(597)自分好みの照明シェードを選んでペンダントライトをオーダーする
前回、前々回とペンダントライトと照明シェードの組み合わせ方についてお話いたしました。
(595)ペンダントライトを照明シェードに取り付ける方法3種類
(596)シェードホルダーでペンダントライトに3点留めシェードを取り付ける
これを踏まえたうえで、今回は照明シェード選びから始めて、自分の好みのシェードに適合するペンダントライトをオーダーしてみたいと思います。
場所は世田谷のマンションの一室。
キッチンわきのスペースに置いた作業ワゴンをテーブル代わりに食事を取るという入居者さんに、ペンダントライトを設置できないか相談を受けたのです。
キッチンにはもともと天井付けの照明があるのですが、キッチンを照らす想定で設置されているためテーブルワゴンからは遠いのでペンダントライトに交換しても希望の場所に吊るすことができないのが現状です。これはペンダントライトあるあるな悩みですね。
そこで、まずはペンダントライトを吊るしたい位置を決めて業者さんにアイプレートを設置してもらいました。
これで、既存の照明の位置からペンダントライトを引っ張って吊るせば希望の位置に設置できるようになりました。
■異なる素材の照明シェード6つをくらべる
さて、ここからが本題。どんな形の照明シェードを選ぶかが今回のテーマです。
手持ちのシェードをかき集めてみました。布、ガラス、アイアンなど素材も色も形も異なるシェードです。
前々回に書いたとおり、シェードによって対応する灯具が異なるので要注意。
僕が付けた名称でいえば、筒状の布シェード(赤)は「C型座金式」、ボトルネック型のシェード(青)は「3点留め式」、上部に穴が開いたシェード(緑)は「挟み込み式」に当たります。
それぞれに対応する灯具も用意し、これらをシェードに合わせて付け替えながら実際に設置してくらべてみました。
どれももともとのコードの長さが短いので、
照明用の延長コードやS字フックなどで長さを調節しながら、照明の高さについても考えてみたいと思います。
■シェード選びのポイントは「デザイン」+「光の広がり」
シェード選びというと見た目のデザインに目が行きがちですが、「その空間をどんなふうに照らしたいか」ということも同じくらい大事です。
そもそも空間全体をまんべんなく照らしたいならばペンダントライトは不向き。
天井直付けのシーリングライトのほうが広範囲をムラなく照らすことができるのです。
一方、ペンダントライトは吊るした場所を中心にピンポイントで優しく空間を照らす灯具です。さらに、シェードの素材が光をどれくらい通すかによって、明かりの強さや広がり方も大きく異なります。
今回の照明選びではこの点に着目しながらシェードを選びました。
まずは細いヒモで編まれた丸型シェードから。
カゴのような網目から優しく光が漏れ出るさまが印象的。
デザイン的には和室やアジアンテイスト向けでこの部屋には合わないかなあと思っていましたが、かわいい雑貨やドライフラワーがならんだ室内には想像したよりもマッチしました。これはこれであり。
とても軽いので頭をぶつけてもまったく痛くないのも安心です。
一方、アイアンシェードはカサの部分が完全に光を遮るため、下方向だけをピンポイントに照らしたいときにおすすめです。
このシェードは表面塗装もざっくりしていて無骨な雰囲気なので「インダストリアル」な室内に合いそうですが、白を基調としたこの部屋に吊るしても違和感はありません。
同じアイアンシェードでも、こちらはもう少しモダンな雰囲気が漂います。こちらはヨーロピアンスタイルのインテリアに合いそうかな、と感じました。
表面がマットな塗装で仕上げてあるせいか、落ち着いた印象を受けます。
続いては透明ガラスのシェード。下方向だけでなく、ガラスを通して明るい灯りが全体に広がるのが特徴。デザイン的にはアンティークテイストのインテリアに合いそうです。
同じガラスでも乳白色のミルクガラスのシェードは透明ガラスよりも光を遮ります。
傘のような形の浅めのシェードなので、下から見ると光源が目に入りやすいこともあり、人によっては眩しさが気になるかな、とも思います。
