(499) ホールインワン給湯器の交換工事が思ったより高額で驚いた
最近、急に寒くなりましたね。ちょっと前まで夏日なんて日もあったのに、この気温の落差は体に堪えます。しかも、それまで高めだった気温が一気に下がり、冷たい風が吹く日にかぎって屋外の工事に立ち会わなければならず、体調を崩してしまいました。年末に向けて自宅の片付けをしようと思っていたのに、せっかくの貴重な時間が台無しに……。
その工事というのがガス給湯器の交換工事でした。
今回は、室内置きの給湯器を屋外に移転しての交換工事と、ホールインワン給湯器の交換工事という2種類の工事の流れをご紹介します。
前者に伴う「コア抜き」と呼ばれる壁に穴を開ける作業の話や、表題のとおり後者の工事価格の高さに驚いた話など、2つの工事の特徴と工事費用をまとめます。
■事例①屋内から屋外への変更はコア抜きが必要
まずは室内に設置されてあった給湯器を屋外に設置し直した工事から。
既存の給湯器は室内をリノベーションする前から設置されていたもの。
給湯器が丸出しだと見た目がよろしくないので、工事の際に壁に中に隠してフタをつけ、メンテナンスできるようにしてありました。
こちらの給湯器は2009年製。給湯器の寿命は10年ていどと言われますから、23年も終わろうとしている今では遅すぎるくらいのタイミングです。定期的に点検をおこない、特に調子が悪いという話も聞かなかったのですが、コロナ禍に伴う給湯器の不足でなかなか交換できないまま時間が過ぎてしまいました。
給湯器の室内置き/屋外置きについては、それぞれにメリット・デメリットがあると思いますが、室内置きのメリットが「屋外にくらべて設置環境が良好であるため、故障しづらい」ということくらいであるのに対し、屋外置きのメリットは「室内のスペースがより広くなる」「屋外なのでメンテナンスや交換がしやすい」「万が一給湯器本体の不具合でガス漏れなどが起こったときのリスクが軽減される」など長所が多いと思います。
そのため、うちのマンションでは室内置きの給湯器は機会があればなるべく屋外置きに変更するようにしています。
ただし、給湯器を屋外に移す場合、水道管やガス管を室内につなぐために「コア抜き」という作業をおこない、外壁に配管用の穴を開けねばならないのです。
この作業は専門の業者さんがおこないます。ダイヤモンドコアビットというものものしい機械でコンクリートの外壁に穴を開けます。
こちらがくりぬいた壁。マンションの壁ってこんなに厚いんだ、と感心する瞬間です。
壁に3つの穴が開けられました。左がお湯(hot water)、真ん中が水(water)、右がガス(gas)です。
業者さんの都合で今回の工事は二日に分けておこない、まず初日はこのコア抜き作業でした。
後日、朝から水道屋さんが来て室内の給湯器を取り外すところから作業開始。
こちらが取り外した給湯器。
新しい給湯器を設置し、水道管をつなぎます。
少し遅れて電気屋さんも到着し、室内のリモコンの交換など電気関連の作業をおこなってくれました。
以前にもご紹介したおしゃれリモコンに交換したのはいいものの、サイズがちっちゃくなったせいで左右に塗り残しができてしまいました。これについては僕が後日塗装させてもらおうと思っています。ごちゃごちゃした配線もなんとかしたいな……。
ここまでが朝9時から正午までの作業。
いったん休憩を挟んで午後2時から1時間ほどガス屋さんによるガス管の接続工事と動作チェックがあり、ようやく午後3時ごろにすべての作業が完了しました。
以前、同じく室内置き給湯器を屋外に変更する工事をおこなった際は、コア抜きも含めて一日でおこないました。その際は朝イチでコア抜きから始めて夕方になんとか給湯器設置が完了したという流れでしたから、まさに一日がかりの作業といえますね。
費用はというと、各項目の料金(税抜き)はこんな感じでした。
