(642)埋め込み型洗面ボウルの造作カウンターにタイルを張る

タイル

前回、洗面まわりに張ったタイルの数々をご紹介しました。

今回からは洗面リフォームの工事内容について詳しく書いていきます。

第一回は8年前に洗面カウンターに張ったモザイクタイルの話です。

タイル施工前の洗面

10年前のリフォームの際に妻のリクエストで深さのある埋め込み型洗面ボウルを設置し、それを覆うようにカウンターを造作・塗装してもらったのですが、

洗面台の黒ずみ

水がかかる場所の塗装の劣化は予想よりも早く、わずか2年ほどで塗膜がはげて黒カビが生えてきてしまいました。

当時、タイルDIYの楽しみに目覚めつつあった僕は、この洗面台全体をモザイクタイルで覆えばいいのではないかと考えたのでした。

タイル施工前の洗面

洗面ボウルをぐるりと囲んだ平面部はもちろん、洗面ボウルに接する枠部分や、手前のタオルかけの周辺など、全体的にタイルを張ります。

しかし、ただの四角い平面ではない立体的な場所にタイルを張るのは初心者にはなかなかの難題。

入念な準備が大事だと思い、念入りに採寸をおこなうところから始めました。

洗面タイル施工図

これは当時書いた図面。半月型に記されているのはタイルをカットする部分です。

丸タイル

選んだのは直径19ミリのグリーンの丸タイル

レトロな雰囲気が我が家のインテリアにマッチすると感じました。丸型ということで四角い場所にうまく収まるか心配ですが、採寸したサイズとの相性も良さそうだとわかりました。

一方、垂直部分にはタオルかけもついているので、これに合わせるかたちでミニボーダータイルを張ることにしました。

商品名だけ見るとわかりにくいのですが、先ほどの丸タイルもこのボーダーも両方とも同じ色。形の異なるタイルを張り合わせつつも、色をそろえることで統一感を出そうと考えたわけです。


■喰い切りでタイルカット

さて、このとき初挑戦となったのがタイルカット

先ほどご紹介した丸タイルを切り離しながら洗面カウンターの上に仮置きすると、

仮置きした丸タイル

こんな感じになるのですが、壁やボウルに接する箇所にはスキマができてしまうのです。ここが先ほどの図でピンクで記した部分に当たり、スキマに合わせてタイルをカットしなければなりません。

モザイクタイルの場合、タイル専用のペンチで割ることができるので、比較的トライしやすいです。

「喰い切り」とか「タイルニッパー」とか呼ばれる道具でリーズナブルに入手できます。

タイルカット

タイルを半分ちょっと挟み込んで、「えいっ」と力を入れると「バキッ」と割れます。

タイルカット

実際に作業してみると細かい破片があちこちに飛び散るので、ビニール袋の中で割るのがいいとわかりました。

カットしたタイル

これを繰り返して半円状のカットタイルをたくさん作ります。

このやり方だときれいに割れるものと不格好に割れるものが出てきてしまいます。

カットしたタイル

右のようにまっすぐ割れることもあれば、左のようにいまひとつきれいに割れないこともあります。確率的には半々くらいでしょうか。

もちろん、たくさん割ってきれいなものだけに厳選することも可能ではありますが、そのぶん手間がかかります。喰い切りはけっこう力が要るので大量のタイルを割ると手が痛くなることもあり、ほどほどで済ませたいのが本音。

そこで、目立つ場所にはきれいなものをたいして目立たないところには不格好なものを配置することにしました。今回でいうと、洗面ボウルまわりにきれいなものを配置しています。

カットしたタイルの仮置き

先ほど仮置きしたタイルに中にハーフタイルを置いていって、

仮置きしたタイル

無事に壁まわりのスキマが埋まりました。どうやらうまく収まりそうです。ひとまずの仮置きなので洗面ボウルまわりには置いていませんが、本番ではここにもハーフタイルを張ります。

ボーダータイルの施工準備

一方、こちらは垂直部に張られるボーダータイル。仮置きできないので、慎重にサイズを確認しながら収まりを確認しました。

カットしたボーダータイル

ほぼカット不要でしたが、タオルかけの両サイドだけは先ほどと同じやり方でカットしています。


■ボンドでタイルを接着する

仮置きして配置に問題がないことが確認できたら、いよいよ接着です。

養生した洗面台

まずは養生から。意外なところに手をついて汚れが付着してしまうというのがDIYあるあるなのでしっかり養生したつもりでしたが、今振り返るとボウルが養生されていなかったり、まだまだ不十分な感じがするのはご愛敬。

