(431)【日刊Sumai再録】寒波で水道管が凍結して破裂した話(後編)
前回に引き続き、「日刊Sumai」の再録記事をごらんいただきます。
後編の元タイトルは「あっちをふさげばこっちから水が?漏水箇所を発見する難しさ」(2018年12月11日公開)。屋外の配水管にさらなる破裂が発覚し、スプリンクラーのように噴き出る水を前に唖然としたりします。
では、どうぞ。
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【あっちをふさげばこっちから水が?漏水箇所を発見する難しさ】
前回、数十年に一度の寒波の影響で、祖父が東京のはずれの山奥に建てた家の水栓がすべて故障してしまったという話をしました。
冬場は長期間留守にすることもあり、壊れた水栓から流れ出た水の量は800トン近くに達し、このままだと25万円(!)の請求が来ると聞き、あわてて水道屋さんに修理をお願いしました。
我が家と同じトラブルに見舞われた家も多いらしく、なんとか工事に漕ぎつけたのは3月の下旬のことでした。
今回は、漏水補修工事に立ち会って実感した「漏水箇所を発見する難しさ」についてお話しします。
■ 壊れた水栓はすべて寒冷地仕様に変更
工事が始まったのは朝の9時。
水道屋さんの作業は手慣れたもので、壊れたシャワーとキッチン水栓を新品に付け替える作業はあっという間でした。
今回、取り付けてもらったのは、寒冷地仕様の水栓。
この栓を抜くと、中の水が抜ける仕組みになっています。今回の悲劇を繰り返さないためにも、次の冬からはしっかり水抜きをしなければなりません。
さて、問題なのは水道管が外れてしまったトイレです。
破裂した配管はタイル壁の中に埋まっているため、修理するには壁を壊さねばなりません。
ハンマーでタイルを少しずつ壊していくと、まっぷたつに割れた金属パーツが出てきました。
水道屋さんによれば、これが水道管をつないでいたのですが、数十年の歳月で経年劣化していたところに、水が凍って膨張した圧力が加わり、破裂してしまったそうです。
ここに新しいパーツを差し込んで水道管をつなぎ、ひとまずは修理完了です。
「ひとまず」というのは、修理した箇所よりもさらに奥の配管に故障があるかもしれないからです。もし、そうなるとさらに広範囲に壁を壊すことになり、手間も費用もかかります。
祈るような気持ちで水道メーターを開けて水を流してみると、目立った水漏れもなく無事に流れました。
穴をボードでふさいでもらい、トイレの修理が完了しました。
■ 給湯の配管からスプリンクラーのように水漏れが……
ホッと胸をなでおろしたのもつかの間、水道屋さんからの次のひとことが。
「あとはお湯ですね」
当たり前ですが、水とお湯は配管が分かれているので、別に確認しなければならないのです。
まっさきに心配すべきなのは給湯器ですが、幸運なことに給湯器本体は故障しておらず問題なく動作しました。
ところが、キッチンでお湯を出してみると、家の外から水道屋さんの声がします。
「ああ~、これはダメだな」
家の裏にかけつけると、キッチンへとつながっている水道管から水があふれでています。
まるでスプリンクラー状態。
水道管を保護するカバーを取ると、中の銅管がばっちり裂け、パックリ割れ目ができてしまっているのがわかります。
せっかく室内の水回りをぜんぶ直したというのに、まだこんな試練が待っているとは……。しかも、追い打ちをかけるように水道屋さんが言いました。
「ここ一か所ならいんですけどね……」
そこで、割れ目を手でふさいでもう一度水道を開きます。
すると、今度は別の場所から水が出てきていることがわかりました。
こちらもカバーを外してみると…
ひとつめよりも小さい亀裂ではありますが、やはり破裂していました。これが漏水修理の難しいところだそうです。
ぱっと見、明らかに壊れている箇所があっても、壊れているのがそこだけかどうかはわかりません。壊れた箇所を直しては水道の栓を開け、壊れた場所を見つけては直す。それをくりかえして漏水箇所を探していくのです。
今回の場合でいえば、キッチンとシャワーとトイレの故障を直してはじめて外の水漏れを確認することができました。
また、その水漏れも、ひとつめの水漏れ箇所をふさいではじめてふたつめがわかったというわけです。
■ 復旧までの修理費用と気になる水道料金は?
結局、この日は銅管を修理する材料もなく、後日に交換工事をしてもらい、2回にわたる工事の末、ようやく元のように使える状態に復旧しました。かかった費用はこのとおり。
予想外の出費としては痛いですが、お金で直せる被害だったのは喜ぶべきかもしれません。
というのは、これだけ水があふれると、暖房便座などに使用するコンセントに水がかかり、最悪の場合、漏電で火災を起こす可能性もあるそうなのです。留守の多い山奥の家ですから、もし火事になっていれば、責任が取れないような事態になっていたかもしれません。最悪の事態はなんとか避けられた、ということでしょうか。
さらに、不幸中の幸いと言えるのが、水道の検針のタイミングでした。
漏水していた水の量は800トン弱でしたが、水道屋さんの話では、今回の故障の程度を考えるとむしろ少なく済んだと言えるそうです。
その理由は、破裂した水道管の中の氷が溶けて水が流れ始めてから、あまり間を置かないタイミングでたまたま水道の検針があったことです。
水道の検針は2か月に1回ですから、最悪のタイミングだったなら「プールのような使用量になった可能性もあった」とか。プ、プールって……。ウン百万の請求を想像し、背筋が凍る思いでした。そう考えると、やはり最悪の事態はなんとか避けられたのかもしれません。
とはいっても、今回の25万円という金額も相当なもの。減免措置をお願いするには、工事内容を水道局に報告する必要があります。
そのときに使うのが、ポストに投函された「漏水修繕連絡票」。水道局の方の話では、工事業者さんに修繕内容を書き込んでもらって申請してもらうのがいいそうです。
さて、気になる結果ですが、今回は「ふだんはほとんど使用がない家屋であること」「漏水が一度目であること」を考慮していただき、例年の同じ時期の料金まで減免していただくという措置を受けることができました。ホッ……。
水道局の方から釘を刺されたのは、「今後、同じような漏水が起こった場合に同じような措置が受けられる可能性はかなり低くなる」ということです。
故意ではない事故なので一度目は大目に見るが、二度目は自己責任になりますよ、ということですね。
とはいえ、今回のケースもあくまでひとつの例とご理解ください。一見、同じように見える場合でも、家の状態や工事内容や気候によって、その地域の水道局が下す判断はかなり異なるようです。同じ失敗を繰り返さないよう、今年の冬からはしっかり水抜きして冬を越そうと思います。
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「同じ失敗を繰り返さないよう」という結びの言葉を見て、自分でも思わず苦笑いしてしまいました。次回は今年の春に再び起こってしまった水道管の破裂の話です。