(406)使いづらい照明スイッチはあきらめてリモコン電球にすべし
あけましておめでとうございます。
今年も引き続き、熱海のマンションのリノベーションについて書いていきます。
2023年最初のトピックは「リノベーションと照明スイッチ」。これから数回にわたってスイッチまわりに施した工夫についてお話します。
築古の物件に住んでいると既存の照明スイッチが使いづらいと感じることも多いのではないでしょうか。
電気屋さんにお世話になってスイッチをいじってもらうのはハードルが高いのですが、最近はリーズナブルなスマート電球も豊富にあるので、スイッチ自体はあきらめてリモコンで電球をダイレクトに操作するだけで利便性が劇的に向上することもあります。今回の記事はそんな一例としてお読みいただければ幸いです。
■既存の照明スイッチにはいろいろと問題があった
昨年、熱海の物件を購入してすぐ「この部屋の照明スイッチはなんだか変だぞ」と気づきました。
その代表がリビングの照明スイッチ。
リビングに入ってすぐ横の壁にあるスイッチで、このどれかが天井の照明レールにつながっていると思っていましたが、どれを押しても点灯しません。ひょっとして壊れてるのかと思ったら…
なぜか洗面や浴室の照明と同じプレートにスイッチがありました。
ごらんのとおり、部屋の入口からかなり離れたところ。
なんでこんな場所に?と思ったのですが、照明レールをよく見てみると…
窓のすぐそばの天井から照明レールの電源が取られているのです。
その理由はこの物件の歴史にあります。
もともとこの物件は、リビングの一角に和室があるという日本のマンションによくある間取りでした。
のちのオーナーが和室を解体し、キッチンダイニングと和室と窓辺のサンルームをつなげて広いリビング(赤で囲った部分)にリノベーションしたのです。
照明レールもそのタイミングで設置されたのだと思います。電線の取り回しの都合でしょうか、電源をサンルームの天井から取ることになったようです。そのせいでリビングの入口から離れたところにスイッチがあるという奇妙な構造ができあがってしまったのでした。
スイッチをよく見てみたら「サンルーム」の文字が残っていました。築古物件はいろいろありますな。
■和室だった場所の天井照明にはスイッチすらない
一方、もともと和室だったスペースの中心にあった照明はというと、
こんな感じで配線だけが残っていました。この状態ではちゃんと使えるのかどうかもわかりませんから電気屋さんに確認してもらったところ、問題なく電気が通っていることがわかりました。
ところが、室内の照明スイッチのどれを押してもこの電源をオフにすることができません。電気は通じているので取り付け口を設置してもらえば照明は点灯するのでしょうが、スイッチがなければオンオフができないのは困ります。
ここであらためて過去の間取り図を見直してみたのですが、
※わかりやすいように当時の資料を反転しています
和室の照明スイッチが設置できそうな壁は見当たりません。ひょっとしたらそもそもスイッチがなかったのかも、と思い当たりました。
思えば、同じくらい築古なうちのマンションでも、リノベーション前の部屋のリビングと寝室には照明の取り付け口しかなく壁スイッチはありませんでした。写真のようなヒモ付きの照明器具を設置してオンオフをしていたのです。熱海の和室もこのパターンだったのでしょう。
■おすすめはイケアのリモコン電球
「照明スイッチが適切な位置にない」場合も「照明スイッチ自体がそもそもない」場合も、電気工事で改善することは可能です。
世田谷のマンションや山の家のリノベーションでは、大工さんが造作した壁の中に電気を配線してもらったこともありますが、これはそれなりに手間も費用もかかる作業。部屋の構造によっては希望するように配線してもらえないケースもあります。
そんなときはいっそ壁スイッチはあきらめてリモコン付きのスマート電球を活用するのをおすすめします。
リモコン電球については、これまでこのブログや「日刊Sumai」でも何度も書いてきました。
【日刊Sumai】リモコンで調光・調色できる電球「ソレイユ」を使ってみた
僕も何種類か試してみましたが、最近はやはりイケア(IKEA)の「トロードフリ(TRADFRI)」がベストだと感じています。