タイル接着の道具

用意した道具ですが、ボンド以外は百均で手に入ってしまうものばかりです。

ボンドは、先日書いた玄関タイルのDIYでも使った「ネオピタ」を使いました。

ボンドの塗り付け

金属のコテで塗り付けます。これまた今見ると塗りすぎなのがわかります。後述するようにボンドがはみ出ると、後の処理が必要になり手間が増えてしまいます。

タイルの接着

ここにタイルを張っていきます。本来はボンドを塗ったあとにクシ目を付けなければなりませんが、写真を見るかぎりそれも忘れていた様子。

タイルの接着

まずカットなしで張れる部分を先に張り終え、

タイルの接着

続いてハーフタイルを張ります。こうして見てもボンドが塗り過ぎなのが気になります……。

タイルを接着した洗面台

なんとか無事に接着完了。

はみ出たボンド

塗り過ぎたボンドが盛大にはみ出していますから、

はみ出たボンドを削り落とす

乾いたあとにカッターで削り落として整えました。


■クリーム色の目地を入れる

翌日。

目地入れの道具

今度は目地入れ作業に入ります。

クリーム色の目地

先日、玄関に目地入れしたときは黄色が浅くてクリーム色になってしまいましたが、今回はまわりの壁に合わせてクリーム色の目地を作りたいと思ったので、同じ配分で目地を練りました。

使った目地材はINAX(リクシル)の目地材「スーパークリーンバストイレ」のホワイト(8キロ入り)です。

水を加えて目地材を練ったら、

目地材の塗り付け

ゴムベラで目地材を塗り広げていきます。

目地材のふき取り

目地全体に行きわたったら、水に浸してよく絞ったスポンジや布巾で表面の余計な目地材を取り除いて目地を整えていきます。そういえば、この作業をしているときに「洗面ボウルを養生しなかった……」と後悔したのでした。

目地入れした洗面台

さまざまな失敗もありつつ、なんとか目地入れが終わりました。目地が乾いてしまう前に養生をはがしたら完成です。


■初心者にしては上出来だが、いろいろ後悔もある

タイルを張った洗面

タイルを張る前とくらべると雲泥の差ですね。あのときはこの落差に感激したものです。

ただ、8年経って思うところはいろいろあります。

洗面台のエッジの処理

ひとつは平面部と垂直部がつながるエッジの部分の処理。ごまかすように斜めに目地入れしてしまいましたが、

タイルイメージ図

手前のボーダータイルを丸タイルの表面の高さに合わせるように張っていれば、もっとシャープに仕上がったのだろうなと感じてしまいます。

張った直後の目地

壁まわりの処理にも後悔が残ります。当時の僕は知識もなく、壁とタイルの間は目地材で埋めてしまいました。

先日ご紹介した玄関のような場所ならばたいした問題はありませんが、洗面のように日常的に水がかかる場所だと経年劣化でひび割れが生じてきてしまうのです。

現在の様子を見ると、

目地のひび割れ

ところどころ目地が割れて欠け始めているのが散見されます。洗面のような水回りのタイルと壁の間を処理するときはコーキングを用いるべきでした。

目地の劣化は壁際だけではありません。

張った直後の目地

張った直後はこんなにきれいだった水栓まわりの目地も、

目地の黒ずみ

現在はこのありさま。水がかかるので黒カビが目立つようになってしまいました。定期的に掃除はしているのですが、ゴシゴシやりすぎると目地自体が削れて表面がボコボコしてきてしまうのも悩ましいところ。

この劣化が、素人DIYゆえの目地の強度に起因する問題なのか、それとも、水がかかる場所の目地は頻繁に掃除するため摩耗しやすいという話なのか、僕の乏しい経験ではわかりませんが、いずれ何らかの対策を講じたいと思っています。

タイル施工後の洗面

でも、DIYでタイルを張ってよかったと心から思います。

まず、なんといってもDIYは費用が安いのです。まとめると、

  • 19mm丸タイル「1,750円」(送料込み)
  • ボーダータイル「1,400円」(送料込み)
  • 接着剤「2,217円」(送料込み)
  • 目地材「2,996円」(送料込み)

合計「8,363円」でした。当時とくらべて今は物価が高騰していますから、さすがに1.5倍~2倍はかかるとは思いますが、それでもプロに頼むことを考えたら激安だと思います。

もちろんプロに頼めば出来上がりのクオリティはもっと高くはなりますが、それも簡単ではありません。住みながらのリフォームはいろいろ気疲れしますし、自分が思い描いたイメージを職人さんにきちんと伝えることができないと、せっかくお金を払って頼んだのに思ったのと違ったものができたなんて結果にもなりかねません。

その意味で、DIYは「施主=作り手」なので、自分のペースで自分の思いどおりにものづくりができるのが最大のメリットだと思います。今後も失敗を怖れずにタイルDIYを続けていきたいと思います。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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