(580)【前編】木材パネル「ソルミ」をベンチの背もたれに張る
前回、大工さんにベンチの基本部分を造作してもらいました。
背もたれの厚みが足りない部分に板を張り付け、下準備が整った状態がこちら。
今回は、この背もたれ部分に内装用の木材パネル「ソルミ」を張り付けます。
■丸みのある山型が印象的な「ソルミ」
「ソルミ(sormi)」は北欧の木材メーカー「SIPARILA」のプロダクト。
日本でこの商品を取り扱う「ミラタップ(旧サンワカンパニー)」の紹介文によると「フィンランド語で”指”という意味を持ち、北欧では伝統的なデザインの羽目板」なんだそうです。
丸みのある山型の形状は見る人に柔らかい印象を与えます。
僕がこの商品を知ったのは6年ほど前。離れ小屋をリフォームしたときのこと。
同じ「SIPARILA」社の「ヴィレ(vire)」を屋根裏に張った際に候補として検討しました。
丸いソルミに対し、ヴィレは三角形。
このときは迷ってヴィレを選びましたが、ソルミもずっと気になっていましたから、今回ベンチを仕上げる木材パネルを選ぶことになって真っ先に思い浮かびました。
■在庫切れで3.9メートルのロングサイズを注文するはめに
さて、小分けに配送しやすいタイルのような建材とは異なり、木材パネルはとにかくサイズが大きいので素人が注文して現場に運び込むのは少々厄介です。
ソルミも3種類のサイズがラインナップされていますが、ロングサイズは「3.9メートル」、ミドルサイズは「3.0メートル」と、どちらも持ち運ぶどころか室内で保管するにも一苦労です。
最小サイズですら「2.1メートル」なのでそれなりに大きめなのですが、なんとかクルマにも載せられるサイズで持ち運べそう。
我が家のベンチは横幅が170cmちょっとですから、2.1メートルで長さも足りるし十分と思ったのですが……運悪く売り切れで入荷も未定。しかも、ミドルサイズの3メートルも品切れ。かろうじて在庫があったのが3.9メートルだけで、仕方なくこれを1ケース(およそ2平米分)注文することになりました。
こちらが届いた直後の写真。長い……。
とてもこのままでは山小屋まで持って行けないので、この場で大雑把に3等分することにしました。
マンションの駐車場での作業でしたが、雨じゃなくて本当によかったです。
せっせとカットして1.2~1.4メートルほどに加工できました。
このサイズならばクルマのシートにも余裕で載せることができます。
個人的には、この搬入までの作業がいちばんの山場でした。無事に現場に運び込んでしまえば、あとはマイペースで作業するだけですから気がラクです。
■タテに張るかヨコに張るかは加工の難易度で決めた
このソルミを両サイドから背面の背もたれにかけてぐるりと張り付けていくわけですが、作業に入る前に考えなければならないのが張り付けの方向。
先ほどごらんいただいたようにソルミは半円形の丸棒が連なるような形をしているので、タテ方向に張るかヨコ方向に張るかで印象が異なるのです。
最初、横長のベンチに合わせてヨコ方向に張りたいと考えたのですが、そうするといくつか施工上の問題が生じます。
ひとつめの問題はパネルの断面。横方向に張ると、サイドの端でこの断面が見えてしまいます。パネルをつなぐ継ぎ目はもちろん、パネル裏面の溝も丸見え。これを隠すには見切りを設ける必要があり、せっかくのソルミのシンプルなデザインを損ねてしまう怖れがあります。
ふたつめの問題はサイドと背面のパネルが接する部分の収まり。
これは上からベンチを眺めたときの図。サイド部分と背面部分にそれぞれパネルを張ろうとすると、
パネルが重なる部分が出てきてしまうので、それぞれの端を45度にカットして張り合わせなければならなくなるのです。この丸い形を45度に切るなんて、木工が苦手な自分にはとてもムリです。
一方、こんな感じにタテ方向に張ればパネルのきれいな側面しか見えないので非常にきれいに収まりますし、
サイドと背面のパネルの取り合いも半円と半円ならばカットしなくてもきれいに収まるのです。
というわけで、施工の難易度が低いタテ方向に張ることに決めました。
長くなりそうなので、続きは後編に。