(372)コンクリートエフェクトペイントで押入れをモルタル風に塗装する
引き続き、押入れのリフォームを続けます。
前回、パテやシーラーなどの下準備を施した壁を塗装していきます。
ポイントとなる塗料選びですが、今回はちょっと変化球を選びました。
タカラ塗料の「コンクリートエフェクトペイント」です。
塗装面積が広いので4キログラムを購入しましたが、1キロ以下の少量タイプなどもあるようなので必要な量だけ買うことができます。
メーカーの説明によれば「誰もがコンクリート風に塗装ができる塗料セット」(説明書より引用)なんだそうです。
以前も書きましたが、今回の工事では躯体がむき出しになった壁や天井を活かした部屋づくりをしたいと思っていました。
となると、木材で造作された押入れのように質感も色も異なる部分をどう仕上げてコンクリート部分と調和させるかが課題になります。それにもってこいの塗料ということで「コンクリートエフェクトペイント」を選んだのです。
最初に基本的な塗装方法を説明しておくと「ベースとなるライトグレーを二度塗りしてから、その上に薄めたダークグレーやサンドグレー、ライトグレーを塗り重ねてアクセントをつける」ことでコンクリートのような見た目に仕上げます。
しかし、「しょせんは塗装。すごく安っぽい見た目になるのではないか」という心配もあり、ドキドキしながらのトライでした。
■まずはベースとなる「セメントグレー」を二度塗りする
まずはベースとなる「セメントグレー」を塗ります。色味としてはライトグレー。
缶を開けてみると、ドロリとした質感が目を引きます。珪藻土ペイントにも通じる粘度です。説明書によると「塗料に対して5~15%ほど水を足して」使用するそうで。
いちいち量って薄めなければならないのはちょっと面倒ですが、初めての塗料ですから丁寧に作業しました。計量して水を足し、よくかき混ぜます。
前回のシーラーと同様、ローラーで塗っていきます。色のノリはなかなかいいです。濃い目の下地も一回目でほとんど隠れました。
薄めてもそれなりに粘度があるのでたれることもなく塗りやすく、DIYにも向いてますね。
押し入れの中のような手が届きにくい場所はローラーに延長用の継ぎ柄をつけて塗っていくのがおすすめです。
前回のような地味な下地作業にくらべて、塗装は成果が目に見えるので百倍楽しいです。
遠目には一度塗りだけでも十分きれいに見えますが、
近くで見るとうっすら下地が透けるのがわかります。
マニュアルによるとベースとなる「セメントグレー」は二度塗りが必要なので、乾くのを待って二度目の塗装をおこないました。
珪藻土ペイントと同様、重ね塗りしてもその箇所だけが目立ってしまうことはないので、塗りが甘い箇所を見つけたら小さいハケで重点的に塗ってあげるといいと思います。
二度塗りのおかげで、しっかりと色がのりました。
今のところコンクリート感は皆無ですが、ここでやめてもいいくらいきれいな仕上がりです。
■2種類のグレーでアクセントをつけていく
ここからがいよいよ本番。
「セメントダークグレー」と「セメントサンド」の2種類のグレーを上塗りして、アクセントをつけていきます。
まずは「セメントダークグレー」から。
こちらは「塗料に対して5倍の水でうすめて」使用します。
5倍というだけあってかなりシャバシャバ。グレーの色水といった感じ。
どうやって塗るかというと、
「クシャクシャに丸めたビニール袋」を使います。
手を汚したくないので、僕はビニール袋を手にかぶせ、先をくしゃくしゃにして塗装しました。
塗る前に軽く霧吹きをして、
ポンポンと塗料を塗りつけます。
と思ったら、塗料が盛大にしたたり落ちてしまいました。ちょっと塗料をつけすぎたようです。
乾く前に塗り広げてごまかしましたが、こんなふうに塗料が流れた跡が残るとコンクリート風の見た目とは程遠い仕上がりになってしまうので注意が必要です。
