(430)【日刊Sumai再録】寒波で水道管が凍結して破裂した話(前編)
桜も散り始めていよいよ春という感じですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
この冬は熱海一色だった僕も、春の到来でひさびさに山小屋を訪れました。
ところが、到着して水道の元栓を開けると…
凍結によって破裂した水道管から水が噴水のように噴き出てきました。
実をいうと「またか……」と思いました。以前も山小屋で同じトラブルが発生したことがあったのです。同じミスを繰り返すとはなんてバカだとお思いでしょうが、それなりにワケがあります。
それについては後日詳しくお話するとして、その前に今回(と次回)は「日刊Sumai」の再録記事をごらんいただこうと思います。タイトルは「水道料金が25万円?大寒波が招いた水道トラブル」(2018年12月8日公開)。
山奥とはいえ東京にある家の水道管が凍結して破裂することがあるなんて少しも知らなかった僕が、生まれて初めてのトラブルに遭遇して右往左往するドキュメントであります。
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【水道料金が25万円?大寒波が招いた水道トラブル】
12月に入り、徐々に寒さが増してきましたね。今日は大寒波で破裂した水道管の話をしたいと思います。
昨冬の寒さはすさまじかったですが、うちでお世話になっている工事業者さんに聞いた話では、世田谷でも水道管が凍ってしまったところがあったそうです。
幸い、うちのマンションは大丈夫だったのですが、祖父が東京のはずれの山奥に所有していた小屋で、水道管が凍結して破裂するというトラブルが起きてしまいました。
■ 水道局から使用量が異常に増えているという連絡が!
祖父が知人の誘いで山奥の土地を二束三文で購入したのが、今から半世紀も前のこと。そこに知り合いの大工さんに格安で家を建ててもらい、すでに築50年近くを数えます。
湿気の多い土地に建てられた木造の家ですから床のあちこちにも傷みが目立ち、お世辞にも住み心地が良い家ではありません。
しかし、山奥なので夏はクーラーいらずで過ごせるのが魅力です。僕も春から秋にかけて休みを見つけてちょくちょく訪れているのですが、夏用の建物ということもあり、寒さの厳しい冬はどうしても足が遠のきます。
水道局から電話があったのは、ようやく寒さの峠を越えた2月の下旬でした。
「本日、検針にうかがったところ、水道の使用量が異常に増えているのですが、心当たりはありませんか?」
昨年は12月のはじめに訪れたのが最後ですから、まったく心当たりはありません。
「だとすると、漏水の可能性がありますね。この冬の寒さで水道管が破裂したのかもしれません」
水道管が破裂!
山の家ができて以来、水道管が凍って使えなくなることはありましたが、破裂したことはなかったので本当に驚きました。
しかし、この冬は数十年に一度と言われる記録的な大寒波。世田谷でも水道管が凍るくらいなら、山の家で水道管が破裂することもありえるのかもしれません。
検針に来た方が家のまわりを見たかぎりでは、とくに壊れているところは見当たらないそうで、おそらく室内でトラブルが起きているだろうとのこと。水浸しになった室内の様子を思い浮かべるだけでゾッとしました。
■ 驚きの使用量は793トンで料金は25万円!?
ひとまずは水道局員の方が屋外にある元栓を締めてくれましたが、気になるのは料金のことです。聞けば、今月の使用量は800立方メートルに届くほどだそうです。
1立方メートルは1トンですから、なんと800トン弱!
使用量793立方メートル!(後日のハガキより抜粋)
とても家庭用の水道使用量ではありません。
恐る恐る料金をたずねてみると……「およそ25万円になりますね」。
一瞬、気を失いそうになりました。余裕で海外旅行に行けてしまう金額です。
ただ、事態が事態なだけに減額の措置が受けられる可能性もあるそうです。
「蛇口を締め忘れてしまったというような場合は、自己責任でのお支払いになります。ただ、例年にない寒さでしたし、事情によっては減免措置もあります。まずは、修理業者を呼んで修理してください。それから、修繕内容をご連絡していただき、こちらで検討することになります」
きちんと修理して報告すれば、請求額を減らしてくれる措置を受けられるかもしれないということです。
となれば、こちらもなるべく早めに対応しなければなりません。早速、普段から山の家の修繕工事をお願いしている業者さんに電話して、家の様子を見に行ってもらうことにしました。
家の中が見られないと話にならないので、カギの隠し場所を教えて中に入ってもらいます。緊急事態ですし、背に腹は替えられません。
■ トイレもキッチンもシャワーも…水回りは全滅!
現場を訪れてくれた業者さんからの電話は、がっかりな言葉から始まりました。
「ざっと見ましたが、かなりひどい状態ですね」。
なんと家じゅうの水栓が全部壊れてしまっていたのです。
なかでもひどいのはトイレで、壁に埋めた水道管が破裂してしまい、あふれだした水で廊下から土間まで水浸しになってしまっているとか。
「玄関ドアを開けたら、水が流れ出てきて驚きました」
その報告に居ても立っても居られなり、翌日、僕もクルマをとばして山の家に向かいました。行く途中に立ち寄ったとある店にも、こんな貼り紙が。
不安な気持ちがますます高まります。家に到着し、玄関ドアを開けた様子がこちら。
ああ……土間まで水があふれた跡が見て取れます。
床板は湿って、土間の横の土壁には水が浸み込んでしまっています。
トイレの床には、まだ水が残っていました。
壊れたのは、壁に埋め込まれた水道管。
水道管がはずれてしまっています。ここから水がドボドボと流れ出ていたのでしょう。なんてこった……。
お風呂に向かうと、シャワーの水栓が破裂して、はずれています。凍結した水の圧力に耐えられなかったようです。
水栓がなくなっている!
床に壊れた水栓が……
一方、キッチンの水栓は見た目的には問題ないように見えるものの、ひねってみるとグラグラしていてあきらかに故障しています。
水回りはまさに全滅でした。自分の目で惨状を目にして、心配になってきたのが修理代金のことです。かりに水道料金が減免されたとしても、トイレとキッチンとシャワーをすべて直したら、とんでもない料金になるんじゃないか……。
しかし、このときの僕はまだ知りませんでした。実は、目に見えないところでも、さらなるトラブルが起こっていたことを……。
次回は、水道工事の様子をリポートしながら、水漏れ修理の難しさについて書きたいと思います。
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こうして読み返すと、水道局から不意打ちのような連絡を受けたときの驚きと、玄関ドアを開けて惨状を目の当たりにしたときのガッカリ感がよみがえりますね。このあと発覚するさらなる悲劇についてはまた次回。