(619) タンデムツーシーターの超小型モビリティがほしい

今回は、ひさしぶりに超小型モビリティについて書こうと思います。
このブログでは、以前に山小屋に導入することを想定して記事を書いたことがありますが、
僕はクルマに関しては運転下手のド素人なので、専門的な知見は何も提供できません。というか、「僕の欲しい超小型モビリティはさっぱり販売されない」という愚痴に近い話をつらつらと書いただけなので、誤りなどがあればご勘弁ください。
さて、上記の記事では、横浜で乗った超小型モビリティ「日産ニューモビリティコンセプト」の体験談をベースに山小屋に導入するとしたらどんなクルマがほしいかを考えました。
この記事を書いたのが2019年で、読み返してみたら「来年、トヨタが「超小型EV」をリリースし、超小型モビリティ購入に伴う補助金がスタートすれば、事態も少しは変わるかもしれませんが、一年では劇的には変わらないでしょう。山小屋に導入できるのは早くても2021年くらいになりそうです」なんて結んでいましたが、とんでもない見込み違いでした。2025年3月時点で、山小屋への導入はおろか、僕の望む条件にマッチする超小型モビリティはいまだ販売されていないのが現状です。
2020年、トヨタは「C+pod(シーポッド)」なる「超小型EV」を販売開始したものの、早くも2024年には「小型モビリティーとして一定の役割を果たしたと判断した」ということで販売終了となってしまいました。

街中で見かけたのでレンタカーで試してみたいと思っていたものの、あっという間に姿を消してしまい、乗れずじまいでした。僕のような素人目にも不人気だったんだろうなあ、という印象しかありません。
そもそも、「C+pod」は横にならんで二人が乗る形になるので、コンパクトとはいっても車幅はふつうのクルマなみなんですよね。正直、運転感覚は軽自動車と大差ないと感じてしまうのです。

「日産ニューモビリティコンセプト」のどこに惹かれたのかといえば、タテにならんで乗ることができる点。最近知ったのですが、2つの座席が縦列にならんだタイプの自動車を「タンデムツーシーター」と呼ぶんだそうですね。
そのメリットはなんと言っても「車幅が狭い」という点。

軽自動車とならんでもこのサイズ。
世の中のみなさんがどうお考えかはわかりませんが、僕にとって超小型モビリティの大きな魅力が「車幅が狭いおかげで、ふつうのクルマとは比較にならないほどストレスなく運転できる」ことにこそあるのです。

これはうしろの座席から妻が撮ってくれた写真ですが、ハンドルがセンターにあるので、ふつうのクルマにくらべると車体感覚がつかみやすく、僕のように運転に苦手意識を持つ人間でもスイスイ運転できてしまいます。
実際、横浜を走った際に、うっかり細い道に迷い込んでしまったことがありましたが、車体が小さいおかげでテンパらないで落ち着いて運転することができました。
ふだんは山小屋の周辺と熱海近辺でしか運転しない自分ですが、こういう小型車ならば細い路地も多い世田谷の住宅地の中でも乗り回せるかもしれないとすら感じました。
「タンデムツーシーターの超小型モビリティがほしい人っていないの?」と思ってネットを検索してみたら、こんな記事を発見しました。
【GAZOO】山コムス、トマコムス…etc。超小型モビリティの意外な使い道とは?
この記事では、トヨタの超小型モビリティ「コムス」を社会のさまざまなシーンで活用する可能性が考察されているのですが、その中でこう指摘されています(以下、記事より引用)。
「「縦2人乗り」か「横2人乗り」か、どっちがいいのか? 結論から言うと、「縦2人」です。幅で比較すると、1,480mmある今の軽自動車は、普通のクルマに近いんです。一方、コムスは1,000㎜弱と非常に幅が狭い。「畑など農道で使える」、「店の軒下に止められる」、「路肩に駐車した際の張り出しが小さい」などのメリットが生まれます。また、両側が見えているので幅寄せも簡単。」
僕の言いたいことがまさに代弁されているように感じました。では、なぜ実現しないのかといえば、これが法律的に難しいようなのです。
実は、コムスにも2人乗りの「T・COM」というモデルがありました。
【MONOist】超小型EV「コムス」が2人乗りになって登場、ドアも付いた
「T・COMは、車両の前後に1人ずつ乗車できるタンデムレイアウトにより2人乗りが可能」(前掲記事より引用)とのことで、まさに僕が望む超小型モビリティです。
ところが、日本の法律では既存の一人乗りコムスが「原付ミニカー」扱いで気軽に乗れるのに対し、この「T・COM」にはちょうどよいカテゴリーがなく、結局、一般販売されることはありませんでした。原付である以上、2人乗りはダメという理屈みたいですが、この縛りは、現在に至るまで超小型モビリティの普及を阻んでいるように思えます。
最近の話で言うと、トヨタで超小型モビリティを開発していた方が独立して開発した「Lean3(リーンスリー)」も然り。
【スマートモビリティJP】トヨタ出身のエンジニアが手がけた超小型モビリティの革命児、「Lean3」が発売に向け最終段階
パッと見、三輪でバイクとクルマの中間のような形状で、これまた僕の望む車幅であることはまちがいありません。日本と台湾の共同開発ということで、今年には台湾で発売されるそうですが、よくよく読んでみると「日本では原付ミニカーに区分されるため残念ながらひとり乗りになる」(前掲記事より引用)そう。
「日本では」というのがポイント。超小型モビリティをめぐる法整備が進まない日本では「原付ミニカー」という既存のカテゴリーからはみ出るものは普及しづらいのです。
先ほどわざわざタンデムシートのクルマがほしいと書いたとおり、個人的には一人乗りではダメなのです。後ろに妻や甥っ子を乗せて、サクッと出かけられる小型車こそが僕の望み。