割高になりますが、アマゾンでも購入できます。
山小屋の洗面に設置したときはメインの照明スイッチはあえて押しづらい場所に隠し、主に「トロードフリ」のリモコンで操作するようにしました。
調光&調色でき、価格もリーズナブルなのですが、やはり出色なのがリモコンのデザインです。
シンプルな形状は室内の壁に堂々と設置できるクオリティ。
昨年、「トロードフリ」は生産を終了していまいましたが、後継モデルの「スティルバル(STYRBAR)」もなかなか良いデザインです。
「トロードフリ」の電球と互換性があるので、こちらに乗換えも可能です。
リモコン本体の裏面にはマグネットが仕込んであり、金属製の受け(台座)を壁に固定すればスマートに設置できます。壁付けスイッチの代替品としても十分に使用できるでしょう。
■「スティルバル」にはステンレスタイプも
いろいろ書きましたが、熱海のスイッチ問題もこれで解決しました。採用したスイッチはこちらです。
先ほどご紹介したスイッチのバージョンちがい。
表面がステンレススチールというのが、個人的にはツボにはまりました。
うちのようにグレーを基調としていて基本的にはホワイトを置かないインテリアにはピッタリで、これを見つけたときは本当にありがたかったです。「うちの部屋には白じゃないんだよな」という方にぜひ試していただきたい商品です。
ステンレスバージョンも台座はホワイトなのが気になったので、我が家では台座の代わりにステンレスのブランクプレートを用意し、マグネットでくっつけて定位置にしています。これについてはいろいろ工夫したのですが、詳しくはまた後日。
ちなみに、スマート電球といえば物理的なリモコンを介さずスマートホンのアプリを通じて操作できるものも人気ですが、不特定多数の人が使用するうちのような物件には適さないので検討しませんでした。
ついでに付け加えると、wifi必須な電球にはちょっと不安があります。ネットが不通になると電球のオンオフができなくなるのは脆弱ですし、Bluetooth接続のものにしても紛失や故障でスマートホンが使えないと使用できません。このあたり、まだまだリスクもあって灯りというライフラインを委ねる気にはならないなというのが個人的な印象です。
■壁スイッチの代わりにするならデメリットも理解しておきたい
最後に、壁スイッチの代わりとしてスマート電球を使う場合に注意したいデメリットやリスクについてまとめてみたいと思います。
まず思い浮かぶのがリモコンの紛失のリスクです。はずしてどこでも使えるということは、リモコンをなくしてしまう危険もあるということ。なくしたら買ってくればいいやという話かもしれませんが、代わりが用意できるまで電気がつけっぱなし(か消えたまま)なのは困りますし。
耐用年数の不安も否めません。壁付けのスイッチというのはかなり頑丈で、半世紀を経た築古マンションでもまずほとんど故障しません。
それにくらべると、スイッチリモコンの耐用年数はかなり短いのではないか思われます。僕はイケアのリモコンを多用していますが、一度動作しない初期不良のハズレ品を引いたことがありました。正常に動作するものでも数年で急に故障しても驚きません。
仮に10年持ったとしても壊れたころには代わりのリモコンを購入できる可能性は低いでしょう。となると、一定期間ごとに買い替えるのを前提にする必要があります。自宅ならそれもいいでしょうが、大家の立場からすると他人様に貸す賃貸ではちょっと採用しづらいかな、とは思います。
ただ、壁付けのスイッチに対し、プラスアルファで加えるのであれば利便性も向上して本当に便利だと思います。
そうそう、僕が最近経験したデメリットも挙げておきましょうか。
電気工事などで一度ブレーカーが落とされたりすると、たとえオフにしていた電球でも再度通電した際にオンの状態になり点灯してしまいます。先日、マンション内で大規模な電気工事があり、その後に訪問したら見事にリビングの電気がつけっぱなしになってしまっていました。自宅では大して困らないでしょうが、不在が長期にわたる別荘ではけっこうなデメリットになる気がします。
以上を踏まえたうえで採用するなら、リモコン付きのスマート電球は十分に壁スイッチの代わりになるものだと思います。
次回も引き続き、スイッチの話。押してほしくないスイッチにカバーを取り付けて隠します。