(361)戸建ての別荘やセカンドハウスの維持費っていくらなの?

お金のこと

前回、熱海のリゾートマンションの維持費をまとめました。

管理費や修繕費、水道光熱費などすべてひっくるめて「毎月5万円弱」の維持費が出て行くことがわかりました。

実は、僕が東京の西部の山奥に所有する一戸建ての維持費もほぼ同じ「5万円弱」なのです。

今回は、その内訳を確認しながら「別荘やセカンドハウスを維持するのにいくらかかるのか?」についてまとめてみようと思います。


■そもそも「別荘の維持費」ってどんなもの?

山小屋の維持費や修繕費というテーマについては、今までこのブログや「日刊Sumai」で何度も書いてきました。

日刊Sumai別荘を持つと、どんなお金がかかるの?

日刊Sumai築50年の山小屋の修繕に10年間で使った総額は?

山小屋大家日記「ゲスト用の別荘」を1年間運用してかかった光熱費などを振り返る

「SUUMOジャーナル」で取材を受け、維持費についてお話したこともありました。

SUUMOジャーナル150万円で買える!? 格安別荘の活用法と注意点

僕自身「維持費」や「修繕費」という概念をしっかり定義せずに書き散らかしてきたので、今振り返ると記事ごとに内容のブレがあり、ちょっとわかりにくい印象を抱きました。

そこで、前回のリゾートマンションと同じ考え方で「維持費」の一覧を作ってみました。

  • 毎月の水道光熱費・通信費
  • 毎年の固定資産税・火災保険
  • 物件の管理・修繕にかかる費用

詳細についてはそれぞれの項目でご説明しますが、「毎月支払うもの」「毎年支払うもの」「必要に応じて適時支払うもの」という時間的な区分で3つに分けています。

離れと母屋

なお、この原稿でまとめるのは、ゲスト用にリノベーションした離れの小屋(写真左)ではなく、僕が家族と使用している母屋(写真右)にかかる費用であることをご承知おきください。


■水道光熱費と通信費で「245,850円」

まずは月々支払う費用からまいりましょう。これについては2021年の最新のデータが手元にありますので、それを一覧表にしてみます。

2021年の電気代

電気代は年間「89,318円」。ひと月あたりの平均を取ると「7,443円」と別荘としてはかなり高め。カライエやルームドライヤーを年間通して3台稼動させているのが影響していると思います。

2021年のガス代

ガス代は年間「45,899円」。月平均は「3825円」。晩秋や初春にはガスヒーターをかなり使うのでガス代が若干高くなる傾向があります。

2021年の水道代

水道料金は「10,692円」。安く思えるのは上水道のみの料金だからです。うちの山小屋は下水道が整備されていないため浄化水槽を使用していますが、これにかかる維持費も足すのが現実的でしょう。

浄化水槽維持費を加えた2021年の水道代

行政による年一回の検査料金「5,500円」と、専門業者による年四回の点検・清掃料金「22,000円」も合計した実質的な水道代は「38,192円」となりました。

2021年の通信費

僕も妻も山の家で仕事をしますから固定のネット回線は必須です。毎月6,000円強で、年間合計が「72,441円」。

2021年の水道光熱費・通信費の合計

以上の水道光熱費と通信費を合計すると「245,850円」です。


■固定資産税は「21,200円」、火災保険は「56,120円」

年払いの費用も出て行きます。

固定資産税は「21,200円」。前回ご紹介した熱海の半分ほどで、物件の広さを考えるとかなり安価です。当然ながら東京には別荘税もないので、事実上は熱海のマンションの四分の一くらいと言ってもいいかもしれません。

ただし、広さがあるため火災保険は年間「56,120円」と高額です。しかも地震保険は含まれていません。そのへんも含めて最近見直しているのですが、もし10年契約にしてまとめて支払うことができれば、地震保険を入れても大差ない金額になることがわかりました。一度に50万円を超える保険金を支払うのは大変ですが、どうせ払うなら安く済ませられるほうがいいかなと近々見直そうと思っています。