こうして眺めると、ふつうの自動車にくらべてボディの耐久性に欠けるように感じられ、たしかに安全性の問題はあるのかもしれません。でも、一人乗りなら「原付ミニカー」として認可されているわけですよね。原付バイクの二人乗りが危ないのはわかりますが、「日産ニューモビリティコンセプト」のような小型車なら一人で乗っても二人で乗っても危険性はそんなに変わらない気がするんですが、どうなんでしょうか。
そもそも、こういうクルマを原付と同じカテゴリーに入れていること自体、おかしいと言えばおかしい気もしますし、もしこれがカテゴリー上の問題でしかないならば、実用的な区分に合わせて法律を改正してほしいな、と思います。
しかし、こんな世界の片隅で法律に文句を言ってもしかたないのでしょうし、そもそも僕の望む条件がニッチ過ぎるのだという諦観はあります。
「webCarGraphic」にはこんな記事がありました。
【webCarGraphic】未来の大事な移動手段「超小型モビリティー」はなぜ普及しないのか?
この中で「C+pod(シーポッド)」の弱点がズバリ指摘されています。
「C+podの価格は166万5000円からで、リース契約のみ。定員2人で、最高速度60km/hで、高速道路走行禁止で、航続距離150km(WLTCモード)。そういうたくさんの制約が付いたクルマが、軽自動車よりやや高めのお値段で、しかもリース契約のみなのだから、そんなものを地方の高齢者が買うはずがなかった。そもそも地方の高齢者も、運転できる人は現状、足を確保できている。となれば、C+podより軽自動車のほうが安くて便利に決まってる」
まさに、そのとおりだよなとしか言えません。でも、個人的には軽自動車じゃ車幅はそれなりに大きいしな……と堂々めぐり。
ダメ元で「自動車 タンデムシート」とかで検索してみたら、こんな記事が引っかかって「お!」と思いました。
【レスポンス】タンデム2シーターの提案…日産 ランドグライダー
そうそう!こういうのがほしいと思ったら、2009年の記事でした……横浜でチョイモビが試験運用されるよりも前の話じゃん……。
「ランドグライダー」にしても「日産ニューモビリティコンセプト」にしても、日産はタンデムツーシーターの小型車にこだわりがあるのかもしれませんが、最近の騒動を見ていると、こんなニッチなクルマの開発なんておこなう余裕はないんだろうな、なんて思ってしまいます。

あー、横浜で乗ったチョイモビがそのまま二人乗りで流通してくれるならそれで大満足なんだけどなあ。でも、原付ミニカーや超小型モビリティをめぐる法律は変わらなさそうですし、どうやらあきらめるしかなさそうです。
とか思っていたら、最近、二子玉川の蔦屋家電でこんなクルマを見かけました。

KGモーターズという広島の会社の「mibot」という小型EVです。
いや、もちろん、例にもれず、一人乗りの原付ミニカーなんですけど、こうして実物見ると、なかなかかわいいんですよね。100万という価格もその気になれば手が届く範囲。いっそ一人乗りでもいいから試してみるべきなのか?なんて思いが頭をよぎりました。
二人乗りが可能になる法律改正は望めそうにありませんが、淡い期待を心に秘めつつ今後も「超小型モビリティ」についてウォッチしていこうと思います。