぐるアンケートです。
この結果を一目見て僕には納得感しかありませんでした。「みんな思ってることは同じなんだなあ」と。ガチなアウトドア勢には鼻で笑われるかもしれませんが、どのストレスも近年のアウトドアブームで参入したライト層の多くの人が直面するであろう問題なのはたしかです。
以下、ストレスの「質」を大きく二つに分けて考えてみたいと思います。
■トイレなどの設備が汚いのがイヤ
まずは衛生面のストレスです。
第一位の「トイレの汚れ」はキャンプ場を訪れたことがある多くの人が体験したことがあるでしょう。
僕は子どもの頃、林間学校や家族旅行でキャンプ場に行ったことが何度かありましたが、あの汲み取り式トイレ=通称「ぼっとん便所」が怖くて汚くて、とにかくイヤでたまりませんでした。トイレに行かないようにするために夕飯をガマンするくらい。
さすがに現在は多少改善されているのでしょうが、今でもバンガローに泊まる気にならないのは、あのときのトラウマがあるからです。第三位に「トイレの数」がランクインしていますが、汚いトイレに入るためにならぶのも想像しただけでゲンナリします。
第二位の「ゴミ問題」や第五位の「炊事場の使い方や汚れ」も衛生的な問題です。トイレの場合と同様、個人的にはゴミが落ちている場所のすぐ隣で寝泊まりしたり、汚れたキッチンで料理したりする気にはなれません。
ちなみに第六位には「お湯が出ない」というストレスもランクインしていますが、これも「冷たい水はイヤ」という以外に、お風呂に入ったりシャワーを浴びたりできないのがストレスというのも含まれているのかもしれません。第十位の「焚き火の煙」のような汚れと切り離せないのがキャンプですからね。
なんにせよ、子どもの頃から「汚いのはイヤ」というもやしっ子だった僕としてはどの意見もすごく納得がいきます。
もちろん、世の中にはいろいろな人がいて衛生感覚も人によって大きく異なります。そのうえ「キャンプなんて汚れてあたりまえ」というスタンスでやってくる人も一定数いるでしょうから、設備を清潔に保つにも限度があるのだと思います。
■他人の存在だってストレスになる?
一方、衛生面とならぶ大きなストレスが「他人の存在」です。
第四位「声や音楽などの音」、第八位「近場のテント」を見ればわかるように、さまざまな人の集うキャンプ場では他人の存在自体がストレスの原因になってしまいます。
僕は大人になってからキャンプに行ったことはありませんが、河原にピクニックに行ったりお花見に行ったりすると、近くのグループが大声で騒いだりしているのを見てイヤだなあと感じた経験はあります。音楽を必要以上に大音量で流すあの感じもツラいですし、お酒が入った人が近くでケンカなんか始めたりすると、もうね……。
その種の迷惑行為を別にしても、他人の目が気になってリラックスできないということもあるでしょう。これ見よがしに自慢のギアをひけらかされたりすると、見せられるほうも愉快ではありませんし、逆に、あんな安物使ってやがんのかと見下される(ないしは見下されているのではないかと思ってしまう)のも楽しくありません。どれも人間社会につきものの問題ではありますが、結局キャンプ場に来ても同じ目に遭わなきゃならないのかよと思うと悲しくなりますね。
以上、二つのストレスをざっくりまとめるとキャンプは「汚い」し「他人が気になる」のがイヤという感じでしょうか。
もちろんコアなアウトドアファンの方に言わせると「そんなのあたりまえだし、イヤなら来なくていいのでは」ということになるのかもしれません。
でも、衛生的に快適な環境で他人の存在を気にせずにキャンプできる環境だってあっていいと思うのです。
近年、「グランピング」なんて言葉がもてはやされて専用の宿泊施設も作られたりしていますが、これも「グラマラス・キャンピング」という言葉が抱かせる「豪華さ」や「贅沢さ」だけでなく、「清潔さ」「貸し切り感」といった「ストレスフリーな雰囲気」が人を引き付けているのでは、と思ったりします。
■ストレスを感じずに自然を楽しむための山小屋
で、我が山小屋の話。
僕がゲスト用の離れ小屋をリノベーションするにあたって重視したのは、今回の記事で問題にされているようなストレスを感じないで山遊びができるようにすることでした。
大きな窓で屋内にいながら外の緑を存分に感じることのできる環境。
清潔なトイレ、
お湯で汚れを洗い落せるシャワー、
メイクもできる洗面。
山奥なので他人の目を気にせず、ゆっくり過ごせます。
冒頭のアンケートに挙げられたストレスの大半は感じずに済むのではないでしょうか。これは偶然ではなく、ひとえに僕がキャンプのストレスを感じてきたからこそなのだと思います。実際、遊びに来てくれた人でも、この点を喜んでくれる人は大勢います。
どうしてこんな記事を書いたかというと、最近、焚き火を積極的にやるようになったからなのです。
まだまだコロナが終息したとはいえないなか、お客さんを室内に気軽に招くことはためらわれるのですが、焚き火を囲んで離れで宿泊するのであれば、かなりリスクは抑えられ、ホストもゲストも安心。お客さんに少しでもストレスフリーにアウトドア体験を楽しんでもらえるようにしたいのです。
次回は、昨年ちょろっとご紹介した焚き火台を使って初めての焚き火にトライしたときの体験談をまとめます。