(413)寒波で世田谷のマンションの水道管が凍って動揺した
さて、今回は前回に引き続き露出配管のことを書くつもりでしたが、急きょ予定を変更してお届けします。
去る1月24日から翌25日にかけて襲来した10年に一度という大寒波で世田谷のマンションの水道管が凍結し、いろいろとあたふたしたというお話です。
■入居者さんからの連絡で目を覚ますと水が出ない……
朝8時ごろでしょうか、入居者の方から連絡がありました。朝早くや夜遅くの連絡はトラブルの可能性が高いのですが、今回も例外ではありませんでした。
「朝起きたら水道が出なくなっていたのですが、水道管が凍ってしまいましたでしょうか…」との連絡。あわてて跳び起きてキッチンの水栓をひねると、たしかに水が出ません。マジか……。
外に出て駐車場の水栓を見てみるとこのとおり。
すごい氷柱(つらら)!
屋外ということもあり、昨晩、凍結防止のため水がポタポタ出るくらいだけひねっておいたのですが、思いっきり氷柱ができていました。
にしても、まさか室内の水栓が使えなくなるとは……寒冷地に相当する山小屋ならともかく世田谷の住宅地でこんなことが起こるとは正直思っていませんでした。不覚。
水道管が凍結した場合、布をかけてお湯をかけるとかドライヤーで暖めるとかするといいと言われますが、一度凍ってしまうとなかなか簡単には解消できません。頼みは昼になって気温が上がって凍った水道管が自然に溶けることですが、この日は昼間も気温が低いという予報でしたので、どうなるかはわかりません。
ひとまず、入居者さんには正直に見通しをお話して復旧しない可能性もあることを伝え、しばらく状況を注視することになりました。このとき、もし夕方までに復旧しなければホテルにでも泊まってもらわなければならないと覚悟しました。
■水道が使えないときトイレはバケツで流す
さて、水道が止まった状態でどう日常を過ごすか、考えねばなりません。
手を洗ったり喉をうるおすための水は非常時のために備蓄しているペットボトルを使うとして、目下の問題はトイレです。
水が流れないときの対応方法については僕も知識としては持っていました。それを実践してみる機会ということで早速トライしました。
幸い、お風呂の浴槽に前夜の水が残っていたので、こちらを使うことに。なお、厳密には髪の毛などのゴミが詰まる可能性があるのでお風呂の残り湯を使うことは推奨されないそうなのですが、非常時なので背に腹は代えられません。
用を足したらバケツ一杯分のお水をザバーッと便器に直接流します。すると、いつもと同じように汚物がちゃんと流れていくのです。自分で試して問題ないこともわかったので、入居者さんにも連絡して情報共有しました。
このやり方は断水時にも共通するメソッドなので、災害の事前練習としていい経験になりました。
■水道管が凍ったのは最上階の部屋のみだった
実は、今回、水道管が凍ってしまって使えないというお部屋はマンション内で数戸のみでした。大半のお部屋では凍結は起こっていなかったようで、そこは不幸中の幸いでした。
凍結が起こった部屋はすべて最上階で角部屋かその隣。うちのマンションはまわりの住宅にくらべて頭ひとつ高い上に、建築法上の都合で最上階の外廊下は屋根が小さく、風が吹くと吹きっさらしのような状態になってしまうのが災いしたのだと思います。
昨夜は猛烈な強風が吹いていましたから、外付けの水道管はかなり冷やされてしまったのでしょう。あとでお世話になっている業者さんと話をしたら「共用の水道管が各部屋に入り込むところが凍ってしまったのではないか」との見立てでした。
ちなみに、業者さんが手がけている近くの物件では凍結の報告は聞かれなかったとのこと。ご近所でも水道管が凍って使えなかったという話を聞かなかったですし、今回は、立地や構造、風向きなどの条件が悪い意味でそろってしまったのかもしれません。
■ありがとう、太陽!~昼の暖かさで凍結解消
で、肝心の凍結がどうなったかというと、快晴の天気のおかげで午前11時ごろに自然に解消して水道が使えるようになりました。
気温自体は決して高くなかったのですが、うちのマンションは日当たりもいいので太陽光で水道管も暖められたのでしょう。
お湯も無事に使うことができ、ガス給湯器にも異常はありませんでした。コロナ以降、給湯器はあいかわらず品不足が続いていると聞いていたので、無事だったのは本当にホッとしました。
■5年前の寒波で山小屋の水道は破裂した
しかし、今回のように凍結がいつも自然に溶けて解消されて済むわけではないことをお忘れなく。
最悪のケースをご紹介しましょう。
5年前の寒波のときには、山小屋の水道管は凍結したあと、その圧力であちこちの水道管に亀裂を生じさせ、春になってあちこちから水があふれるはめになったことは以前、「日刊Sumai」の記事でも書きました。
【日刊Sumai】水道料金が25万円?大寒波が招いた水道トラブル
【日刊Sumai】あっちをふさげばこっちから水が?漏水箇所を発見する難しさ
トイレの給水管は根元からバキッとはずれ、
トイレの床にとどまらず、
玄関まであふれる大惨事となり、結局、20万円を超える修理費がかかりました。
さらに寒波明けの春、給湯器からガコンガコンというものすごい音がするようになってしまいました。さすがに怖くなり、キッチンのリフォームに合わせて交換することにしました。こちらも20万超えの出費。
山小屋でガス屋さんに聞いた話だと、給湯器の電源をオンにしておかないと外気温が下がったときに凍結防止機能が働かず、故障の原因になるとのこと。
あの寒波のあと、冬の始まりの山じまいの際には水抜き作業を必ずおこなうようになりました。これで水道管の破裂のような最悪の事態は避けられると思いますが、それでも今回の寒波の影響は心配です。春に山に行くのが怖い……。
冒頭に紹介した屋外の水栓はすごい氷柱ができていましたが、ちょっぴり蛇口をひねっておいたおかげで凍結や破裂は免れたわけで、こうした小さな準備が大事なんだと痛感しました。
10年に一度の大寒波ということでしたが、中年になると10年ってわりとあっというまだよねという印象もあり、次の寒波が来るときにはもっとしっかり準備して臨みたいと思います。
以上、今回の大寒波での体験談でありました。次回は、前回予告したとおり世田谷のマンションで採用した露出配管の話をいたします。