すべてを合計すると「167,500円」で、ここに消費税10%が加わり「税込184,250円」となりました。コア抜きまで含めた価格と考えると高くない価格だと思います。
■事例②ホールインワン給湯器は本体が高いのがネック
で、もうひとつの給湯器交換工事の話です。
実は、こっちは親戚が所有する物件の工事。ここの入居者さんは以前、僕が管理するマンションにお住まいだった方で、今でもちょっとしたやりとりがある方なのです。その縁もあって、工事のことがよくわからない親戚のオーナーさんの代わりに僕が工事に立ち会うことになったのでした。
たまに、人と話していると「工事の立ち会いって何?大家さんに仕事なんてあるの?」と聞かれたりします。たしかに、素人の僕にできる作業はありません。
一般的に、工事の際は入居者さんが管理会社と日程調整をして、在宅できるときを狙って業者さんが工事にやってくるというのがよくある流れだと思います。
しかし、ふだんお仕事などで忙しい入居者さんと工事業者さんとの日程のすりあわせはなかなか厄介な作業。土曜日だけをピンポイントでリクエストされたりすると、調整は難航してなかなか日程が決まらなかったりするのです。
でも、うちのマンションのようにふだんから入居者さんとの間でコミュニケーションを取っていると、不在でも「大家さんが立ち会うなら室内に入って工事してもいいですよ」とおっしゃってくれる方が多いのです。不在でもOKとなれば、立ち会う僕と業者さんとで日程をすりあわせればいいので調整が格段にラクになるのです。あっさり日程が決まると業者さんも喜んでくれます。
ただし、この場合、入居者さんのお宅でトラブルが起きないように僕が責任を持ってつきっきりで作業の一部始終を見守る必要があります。まさに、そこにいるのが大家の仕事というわけ。
そんな経緯で親戚所有のマンションの給湯器交換に立ち会うことになったのですが、驚いたのは見積もりの工事金額が思いのほか高額だったこと。
工事費は「税込335,000円」。先ほどの事例の1.8倍です。
給湯器を交換するだけだし、設置場所もそのままなのにどうしてこんな高額になったのかというと、ポイントは給湯器の種類でした。
設置したのは「外壁貫通設置型給湯器」。「ホールインワン給湯器」という呼び名のほうがメジャーでしょうか。知らない人からすると「なんのこっちゃ」という話ですが、わかりやすくいうと元々バランス釜が設置されていたような古いお風呂に設置するタイプの給湯器です。
ごらんのとおり、見た目からして先ほどの給湯器とは全然ちがいます。
写真でいうと上を向いているのが浴室側にあたり、本体の大部分は壁の中に埋め込まれる構造です。
工事の際には浴槽をいったんどかして交換工事をおこなわねばなりません。そのため、ノーマルな給湯器の交換にくらべて手間がかかります。
とはいえ、給湯器の場所の変更がないため、作業するのは水道屋さんだけ。朝から始めて昼過ぎには工事が完了しました。コア抜き屋さんや電気屋さんやガス屋さんが入れ替わり立ち替わりでおこなう先ほどの「屋内→屋外」の移転工事とくらべるとあっさり終わった印象です。
では、何にお金がかかったのかといいますと。
費用の大半を占めるのは給湯器本体の価格でした。今回のケースでいえば、税抜きで「219,520円」もしました。先ほどの給湯器が税抜きで「34,000円」だったことを考えると、(サイズのちがいはあるとはいえ)ものすごい価格差です。
ちなみに、このホールインワン給湯器、税込みだと「241,472円」となり、工事費「335,000円」のうち70%以上を給湯器本体の価格が占めている計算になります。
聞けば、一般的な給湯器にくらべると需要が少ないため、メーカーが工事業者さんに提供する際の掛け率(割引率)が低くなり、どうしても価格が高くなってしまうんだとか。そんな事情があるなんて初めて知りました。
大家を始めて来年でもう10年目になりますが、まだまだ知らないことだらけだなあ、と思った次第です。