(750)【日刊Sumai再録】鏡が割れたのは誰のせい?施主支給で注意すべきこと
前回に引き続き「日刊Sumai」の再録記事をお届けします。
今回の記事は連載当時も内容的に続きとなっていたもので(2018年公開)、「鏡が割れたのは誰のせい?施主支給で失敗しないためのコツ」というタイトルで施主支給がテーマでした。
ヤフオクやメルカリで住設機器を入手したら、次はそれを工事業者さんに引き渡して設置してもらう必要がありますが、実はここがトラブルが起こりやすいポイントです。表題のとおり、僕自身もやらかしております。
そのほか施主支給で失敗しないために注意すべきポイントをまとめました。前回同様、若干の修正と画像の差し替えをおこなった箇所があることをご承知おきください。
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「鏡が割れたのは誰のせい?施主支給で失敗しないためのコツ」
古いマンションを購入して個性的なリノベーションを施す人が増えるなか、施主支給もあたりまえのように浸透してきた感があります。かくいう僕もリノベーションのたびに必ず施主支給をおこなっています。
設備を購入する際になるべく安価に済ませることができますし、建設会社では取り扱いのない個性的なアイテムを採用することができるのも魅力です。
しかし、良いことばかりではありません。きちんと考えたうえでおこなわないと思わぬ失敗やトラブルにみまわれることもあります。今回は、僕が苦労したり失敗したりして気づいた施主支給の注意点をまとめてみます。
■動作不良のリスクがある品物は業者さんにお願いするのが無難
なんといっても自分で商品を手配する手間の分だけ費用が浮くのが施主支給の利点でしょう。
ですが、裏を返せば自分で入手した商品については施工業者は責任を持ってくれないということでもあります。
具体例を挙げましょう。昔から付き合いのある電気屋さんからテレビモニター付きインターフォンを購入しようとしたことがありました。

インターフォン本体を購入するだけで、設置は部屋の工事を頼んでいる業者さんにお願いするつもりでした。
ところが、電気屋さんからは意外な返答が。
「もし故障した場合、二度手間になると面倒なのでやめたほうがいいですよ」
聞けば、もしインターフォンが故障した場合、本体の故障ならそれを購入した電気屋さんを、配線の問題なら工事業者さんを呼ばねばならず、面倒なことになるというのです。
実はこの電気屋さん、うちの先代のときに同じような状況でやっかいな目に遭ったらしく、自分が工事業者の不手際の尻ぬぐいをさせられるのはごめんだというメッセージが言外に込められていました。

後日、現場の業者さんにも聞いてみましたが、「我々も初期不良とかメンテナンスの責任も含めて施工してますから」という言葉が返ってきて「なるほど」と思いました。
商品の手配と設置を同じ業者さんに頼むことは、安心を買うことでもあるんですね。
以来、うちでは電気製品などはなるべく施主支給を避けるようにしています。
■スイッチやコンセントを施主支給するのは地味にたいへん
うちのリノベーション工事では、毎回、さまざまなタイプのスイッチやプレートを採用しています。

工事をお願いしている業者さんが取り扱う商品については手配をお願いしていますが、アメリカンスイッチやアンティークスタイルのスイッチについては自分で購入して施主支給するしかありません。
ところが、たかだか30平米の部屋のリノベーションでも、スイッチやコンセントの数をきちんと把握するのは意外に手間なもの。

もちろん、業者さんからは図面をいただいてはいるので、きちんと数を数えて購入するのですが、工事が進むにつれて予定とずれてくることはしょっちゅうです。

たとえば、「アメリカンスイッチのダブルだと横幅がありすぎて収まらない」と言われ、

通常のプレートサイズに2つのスイッチが収まるダブルスイッチを買い直したことがありました。

また、現場で話しているうちに「やっぱりここに照明がほしいですね」となれば、追加で購入する必要もでてきます。そのたびに手間もお金もかかるわけです。
ほかにも、「どのコンセントがアース付きか」とか「どのスイッチが3路か」など、確認が必要なポイントが多く、地味に労力を使います。現場とのやりとりを怠らず、まめに図面をチェックするよう心がけましょう。
■支給した鏡はいつ割れた?~引き渡し時には必ず状態を確認すべし
前回も書きましたが、僕は経費削減のためにオークションサイトやフリマアプリを活用しています。洗面のミラーキャビネットをヤフオクで落札したこともありました。

