(384)黒のアイアン塗料で古い木製引戸を鉄っぽく塗装してみた
スチールドアを塗装した前回に続き、今回もアイアン塗装のお話です。
物件を見学したときに驚いたのが浴室の引戸でした。
これがなんと木製でした。直接水がかかるお風呂のドアに木を使うなんて今なら考えられませんが、このマンションが建てられた50年前は安価で耐水性の高い素材がなかったのでしょう。
かくいううちのマンションも古い部屋の浴室はドアが木製で、湿気で脆くなったドアの下の部分が腐り落ちていたことがありました。
退去後にこれを見たときはさすがにショックでした。
それにくらべれば、この木製引戸はずっと状態もよく、使うにも困りません。処分するのは惜しい気がしたので、アイアン塗料を使って塗装することにしたのです。
今回の熱海のマンションでは多用している「シュペンパンザー」のアイアン塗料ですが、その特徴のひとつは塗膜の強さ。
撥水性にも優れるので、浴室ドアにも使えるのではないかと考えたのです。
選んだ色はブラック。
再三書いてきたとおり、今回の部屋は全体的に白や黒の色は使用せず、グレーで統一するようこころがけてきましたが、浴室は例外。
ごらんのとおり、黒のタイルが全体に張られています。これに合わせて引戸は黒で塗ることにしました。
ブラックはアイアン塗料の中でもいちばん人気だとか。僕も以前、これで山小屋の階段などを塗装しました。
この記事と重複する内容も多いのですが、あらためてブラックのアイアン塗料ならではの独特の質感も含めて塗り方や注意点などをまとめてみたいと思います。
マスキングテープでガラス部分との境い目を養生したら、
窓を開けてしっかり換気して塗装開始
塗装開始。のちのち重ね塗りでアクセントをつけるので、ムラを気にする必要ありません。というか、ムラが出るほうがベターなくらい。
引き手の金属部分も塗りつぶしてみることにしました。
塗装前と塗装後の比較です。マットな黒の色が付いただけで、だいぶ印象が変わります。
もう一枚も塗装して一度目が完了。
アイアン塗料は二度塗りが基本ですので、乾くのを待って翌日もう一回塗りました。
乾いたあとの質感。この時点でもマットな色合いで雰囲気ありますが、ここからがアイアン塗料の本領です。
ハケに塗料を多めに含ませて垂直方向にトントンと塗っていきます。
独特のまだら模様が付きます。塗るというより、塗料をのせる・盛るという感じ。
手前と奥をくらべれば、差は一目瞭然。このアクセントがのちのち独特の質感を生むので、ここがいちばんのがんばりどころです。個人的にはいちばん楽しい工程でもあります。
ぎゅっとハケを押し付けてみたり、
こぼした?と思うくらいに盛ってみたり、いろいろと試してみると面白いです。
アイアン塗料は粘度が高いのでハケが抜ける失敗もよくあるのですが、乾いてから気づくと簡単には取り除けません。
そんなときは上から塗料を盛って隠してしまえばOKです。
以前もお話したとおり、ムラなく平らに塗るのが難しいアイアン塗料ですが、こういうふうに立体的なニュアンスを付けるにはうってつけの塗料なのです。
一枚目(奥)が塗り終わりました。塗る前の二枚目(手前)とくらべると、質感のちがいは一目瞭然。
二枚の塗装が終わりましたが、まだ仕上げが残っています。
アイアン塗料のブラックは、他の色とちがって最後に仕上げのやすりがけを施す必要があります。240番くらいで軽くこすってあげましょう。
ごらんのとおり、塗料を厚めに塗った箇所が削れて色味が変わり、独特のキラキラした質感が生まれます。
やすりがけ前(左)と後(右)の比較。
離れて見ても、質感の変化がわかるはず。やすりがけを施した右側は、より「鉄っぽい」雰囲気が漂います。
再設置したあとの写真。冒頭の写真と比較していただけると、ガラリと雰囲気が変わったのがおわかりいただけるはず。
ブラックのアイアン塗料は塗装に手間がかかりますが、手間をかけるだけの価値がある塗料だと思います。
これで室内の塗装作業はほぼ終了。次回はトイレのリフォームに取りかかります。