(516)白を基調にダークブラウンや黒でアクセントをつけたインテリア
今回からしばらく世田谷のマンションの一室についてお話していこうと思います。ご紹介するのは白の壁と天井を基調にダークブラウンの木目とブラックでアクセントを付けた部屋。
撮影はすべてカメラマンの邑口京一郎さんです。写真に付した番号は末尾の間取り図と対応しています。そちらをごらんいただければ、室内のどこから撮影した写真かわかります。
では、最初に間取り図をどうぞ。
何度も書いてきましたが、うちのマンションはすべての部屋が同じ広さ(約30平米)で、間取りもほぼ同じです。玄関入ってすぐ、三畳ほどのキッチンをはじめとした水回りがあり、奥に六畳のリビングとひと続きになった三畳のサービスルームと収納が配されています。
大家業を始めてからしばらくの間、白い壁に床も白という真っ白な部屋ばかり作り続けてきましたが、さすがに飽きてきたのが5、6年ほど前のこと。
ホワイトで統一された室内は明るさと広さを感じさせやすいですし、どんな家具を置いてもマッチする利点があるのですが、個人的にはもう少し落ち着きのある部屋づくりをしてみたいという思いが芽生えてきたのでした。
そこで、試してみたのが、白をベースにしつつダークブラウンの木目とブラックでアクセントをつけるというスタイル。ダークブラウンの木目は遠目に見ると黒っぽく見えるため、全体としてはブラック&ホワイトのインテリアと言ってもいいかもしれません。先ほど挙げた真っ白な部屋とだいぶ印象が異なるのがおわかりかと思います。
真っ白な壁に小物でアクセントをつけるのは楽しい作業でした。壁付けの鏡とスイッチプレートはダークブラウンの木製、鏡の上のレセップ照明やコンセントプレートはブラックを選びました。
真っ白な壁に黒やこげ茶が映えます。
中でもtoolboxで購入した「ウッドウォールパネル」をDIYで張り付け、ワックスで着色したアクセントウォールは気に入っています。
この部屋の床はサンゲツのフロアタイル。いわば「フェイクの木目調」なのですが、壁に本物の木材を設置したことで空間のグレードもワンランク上がった感じがします。
こちらはリビングと隣り合ったサービスルームの上に設置された照明。アートワークスタジオのワイヤーフレームの照明です。インダストリアルな雰囲気が露出配管とマッチしています。ブラックでアクセントをつける方向性を選んだおかげで、これまでとは異なる照明や家具を選ぶことができ、いい経験になりました。
天井に見える小さい輪っかはアイボルト。もともと天井を吊っていた金具を撤去したあとに残ったボルト穴を流用して設置しました。躯体に設けられたボルト穴なのでハンモックのように重みのあるものを吊るすこともできます。照明レールにもフックを取り付けることができますし、天井の空間をいろいろアレンジするのも面白いと思います。
こちらはサービスルームにある収納。先代の大家が施したリフォームで導入された引戸がまだきれいだったので、予算を抑えるために持ち手だけ交換して残してみました。よくある木目調のシートが張ってあり、色味的にはやや浅めのミディアムブラウンですが、周囲からなんとか浮かないで収まったかと思いますが、いかがでしょうか。
予算を抑えるために既存のブロックキッチンを残しました。
新しく設置したレンジフードやガステーブル、コンセントプレートや照明などをブラックで統一して、凡庸なキッチンにアクセントを与えてみたつもりです。実は、使い勝手を考えてほんの15センチほどキッチンを右にずらしてもらったのですが、それについてはまた後日。
キッチンの反対側には空間のアクセントとなるような壁を設けてみました。もともと古い棚が造り付けられていたのを撤去し、ブロック壁になるまで解体。そこに露出配管で照明などをレイアウトしてみました。詳しくは以前の記事をどうぞ。
思えば、こういうかたちで露出配管をメインにした壁を造ったのはこれが初めてでした。
この壁の右隣が洗面。
幅が50センチ強しかない狭小空間です。ブラックの細ボーダータイルを全面に張り、水栓や照明も黒をチョイス。狭いながらもシックな雰囲気の洗面ができあがって満足しています。
洗面の右手にはユニットバス。先代の大家がリフォーム時に設置したものを残し、DIYで若干の手を入れてリニューアルしました。
今ではうちのマンションの定番となったこの手法も、この部屋で初めて試しました。シャワーまわりや蛇口のハンドルを取り替えてミラーを設置するだけでもずいぶんきれいに見えるものです。
浴室の向かいにはトイレ。古い間取りはそのままにタンクレストイレを導入してみました。腰高の古いタイル面は上から塗装してもらってリニューアルし、壁の上半分と天井にはダークブルーでアクセントカラーを入れてみました。
同じアクセントカラーを玄関のドアにも塗ってもらいました。ダークブラウンとブラックに加えてブルーまで使ったものの、どれも暗い色味なので空間にはまとまりが保てたと思っています。
ちなみに、暗い色味を多用できた理由は、角部屋で室内が明るかったから。冒頭にも触れましたが、室内を明るく見せるならホワイトを基調にするのがセオリーですが、窓が多ければ暗めの色使いでも部屋は十分明るく見えると実感できました。リフォームは採光を見極めることも大事です。
次回からは室内のディテールに踏み込んでリフォームの苦労や工夫についてお話していきます。