(346)初めての焚き火で感じたこと
前回は「キャンプで感じるストレス」についていろいろと思うところを述べました。
「トイレが汚いのはイヤ」とか「まわりに赤の他人がいるとリラックスできない」とか、いろいろと贅沢を言いましたが、それでもキャンプ(ごっこ)がしたい気持ちがあるのも事実。
ご多分に漏れず僕もコロナ自粛でアウトドアに興味を持ったクチです。まだ人との距離感に神経を使う雰囲気が漂うなか、バーベキューと焚き火ならお客さんと一緒にリラックスして過ごせるかなと思ったわけです。
バーベキューはしょっちゅうの僕も焚き火は今回が初めて。実際にやってみて感じたいろいろを書きつづってみます。よりわかりやすくするために写真の一部は二回目以降の焚き火の写真も使用していることをご承知おきください。
■「hoefats(ホーファッツ)」の焚き火台
以前もチラッと書きましたが、きっかけはこちらの焚き火台。
「CUBE Fire basket(キューブ・ファイヤー・バスケット)」です。「ダルトン」でセールになっていたので衝動買いしました。
「hoefats(ホーファッツ)」というドイツのブランドの焚き火台だそうで、定価はなんと「71,280円」。
※2024年4月15日追記
現在、ネットショップでは「94,600円」で販売されています。
初心者が軽々しく手を出せる値段ではないのですが、これが50%オフで「35,640円」になっていました。これでもまだまだお高いのですが、デザインを一目で気に入ってしまったこともあり、思い切って購入しました。
モノを手に入れると使いたくなるのが人間というもので、親しい入居者さんを誘ってバーベキューと焚き火をしてみました。
場所は母屋と離れの間にあるモルタル敷きの階段状のスペース。お世辞にも広くて快適とは言い難い場所ですが、3~4人で焚火台を囲むくらいは可能です。何よりトイレが近くにあって、他のキャンプ客がいないのが快適です。
焚き火台には焼き網も付属していたので肉を焼くこともできますが、肉から滴り落ちた脂で汚れたバーベキュー台を掃除する手間を痛感している僕としては、せっかくのおろしたての焚き火台を脂まみれにする気にはなれません。
以前ご紹介した「焚き火の本」でも著者の猪野さんは「理想を言わせてもらうなら、汚れてもいい調理用、きれいにしておきたい鑑賞用と2台を使い分けてほしい」と書いていました(47ページ)。「鑑賞用を料理用として併用してしまうと、食材の油や汚れで台が傷みやすく、掃除やメンテナンスが面倒だから」(同ページ)というのがその理由だそうです。
僕はといえば、これまで肉の調理はレンガで組んだ炉でおこなってきました。
引き続きこの炉を活用して肉を焼き、新しい焚き火台は主に観賞用として使用することにしました。
■牛乳パックやわりばしを活用してかんたん着火
まずは薪などをセットして炉に火を入れます。
ずっと前から肉を焼いてきたので、火起こしはすっかり慣れっこ。最後に困ったのがいつだったか思い出すことすらできません。
最近は、新聞紙の代わりに猪野さんが紹介していた「牛乳パック」を活用するようになり、ますます着火がラクになりました。内側がワックスコーティングされているのでよく燃えるのです。
これを細長くカットして丸めると、新聞紙のように燃えカスが飛ぶこともなく、素早く燃えてくれます。
テイクアウトで溜まったわりばしも便利です。「着火剤→牛乳パック→わりばし→薪→炭」という感じで徐々に火を大きくしていけば、燃えにくい炭も知らないうちに着火しています。
塊肉の調理は以前も書きましたので省略しますが、これだけのために火を起こす価値があるくらいの美味しさです。
■薪をくべるのは忙しいが、火を見るのは楽しい
肉の調理が済んだら、炉に残った薪や炭を焚き火台に移します。
いよいよ焚き火スタート。
薪を足して燃やしていきます。
日が暮れて寒さが増してくると、焚き火の灯りと温かさが身に染みます。
意外だったのが、薪が燃える速さ。焚き火というと「ゆらめく炎を見ながらダラッとする」イメージがあったのですが、くべたそばから薪がどんどん燃えてしまうので次々にくべないと炎がもたないのです。
あとで気づいたのですが、いつもスーパーやコンビニで買っている薪はわりと細めにカットされたものなのです。肉を焼くにはまったく問題ないのですが、ゆっくり焚き火を楽しむにはもっと太めの薪を用意したほうが長く燃えてくれるのでしょう。
この日は午後1時過ぎに炉に火を入れ、夜8時過ぎまで焚き火をしたのですが、ぜんぶで3束強の薪を使いました。最後に薪をくべたのが午後7時頃だったので1束で2時間ももたない計算です。焚き火ってたくさんの薪を使うんだなあと実感しました。
刻々と形を変える炎を眺めながら薪をいじっていると、いつまで経っても飽きません。
少し離れたところから眺めるのも楽しいですし、
火の勢いが弱まってきたときもきれい。
特に最後の残り火の美しさには驚きました。
■初めての焚き火で感じた課題の数々
一緒に焚き火を囲んだ入居者さんも楽しんでくれたようで初めての焚き火はおおむね成功だったのですが、いろいろと改善したい課題も見つかりました。
先ほども書いたとおり、薪が細いとあっという間に燃えてしまってゆっくりするヒマがありませんから、太めの薪を入手してみました。
写真の薪は清瀬市のふるさと納税で手に入れたもの。この太さなら長く燃えてくれそうです。次回はもっとゆったり焚き火が楽しめそう。
薪をいじるのは僕の仕事と思っていましたが、いざやってみるとゲストのみなさんも薪をくべてみたがることがわかりました。そのたびにグローブやトングを渡すのは面倒だったので、ゲスト用のグローブとトングを追加購入することにしました。
後片付けのとき思った以上にまわりが暗いのも気になりました。焚き火が消えた後の山奥ですからあたりまえなのですが、素人の僕には予想外。以前も紹介したテーブルランプ「イチ」を屋外に持ち出してなんとかしのぐことができたので、今後も焚き火の必須アイテムになりそうです。
テーブルなど物を置けるスペースを設けることも大事です。ひとまず小さなローテーブルと折りたたみテーブルを用意したのですが、これでも足りないくらい。
焼く前の食材や調味料、食器や飲み物の入ったカップなど、物をちょい置きしたいと思う機会は意外に多いので、置き場所をたくさん設けていくことでよりストレスなく焚き火が楽しめると思います。
とはいっても、あまりテーブルを増やすとゴチャゴチャして狭苦しくなりそうだし、悩ましいところ。屋外のスペースがもうちょっと広かったらなあ……と思いつつ庭を眺めていたら、そもそもベランダが邪魔なんじゃないかと気づきました。
祖母が洗濯物を干すのに増築したものですが、もう十数年使っていません。これがなければもっと広々と焚き火が楽しめるはず。
次回は業者さんに依頼してベランダを撤去してもらいます。