最後は筒状の布シェード。布を隔ててほんのりした光が感じられます。布の素材感によってマッチするインテリアは異なると思いますが、おとなしいストライプ柄はナチュラルなテイストの部屋にはまりそう。子供部屋にもいいですね。
以上の6つを比較検討した結果、入居者さんが選んだのはマット仕上げのアイアンシェードでした。
「テーブルの上だけをピンポイントに照らしたい」という実用的なリクエストと「シェードのフォルムが気に入った」というデザイン的な好みが満たされた結果でした。
■照明の高さを決めて、必要なコードの長さを測る
シェードが決まったら照明の高さを検討していきます。
下に光の広がるペンダントライトは高いところに吊るせば吊るすほど光が広がる範囲が大きくなって部屋全体が明るくなるというのがポイントです。
最初、入居者さんが「これくらいがいい」と言ったのがこの高さでした。テーブルからの高さはおよそ75センチ。
ただ、コードを調節しながら上げ下げしてみると、もっと低めに吊るしたほうがしっくりくることがわかってきました。
最終的に落ち着いたのは天板から57センチの位置。ペンダントライトとしてはかなり低めですが、これくらい低いとテーブルだけがピンポイントで照らされるので、レストランやバーのようなひっそりとした雰囲気が出るのが素敵です。
こちらは入居者さんから送ってもらった夜の様子。周囲の暗い部分とのコントラストが際立って雰囲気のある空間になってますね。ちなみに、まわりが暗いと不便では?とお思いの方もいるかもしれませんが、玄関やレンジフードの照明などもあるので不自由はありません。
照明器具としてはこのままでも使用できますが、延長コードのつなぎ目が宙に浮いたままではあまりに不格好で残念。やはり、ちょうどいいコードの長さを算出してオーダーするのがいいでしょう。
照明から天井までの距離がおよそ75センチ。
ここに天井のアイプレートからシーリングまでの距離70センチを足して約145センチが必要なコードの長さだとわかりました。
■希望する条件に合わせてペンダントライトをカスタムオーダーする
以上で整理した情報にもとづいたペンダントライトをオーダーしたいと思います。
あらためて条件をまとめると「シェードの固定方法は「3点留め式」」で「シーリングから灯具本体までのコードの長さが145センチ必要」ということになります。
シェードからの逆算で灯具を注文する場合、細かいカスタムオーダーをできるショップでの購入が便利です。おすすめは前々回もご紹介した「えいこうでんき(栄興電器工業所)」。
探してみたところ、希望にマッチする商品が見つかりました(画像には「Yahoo!ショッピング」の商品ページのリンクが張られています)。
「E17金具ソケット コードN」です。実際にオプションを付けながら注文してみましょう。
コードの色もラインナップが豊富なのですが、オーソドックスな茶色をチョイス。
コードの長さは10cm単位で選べるので、余裕を持って長めの150センチでオーダー(+300円)。
前回も触れましたが、挟み込み式の灯具には「ギャラリー(シェードホルダー)」を追加することで3点留め式のシェードを取り付けることができるのです。その他のオプションパーツも追加しました(+1,210円)。
これで価格は「3,960円」。送料「680円」が加わって合計「4,640円」となりました。
シェードを含まないペンダントライト単体の価格としては標準的な価格ではありますが、自分好みの照明をカスタマイズしてこのお値段で購入できるのはリーズナブルではないでしょうか。
数日後、商品が無事に届きました。
設置した様子がこちら。
ジャストサイズで選んだのでムダなくきれいに収まったのがうれしいです。入居者さんにもご満足いただけたようでよかったです。
ペンダントライト選びというと、つい灯具とシェードをセットで考えてしまいがちですが、シェードを選んでからそれに合わせて灯具をカスタムすると自分の好みにマッチした照明が手に入りやすいので、ぜひ検討してみてください。