(610)ビスを使って壁に収納を設置するために下地を確認する

世田谷のマンション

前回、キッチンの壁面に収納レールや棚を設置しました。

いつもならこの種の作業は大工さんに頼むところなのですが、自宅ですし万一はずれて落下しても危険のない収納ばかりなので、勉強の意味も込めてDIYでビスを打ってみたのです。

収納棚をビスで留める

実際にビスを打ってみてわかったのは、ひとことで「壁」といっても、その下地はさまざまであり、その材質を判断して適切な道具やビスの種類を選ぶにはそれなりに知識が要るということでした。

今回は、DIYでビスを打って収納を取り付ける際にどうやって下地を確認したらよいかをまとめます。


■頭上の収納や重い棚などはプロにお願いするべき

最初にお断りしておきますが、頭上に設置する収納や重量のある吊戸棚や金属製の棚などはプロ(大工さん)にお願いして取り付けてもらうのが安全です。

大工さんによる棚の設置作業

これはうちのマンションの室内にIKEAの棚を設置してもらったときの写真。持つだけでずっしりと重い棚を頭よりも高い場所に設置しています。

頭上に設置した金属棚

これが落ちてきたら、と思うとゾッとしますよね。そのリスクを負える人だけがDIYで取り付ける資格があると言っていいでしょう。うちのマンションの場合、お客さんに部屋を貸すのが商売ですから万一があってはいけません。賃貸の部屋では、棚はもちろんキッチンレールも含めてすべてプロに設置をお願いするようにしています

ただ、自分が責任を取れる場所で下地をしっかりと確認できるのならば、DIYでキッチンレールていどの軽量なものを留めるのは十分ありだと思います。

窓枠にビス打ち

たとえば、この窓枠のように一目で厚みがあるとわかる木材に対してならビスが効くのは明らかですよね。これならDIYで作業してもまず問題は起こらないでしょう。


■壁の下地を調べて柱がある箇所を見つけるのが基本

さて、ここからが本題。

前回、キッチンレールやアルミシェルフを設置した壁の元の状態をごらんください。

キッチンの壁

パッと見ではこの壁の中がどうなっているかはわかりませんよね。

一般的な住宅の壁は柱を立ててその上に石膏ボードを張って造ります。

石膏ボードと柱のイメージ図

ごぞんじのとおり、石膏ボード自体はビスや釘が効かない素材なので、ビスを打つならば柱が下地にある箇所を狙わなければなりません。

というわけで、まずはその柱の位置を探し当てる必要があるのです。

シンワの下地センサー

そこで使うのが下地センサーです。素人がDIYでビスをもむなら必須と言える道具。

さまざまな種類がありますが、僕は「シンワ」製の「ベーシック(BASIC)」を使っています。

現行商品は「ホーム(HOME)」と改称されているようです。

起動した下地センサー

本体側面のスイッチを押すと「準備OK」のマークが点灯します。この状態で壁をなぞっていくと、

下地を感知したセンサー

壁の中に下地の柱がある位置で光の矢印を表示してくれます。

これで柱の大体の位置はわかるのですが、若干のズレが生じたりするのも事実。

さらに、ダメ押しの確認に使うのがこれ。

針式の下地探し

針式の下地探しです。

これも「シンワ」製の「ベーシック(BASIC)」タイプ。先ほどのセンサーとセットで愛用しています。

センサーが感知した部分にこれをあてて、本体内部の針をぐっと壁に押し込んでみると、

壁に刺さった下地探し

下地の柱に刺さって自立するのです(なお、下地が石膏ボードしかないところでは手ごたえがありません)。これならまちがいなく下地があると確信できるので、安心してビスを打つことができますね。


■下地がコンクリートなら専用の道具とアンカーが必要

しかし、この方法も万能ではありません。

下地センサーの説明書きによると、

センサーの対応表

正確に感知できない壁材もあり、その代表がコンクリートです。

センサーで下地を確認

我が家の壁で試したときも下地センサーは反応したのですが、

壁をたたいて下地の確認

手でコンコンと叩いてみると明らかに石膏ボードの壁ではないとわかります。音が響かず、中身が詰まった手ごたえがあるのです。先ほどの針式の下地探しを押し込んでみれば、固くて刺さりもしないので確信が持てるはず。

以上の方法で壁の中の下地を確認した結果がこちら。

壁の下地イメージ

薄い青で示した部分がコンクリートで、薄い赤で示した部分が後から造り足した壁。造作した壁の両サイドには白線で示した柱が通っているとわかりました。

キッチンレールの設置イメージ

こんな感じでキッチンレールを設置しようとすると、右側は木の下地があるので問題ありませんが、左側の穴は硬いコンクリートに当たってしまいます。

以前も書きましたが、コンクリートの壁にビスを打つのは素人にはそれなりに大変な作業です。

通常の電動ドライバーやインパクトドライバーでは不十分で振動ドリルという道具が必要になります。

僕の場合、使用頻度が少ないこともあり、コーナンオリジナルの安価なもので済ませていますが、不自由を感じたことはありません。

振動ドリルで穴開け

この振動ドリルでゴリゴリと下穴を開け、

穴にアンカーを挿れる

アンカーを差し込むことで、

キッチンレールをビスで固定

ようやくビスを留めることができるようになるのです。詳しいやり方については先に挙げた記事を読んでみてください。

なお、振動ドリルはかなりの音と振動が出ます。とくに振動は躯体を伝わって建物全体に響きますから覚悟しましょう。

キッチンレールを設置した壁

さて、これが前回もお見せしたキッチンレールを設置した写真ですが、

キッチンレールの下地

左側のコンクリートには振動ドリルとアンカーでビスを打った一方、右側は下地がある箇所を狙ってふつうにビスで留めていることがおわかりいただけたかと思います。

一見、何の変哲もないキッチンレールの設置も、下地の種類によっては左右で道具を使い分ける必要があり、それなりの知識と下準備が要るのだと実感しました。

キッチンのアルミシェルフ

次回はこのキッチンレールの上にアルミシェルフを取り付けます。本来ならばビスが効かない石膏ボードにビスを打つ方法をご紹介します。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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