(713)京都のホテル「RC HOTEL」宿泊体験記
先日、京都に行ってまいりました。もともと観光客の少ない真冬なうえに、首相の発言の影響で中国からの観光客が激減していると聞き、この機会を逃すまいと三連泊することにしたのです。
旅行のテーマは「リノベーションホテルをめぐる」こと。毎日ホテルを変えて3つのホテルを泊まり歩いてみることにしました。
以前も書きましたが、京都に泊まるときは「気の利いたインテリア」「浴槽ありのお風呂」「一泊30,000円まで」「立地は京都の中心」などを条件にホテルを選んでいるのですが、それらの要素を網羅することよりも面白そうなホテルに泊まることを優先しました。
今回は一泊目に選んだ「RC HOTEL」をご紹介します。
■駅からはやや遠いが、「八坂の塔」からすぐの観光地
いつもは京都駅から電車でアクセスしやすいホテルを選ぶ自分ですが、「RC HOTEL」は最寄りの京阪祇園四条駅からも京阪清水五条駅からも徒歩20分くらいかかります。今回は三泊の初日ということもあり、京都の街並みを眺めながら散歩気分を味わって歩くことができました。
いざ訪れてみると、これが観光地ど真ん中とも言える場所。

ホテルに近づくと法観寺の「八坂の塔」が見えてきます。こういうの、学生時代の修学旅行以来です。すれ違う人々も外国の方が多く、なんだか場違いなところに来てしまったような気分。

五重塔を横目に少し進んで路地に入ると、その先に風変わりなビルが見えてきます。

このビルが「RC HOTEL」。なかなか年季の入った建物です。

一歩足を踏み入れると、エントランスはピンクカラーの空間。アンティークの家具や植物のおかげで甘ったるさはなく、むしろ異国情緒を感じさせる良い雰囲気です。

宿泊者がのんびりくつろげるスペースもあって居心地も良さそう。

チェックインを済ませてカギを受け取って廊下に出ると、昔ながらの共同住宅の雰囲気が漂います。もともとは地域住民が暮らすアパートだったそうですが、築古マンションを営む大家の僕としては共感の湧く風景です。

ドア裏の造りとか、うちのマンションとほとんど同じ。室内がどんなふうにリノベーションされているのか、期待が高まります。
■コンパクトな水回りだがレインシャワーあり

ほとんど手を入れていないように見える廊下とは打って変わって、リノベーションを施された室内は白を基調にしたこざっぱりした空間。

右手に見えるのが「RC HOTEL」のロゴがあしらわれた鏡が印象的な洗面。

このロゴ、実はこの建物の共用ドアに残されていた落書きが元。

なるほどグラフィティ的なやつか。ホテルの人も意味はわからないとか。

洗面水栓のハンドルがビッグサイズなのも驚き。正直、使いやすいとは言えませんが、日常を過ごす家ではないのですから、こういうインパクト重視のチョイスも全然ありです。

床には細めのフローリングが敷かれています。やっぱり本物の木は表情が豊かですね。フロアタイルなどにくらべて床の冷たさを感じにくいのもうれしいです。

玄関横には二人掛けサイズのソファが置かれ、ポットとカップ、ティーバッグやコーヒーバッグが用意されています。

その横には昔の建具を流用したと思しき鏡張りの引戸が。全身用の姿見を兼ねているんですね。

ドアの向こうはトイレです。トイレのスペースは脱衣所を兼ねていて、

隣にはタイル張りのシャワールームがあります。浴槽はありません。個人的には「浴槽ありのお風呂」をホテル選びの必須条件にしているのですが、今回は初日ということで妥協しました。

頭上から降り注ぐレインシャワーは特別感もありますし、むしろこれがあればいいという方もいるんじゃないでしょうか。
■躯体あらわしのラフな壁面にドライフラワーが映える
実は、この「RC HOTEL」、すべての部屋が21平米とかなりコンパクト。
公式ページに間取り図がなかったので、自前で作成してみました。

幅が約4メートル、奥行が約5メートルほどでしょうか。採寸したわけではないので、あくまで大まかなイメージをつかむための間取り図だとご理解ください。
「アパート時代には玄関横のソファの位置にキッチンがあったのだろう」とか「ひょっとして風呂なしアパートで、シャワーブースの位置にトイレ、トイレの位置に洗面があったのかも?」とか、リノベーション前のレイアウトを想像してしまいます。
では、部屋の奥のベッドルームにまいりましょう。