先ほどの水道光熱費などと合計してみると…

2021年の維持費合計

年間で「320,170円」。月にならすと「毎月26,680円(端数切捨)」となる計算です。


■2009年から18年までの修繕費は10年で「約255万円」

これだけでは終わりません。戸建てを維持していくのに必要な修繕費があります。前回のリゾートマンションのケースでは「管理費・修繕積立金」が毎月徴収されていましたが、それに相当する出費と言えるでしょう。

山小屋の周辺の緑

山奥の自然豊かな環境では、屋根裏に住み着いたハクビシンを追い出したり、台風による床下浸水を補修したりと、予想以上にさまざまな費用がかかります。どれも「それをおこなわないと家屋自体も生活も維持できない」という類の出費です。これらを「修繕費」と見なして維持費に加えたいと思います。

なお、マンションの積立金とはちがい、戸建ては年によって出費の額が大きく異なるのでなるべく長い期間で平均を取って考えます。

まずは、冒頭にも挙げた「日刊Sumai」の記事「築50年の山小屋の修繕に10年間で使った総額は?」から2009年から18年までの修繕費を抜粋しましょう。

  • 2009年「シロアリ駆除と床下換気扇の設置」約98万円
  • 2011年「屋根裏のハクビシン駆除」約15万円
  • 2011年「足場を組んで屋根の修繕と外壁塗装」約77万円
  • 2015年「離れの床の補強工事」約9万円
  • 2016年「シロアリ防除剤・防カビ剤の散布」約32万円
  • 2018年「凍結して破裂した水道管と水栓の修理」約24万円

10年間で実に255万円もの修繕費を費やしました。年平均で「255,000円」。2009年時点で築40年、しかもそれまでほぼノーメンテナンスであったことを考慮しても、けっこうな出費です。


■2019年以降の分を含めて毎年「約25万円強」の修繕費

今回、2019年以降の修繕費も追加でまとめてみました。

この間、キッチンを移転&新調したり水まわりを刷新したりしましたが、「生活の質の向上をめざした工事」なので「修繕費」には含めていません(経年劣化などによるマイナス部分をリカバーする工事を含む場合、相当の金額を下記に計上しています)。

  • 2019年:台風による床下浸水の復旧費「228,000円
  • 2019年:エアコンの修理「28,372円
  • 2020年:ガス給湯器の更新費用「233,000円
  • 2021年:床の解体・腐食根太の交換・ベニヤ仕上げで「213,400円
  • 2021年:ルームドライヤーの修理「10,043円
  • 2021年:スズメバチの巣の駆除「11,000円

合計すると3年間で「723,815円」。1年あたり「241,271円(端数切捨)」となり、先の10年の平均に近い数字が出ました。

なお、今年(2022年)には6年ぶりの「シロアリ防除剤・防カビ剤の散布」工事があり、現時点ですでに「33万円」の出費となっています。

以上の2009年から2022年までの出費をまとめると「3,603,815円」で、年平均は「257,415円(端数切捨)」となりました。こうして振り返ってみても築古戸建ての修繕にかかる費用の高さに驚きます。


■ぜんぶひっくるめて山の家の維持費は「毎月5万円弱」

あらためて維持費をまとめましょう(以下、すべて端数は切り捨てて表記)。

維持費の合計金額

合計すると年間「580,585円」となりました。月平均にすると「48,382円」

「毎月5万円弱」の維持費が必要ということで、奇しくも前回のリゾートマンションとほぼ同額の結果が出ました。

あくまで僕個人のケースではありますが、単純に維持費の大きさだけで言うならば、戸建ての別荘とリゾートマンションの維持費に大差はないのではないかと感じています。

ただし、強制的に徴収されるリゾートマンションにくらべ、戸建ては必要に応じて工事がおこなわれるためイレギュラーになる点や、どこまで修繕するかを個々人が判断できる/しなければならない点は大きなちがいだと思います。

さて、たまにしか宿泊しない別荘やリゾートマンションに毎月5万円も費やすことを愚かだと思う方もいるでしょう。次回は、ムリを承知で「別荘やリゾートマンションの宿泊費」を算出し、コストパフォーマンスについて考えてみようと思います。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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