(507)【前編】ファニチャーリノリウムをテーブル天板にDIYで接着してみた
今回は「ファニチャーリノリウム」の話。
といっても、ごぞんじない方も多いでしょう。
僕はというと「リノリウム」は昔から学校や病院の床などに使われてきた素材らしいという漠然としたイメージを抱いていたていどで、先日、家具店で目に留まった素材が「ファニチャーリノリウム」だと知って「???」という感じになりました。
初めて見ましたが、適度な柔らかさ、かすかに凹凸のある表情、マットな質感が感じられ、安っぽさもありません。なかなか面白そうな素材だなという印象でした。
ネットで調べてみると、スイスの「フォルボ(Forbo)」の製品が代表的なのだそう。こちらのホームページから引用させてもらいましょう。
「ファニチャーリノリウムも亜麻仁油を主原料とした天然素材から製造されており、主に家具、机天板用のリノリウムです。 天然の原材料により抗ウイルス効果が認められてます(24時間後にウィルスが不活化)。
柔らかい質感と表情で、オリジナル家具、デザイナー家具そして椅子にも採用されております。キャビネットやドアの表層材として使用されることもあります。」
出典:【フォルボ】天然リノリウム ファニチャーリノリウム
とのこと。亜麻仁油からこんな素材ができるなんてまったく想像ができませんが、汚れにも強いということで天板にはうってつけではないでしょうか。
実は、ちょうど事務所にあるワークテーブルをリメイクしようと思っていたところだったので、このファニチャーリノリウムを採用してみることにしたのでした。
こちらが施工前のテーブル。天板は熱海の窓辺のためにリメイクしたテーブルと同じく、IKEA(イケア)の「Linnmon(リンモン)」という安価なものです。
正確な価格は覚えていませんが、現行のもの(サイズが変更されています)が「1,980円」ですから推して知るべしといったところ。ファニチャーリノリウムをDIYするのはもちろん初めてなのですが、この天板なら失敗してもあきらめがつくかな、と。
■ファニチャーリノリウムの端材をメルカリで購入する
まだまだマイナーな素材なのか、いざファニチャーリノリウムを購入しようとすると取り扱いのあるショップが少ないのに驚きます。僕が調べたかぎりだと市販されている最小サイズは110センチ×180センチで24,000円(税込)します。なかなかの高級素材です。
今回リメイクするテーブルのサイズは奥行60センチ×幅120センチ。市販のシートの三分の一強ていどのサイズで足りてしまい、かなり余ることになるのが困ります。
端材が買えないか探してみたらメルカリに出品されていました。サイズも色もまちまちですが「この色でこのサイズ」というピンポイントのこだわりがなければ、それなりに希望に近いものが見つかるはず。
僕の場合、テーブルサイズにほぼぴったりの「61センチ×128センチ」というサイズが見つかりました。価格は送料込みで8,000円。「ペブル(pabble)」というクセのないライトグレーで、白いテーブルにただ貼るだけでも違和感はなさそう。
■リノリウムを貼る前にテーブルの側面を塗装する
さて、リノリウムを貼る前に考えておきたいのがテーブルの側面の処理。
ネットで作例を見てみると木口テープで仕上げている人が多いようです。
これはつい最近仕上げた二台目のテーブルの写真です。ファニチャーリノリウムと木の質感の組み合わせは鉄板ともいえる相性の良さ。
ですが、今回は全体をグレイッシュにまとめたいと思ったので側面はグレーに塗装することにしました。要領は以前、コンクリートエフェクトペイントで天板全体を塗装したときと同じで、まず下塗りから始めます。
使うのはおなじみミッチャクロン。
これを塗布することで、ふつうなら水性塗料がのらない素材にも塗装が施せます。
ハケでまんべんなく塗ります。塗りが甘いと塗料がのらないので要注意。二度塗りをすすめます。ミッチャクロンは数時間で乾きますが、スケジュールに余裕があったので翌日まで待ってから塗装しました。
使ったのは、これまたおなじみのコンクリートエフェクトペイントの「セメントグレー」。
本来は他の色と組み合わせてコンクリートの質感を出す塗料ですが、僕はよく「セメントグレー」単色としても使っています。
お玉に付着した塗料とリノリウムを見くらべてみたところ、とても近い色に感じたのでこの色を選びました。
塗る面積は狭いので塗装自体はあっという間に終わります。
こちらも数時間ほどおいて二度塗りしました。
■重しを置いてシートの巻き癖を直す
一方、ファニチャーリノリウムについても接着前に巻き癖を直す準備をしておきました。
ファニチャーリノリウムは曲面に施工できる柔軟性を持つものの、それなりに硬さのある素材なので、配送時の状態のままだとごらんのとおり強い巻き癖がついているのです。このままだと接着するのも大変ですし、巻き癖ではがれてしまう怖れもあります。
そこで、プチプチを床に敷き、その上にファニチャーリノリウムを置いて、重しとして逆さにしたテーブルをのせました。
それでもはみ出た端の部分には巻き癖が見られるので、念のため本棚の棚板で重しを追加しました。この状態で丸二日ほど放置。
作業当日、テーブルをどけたところ。まだ巻き癖は残ってはいるものの、だいぶ解消されました。
■接着剤とコテとローラーを準備しよう
気になる施工方法ですが、接着剤とローラーによる貼り付けが推奨されているようです。「接着剤なんて使いたくない」という方は両面テープのみで施工してもいいのかもしれませんが、個人的には両面テープは仮留めに使うというイメージがあるので、やっぱり接着剤を使いたいです。
用意した接着剤はこちら。
コニシの「ボンドFL200」です。
フロアタイルやクッションフロアを接着するのに使用するアクリルエマルジョン系の接着剤で、以前ココフロアを床に張ったときにもこちらを使いました。DIYで使うのにちょうどいい量を安価に入手できるのが利点です。
これをクシ目ゴテで塗っていこうと思います。写真は、以前、業務用のボンドを買った際に付属してきたものですが、通販でも類似品が安価に手に入ります。たとえばこのあたりでしょうか。
作業した感覚では、硬さや幅などにあまりこだわる必要は感じませんでしたので手持ちがあればそれを使ってOKです。
もうひとつ用意したい道具がローラー。
圧着用のローラーです。
ローラー本体がゴム製であるのがポイント。
僕の手元の工具には、以前、コンポジションタイルを施工したときに準備したローラーがあったのですが、
こちらは本体が金属製でリノリウムを傷つけてしまう怖れがあったのでゴム製のローラーを準備しました。
長くなりそうなので、施工の模様は後編で。