目を引くのは躯体あらわしを基調とした内装。

うちの熱海の物件と同じく、躯体あらわしに露出配管というのは最近の流行のスタイルではありますが、この部屋はかなりラフな部分もあえて残しているのが特徴です。

このブロックの残し方なんか、かなり攻めてますね。うちだったら埋めてもらっちゃうかも。

それでも、キツい印象を与えないのは、全体を白く塗り上げているからかもしれません。うちでもこの手法は使いましたが、躯体あらわしの部屋をホワイトで上塗りすることで、統一感を出して柔らかい印象を与えることができます。
ただし、「RC HOTEL」ではうちのマンションのようにベッタリ塗りつぶすのではなく、あえて下地を透けさせているのが面白く、参考になりました。

この躯体をバックに映えるのがアンティークの家具やドライフラワー。
実はこのホテル、一階、二階、三階でそれぞれインテリアのコンセプトが異なり、僕が泊まった部屋は「Vegetation」と名付けられた一階のお部屋でした。

インテリアとしては「ブロカント」とか呼ばれるスタイルでしょうか。
二階は「古民具」、三階は「Art」をそれぞれテーマにしており、飾られているものが異なります。ご興味ある方は公式のページをのぞいてみてください。
【RC HOTEL】ROOM 宿泊案内
すべての部屋に共通しているのはラフなコンクリートの表情。

このスタイルは築古マンションの空間を最短距離&最小コストで見栄えのする空間に仕上げられるので低予算リフォームにもおすすめだと思います。
■屋上からの夜景も、夜の照明で照らされた室内も素敵
冒頭でも触れたとおり、このホテルは八坂の塔のすぐ近くにあるので、屋上に上がるとその姿を間近に見ることができるのです。

この夜景を見逃す手はありません。
あいにく真冬の寒さが強烈で長居はできませんでしたが、春か秋なら飲み物片手にのんびり夜景を満喫するのもいいでしょうね。

また、日中は観光客でごった返す街も、夜には人影もまばらになるので、静まりかえった街を散歩するのも一興です。

ライトアップされた「RC HOTEL」も素敵。

共用部も夜には独特の照明が灯され、昼間とはちがう表情を見せてくれます。

もちろん、ベッドルームでゆっくり過ごす夜も格別です。
ベッドの背後、壁の中央に見える黒いボックスは照明コントローラー。

スイッチやつまみを操作してベッドサイドのランプやペンダントライトのオンオフと調光をおこなうことができます。

室内全体をパキッと明るくすることもできれば、

かなり灯りを絞ってリラックスできる雰囲気にすることもできます。

ベッドから離れたテーブルの上にあるペンダントライトも調光できるので、この光量をミニマムに絞って常夜灯にするのもアリ。
■ネックは古いサッシからの冷気で部屋が温まりにくいこと

気になったのは窓際から忍び寄ってくる寒さでした。

この窓、ごらんのとおり、昔ながらのアルミサッシにバーティカルブラインドを取り付けただけなので、断熱性能はほぼゼロ。エアコンでせっせと部屋を暖めても、窓からの冷気で打ち消されてしまいます。

築古の宿命でしょうか、結露も目立ちます。こういう弱点もうちのマンションそっくりです。

部屋には灯油ヒーターが置かれているので、これで足下から部屋を暖めることもできるのですが、これがすぐに停止してしまう安全仕様。「停まってはオン、停まってはオン」のくりかえしはちょっとストレスでした。
照明も工夫されていて居心地のいい空間だったので、この寒さだけは残念でした。できれば窓を交換するか内窓を設けて断熱性能を上げてもらえるとうれしいのですが、贅沢なリクエストでしょうか。
ただ、この日は一年でもっとも寒さの厳しい時期だったので、春や秋ならばもっと居心地はよかったはず。夏の暑さは体験していないのでわかりませんが、エアコンでなんとか乗り切れるのでしょうかね。
なんにせよ、寒さに弱い人は要注意。
■オフシーズンに夫婦二人で一泊「15,800円」はお値打ち

冒頭にも書いたとおり、駅から遠いという点は個人的には気になりましたが、清水寺付近の観光地に宿泊できるのをメリットに感じる人も大勢いるはずです。八坂の塔が眺められるのも立地の賜物ですしね。

個人的な収穫は、修学旅行以来、ひさしぶりに「文の助茶屋」でわらび餅などの甘味が楽しめたこと。

ホテルから歩いてすぐの場所なので、チェックイン後でも間に合いました。

気になる宿泊費は夫婦二人で一泊なんと「15,800円」。1月の後半という、一年の中でももっとも観光客の少ない時期の平日ですから底値ではありますが、それでも驚きの安さだと感じました。
2023年や2025年に訪れたときは春(5月)や秋(10月)だったので、ちょっとこだわったホテル選びをすると一泊3万円は下るまいという高値だったのを思うと、オフシーズンの恩恵は素晴らしいと思います。

マンション大家という立場から見ると「築古の建物をどうリノベーションするか」についてのヒントをたくさんもらえたのも楽しく、勉強になりました。古いマンションや団地の一室を購入してリノベしたいと考えている人にもおすすめのホテルだと思います。


