ビニール袋を塗料に浸してしまうと液だれしてしまうのでビニールの先端にチョンチョンとつけるていどで十分なのかな。
あせらず少しずつ模様を広げていきます。
「セメントダークグレー」を塗り終えた壁面。不慣れなこともあってところどころ塗料が流れた染みも目立ち、汚れただけみたいに見えます。ちょっと後悔しかけましたが、もう前に進むしかありません。
続いて、今度は「セメントサンド」を塗っていきます。少し黄色みがかったグレーです。こちらも原液を水で5倍に薄めます。
同じようにポンポンと塗りつけていきます。先ほどの「セメントダークグレー」が液だれした箇所に重点的に塗り重ねて染みを隠したり、ベースのライトグレーが目立つところに濃い目に塗ってあげたりして、見た目の違和感を減らすようこころがけました。
「セメントサンド」を重ねた壁。だいぶ雰囲気が出てきました。このあたりで不安は消え、「これは面白いかも」と感じ始めました。
「セメントサンド」を塗り終えた押入れ。遠目にはすでにコンクリートっぽい雰囲気が漂い始めています。
でも、近づくとまだまだ「塗料を塗った感」が否めません。
■仕上げにもう一度「セメントグレー」を薄塗りする
最後の仕上げに、最初に塗った「セメントグレー」(ライトグレー)を今度は5倍に薄めて塗ってあげます。
塗りムラや流れ染みがさらに目立ちにくくなり、独特のニュアンスが際立ってきます。
下が「セメントグレー」を重ねる前、上が「セメントグレー」を重ねた後。
こうやって色を重なれば重なるほど「塗料を塗った感」が薄まり、モルタルっぽさが感じられてきます。
こうして振り返ると、均等に塗るよりは、色が濃いところや薄いところがあったほうが、コンクリートっぽさが出るので、アクセントの重ね塗りはメリハリをつけて塗るのもありだと思います。
ただ、ひとことで「コンクリート」「モルタル」といっても思い描く質感は人それぞれなので、自分のイメージに近づけるように仕上げていくのをすすめます。
「セメントグレー」を塗り終え、「コンクリートエフェクトペイント」の塗装が終わりました。
あらためてアクセントの重ね塗りをおこなう前とくらべてみると…
だいぶ印象が変わったのがおわかりかと思います。
ちなみに、後日、棚板の表面を保護するために水性ニスを塗りました。
ワシンの「つや消し水性ニス」です。
つや消しといえどニスはニス。塗装後の棚を未塗装の壁と見くらべると、若干の光沢は出てしまいました。しかし、物を出し入れする押入れなので見た目よりも塗装面の保護を優先しました。
■仕上がりの質感には満足だが、塗装に手間がかかるのが難点か
さて、躯体あらわしの天井やモルタルの壁とならんだときの印象はどうでしょうか。
こちらは洗面の天井。モルタルの壁に合わせて「コンクリートエフェクトペイント」を塗りました。
一方、こちらは以前壁紙をはがすのを断念したエアコンまわりの壁。壁紙の上から「コンクリートエフェクトペイント」を塗りました。
左上の梁が塗装部分で、柱と右上の梁がモルタル部分です。多少の色味のちがいはあるものの、躯体あらわしの天井やモルタルの左官仕上げの壁とならんでも大きな違和感はありません。
塗装でこれだけの仕上がりが得られるのは素晴らしいのですが、ベースを二度塗りし、その上に薄めた3種の塗料を塗り重ねばならないのを考えると、かなり手間のかかる塗料であることは否めません。
説明書によれば、「セメントダークグレー」~「セメントサンド」~「セメントグレー」を薄めて塗る工程を繰り返すことで色の濃さや模様の大きさの調整ができるそうですが、この工程を何度もくりかえす根性を持つ人がどれくらいいるのかは疑問です。
それでも、個人的な感想としては手間をかけるだけの価値はあったと断言できます。コンクリートうんぬんを別にしても独特のニュアンスは模様としてもきれいです。
ご興味ある方はぜひトライしてみてください。
次回は「コンクリートエフェクトペイント」の可能性をさらに引き出すべく手をかけた塗装方法を検討してみます。