(404)「コンポジションタイル」をDIY施工し終わって感じたこと
前回、「コンポジションタイル」をDIYで張り付けました。
長々と書いてきた「コンポジションタイル」のお話も今回が最後。素人DIYならではの失敗談、プロが施工した床との比較、「コンポジションタイル」の部屋で実際に暮らしてみた感想などをまとめます。
■まさかの裏表が逆!?
前回、DIYの模様をお届けした際、こんな写真を掲載しました。
よくごらんください。タイルの表面にうっすら文字が書かれているのがわかりますか?
これ、タイルの裏面に記載された表記なのです。
そう、まさかの“裏表逆”に張り付けてしまっていたのです……痛恨の失敗。
しかし、この写真を撮影したときはおろか、工事も最終盤に至るまで気づきませんでした。それくらいのかすかな印字です。
最初に気づいたのはこの矢印を見つけたとき。
「あれ?……ひょっとして裏面の印!?」と思って注意深く見直してみると、先ほどの印字も見つかりました。もはややり直しなどできるわけもなく、そのまま施工を続けることに。
にしても「フロアタイルの裏表をまちがえるなんてこと、ありえるの?」とお思いの方もいるかもしれません。
以前もご説明したとおり「複層ビニルタイル」と呼ばれる一般的なフロアタイルならば、
こんなふうに、オモテ面とウラ面が異なる素材でできているのでまずまちがえることはないのです。
ところが、同じフロアタイルでも「コンポジションタイル」の場合、表面から裏面まで均質の素材でできているため裏表の区別は容易ではありません。
僕だってそのことをまったく意識していなかったわけではなく、
この状態で外箱を開けて、上の面をオモテに、向きも必ず上辺を窓側に向けてそろえるように気をつけたつもりでした。
ところが、箱を開けて目に入る面が実は裏面だったというオチ。あえなく失敗したわけでした。
ふつう、こっちが表だって思うよね……なんて愚痴っても仕方ありません。
まあ、完成した室内を見た人はだれも気づかないていどの失敗なので、あまり気にしないようにします。DIY施工にトライする方はどうぞご注意ください。
■プロが施工した「コンポジションタイル」とDIYの比較
さて、この大失敗は別にしたとして、DIY施工した「コンポジションタイル」のクオリティはどのていどなのか、気になる方もいると思います。
今回のDIY施工の前に、世田谷のマンションでプロの職人さんに「コンポジションタイル」を張ってもらいました。
こちらは「マチコV」という30センチ角のタイプ。
一方、これは僕がDIY施工した「グラノーブル」という45センチ角のもの。両者の比較については以前の記事をお読みください。
まず、パッと見の印象でいえばプロとDIYの差はほぼないと言ってもよさそうです。
もう少し寄ってみましょうか。
こちらがプロの施工、
こちらがアサクラのDIY。これくらいの距離でも露骨な差は感じられません。
なかなか上手にできたと自慢したいところですが、前回ご紹介したとおり「コンポジションタイル」はそもそも施工が簡単で大きな失敗をしにくい床材だということです。
では、プロとのちがいがどこに出るかといえば壁や柱に接する端部の加工精度だと思います。
これはプロが施工した柱まわり。ほぼスキマのない美しい仕上がりはさすが職人クオリティ。
この仕事を見たあとだと、
僕が施工したドア枠まわりなどはスキマが目立ちます。こういう細部の精度にこだわりたい方はプロに依頼したほうがいいかもしれません。
ただ、遠目に見れば素人の仕事でも十分鑑賞に耐えられる仕上がりなので、冒頭の“裏表逆”の失敗を含めてもトータルでは満足しています。
■実際に使ってみて感じた使用感
最後に「コンポジションタイル」の使用感についても触れておきましょう。
先ほども書きましたが、「コンポジションタイル」は全体が同じ素材でできているため、表面などに特殊な加工を施すことができず、基本的にはフラットで平滑な表面になります。
同じフロアタイルでも、表面に木目や石目に合わせた凹凸の加工を施している「複層ビニルタイル」とは手触り(足触り)が異なります。
フラットではありますが、ツルツルだったりテカテカな光沢があったり、いかにもビニール素材といった質感ではありません。個人的にはサラサラとした触り心地で、暖かい日なら裸足で歩くのも抵抗がない素材感だと思います。ただ、凹凸がないぶん足裏全体がタイル表面に接するせいか、「複層ビニルタイル」よりも冷たさを感じやすい印象を持ちました。
その意味では、同じビニール素材でも以前ご紹介した「ココフロア」のような床材のほうが裸足生活向きかと思います。
「コンポジションタイル」は意外に傷がつきやすいことにもご注意ください。
異なる素材が層をなしている「複層ビニルタイル」とくらべ、全体が同じ素材でできている「コンポジションタイル」は“摩耗に強く傷がついても柄がすりきれない”のが利点だと一般的には説明されるようです。
しかし、表面をひっかくとその部分だけ色が変わってしまいます。均質な素材だからといって「傷が目立たない」というわけではないんです。
この写真は無精して灯油ヒーターを片手で動かした際についてしまった傷。施工直後でまだまだきれいな床だけに傷が悪目立ちします。細かい傷が増えてくればまぎれてくれるのかな、なんて期待しているのですが果たしてどうでしょうか。
一方、「複層ビニルタイル」は印刷面まで削れると下地が見えてしまうのが弱点だと言われますが、ふつうに暮らしているとそこまで深い傷がつくことはほとんどありません。
これは施工から5年経ったうちの事務所の床ですが、細かな傷がついても木目模様にまぎれて思ったより目立ちません。もし「コンポジションタイル」か「複層ビニルタイル」か迷っている方がいたら、この点も考慮に入れるといいでしょう。