ちょっとオーバーサイズではありますが、いつもなら2万円前後はかかるところが、5,000円で済んだことですし、届いた品物の状態も良くお得な買い物だったと喜んでいましたが、工事が進んだある日、建設会社のKさんから電話がきました。
「施主支給していただいたキャビネットなんですが、鏡が割れていると現場から連絡があって…」
耳を疑いました。配送されてきたときの商品にはヒビひとつ入っていなかったからです。
しかし、まったくの潔白かといえば、そうとも言えません。このキャビネットを現場に運び込んだのは僕ですが、梱包されている状態で運んだので、そのときに破損した可能性は否定できないからです。
現場の大工さんがウソをつくような方ではないのは僕も知っていますが、開梱前に現場内で移動させたときに知らずに割ってしまった可能性はあります。これ以上の真相を知ることはもはやできません。
ですが、現場にやってきたKさんの見立てでは、鏡の割れ方から見て現場で割れた可能性が高いということで「修理費用はウチで持ちます」と言ってくださいました。
こちらも確認を怠った非があり、費用を折半しようと提案したのですが、Kさんの意志は固く、最終的に厚意に甘えることにしました。なんとかまるく収まったとはいえ、申し訳ない気持ちは残りました。
支給品(とくにこわれもの)を引き渡すときは、施主と業者で状態を確認し、トラブルがないように努めるとよいと思います。
経費を削減するのも大事ですが、そればかり追求すると思わぬ落とし穴が待っているものです。リスクや労力を考慮したうえで業者さんに手配を頼めば、結果的に得をする可能性もあることを念頭に置いたうえで、施主支給を検討するのがよいと思います。
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いかがでしたでしょうか?
ひさしぶりに読み返してみると、大事なポイントに気づいたので補足しておきたいと思います。
それは「何のために施主支給をするのか?」をしっかり意識しておくことの大事さです。
今回、再録した記事では、インターフォン、スイッチ、鏡(ミラーキャビネット)という三つの事例について紹介しましたが、実はそれぞれのケースで「施主支給の目的」が異なっているのに気づきます。
インターフォンのケースは「先代からお世話になっている電気屋さんにも仕事を振りたいという配慮」からで、実は母親から「なじみの電気屋さんを使ってほしい」とお願いされたという事情がありました。
一方、スイッチのケースはパナソニックや神保電器のような大手メーカー以外のマイナーな製品は工事業者さんが手配することは難しいので、「施主である僕がアメリカンスイッチを自分で購入して用意しなければならなかった」のです。

僕はよくIKEA(イケア)の製品を採用していますが、これも業者さんは手配できないので自分で購入して施主支給しています。
三つ目の鏡のケースでは「予算の都合で製品を施主支給することでコストダウンしたい」という目的がありました。
しかし、10年以上、大家をやってきてさまざまな物件をリフォームした経験から言うと、コストダウンだけを目的とした施主支給はトラブルを招きやすいと感じます。
現場の流れや事情をよく知らない施主が、お金のために安価なブツを持ち込んでも、「工事に必要な付属品が足りなかったり」「製品の規格が現場に合わなかったり」して取り付けられないなんて失敗が起こるからです。

当然ながら、正しい規格の住設機器を選んで現場まで運ぶことも業者さんの仕事であるわけで、その部分を素人が自分で背負うということは、それなりのリスクを含んでいることは最後にもう一度強調しておきたいと思います。
特に、記事内でご紹介した鏡のように破損の可能性が高いものを施主支給するのはリスキーです。こういうものはトラブル回避のためにも業者さんを通して手配してもらったほうがいいのかもしれません。
それに、よくよく考えてみると、工事業者さんは製品を仕入れることによっても利益を得ているわけで、施主支給はそこを削るような行為にもなりえます。やり過ぎると業者さんも愉快には思わないはずですよね。
そんな思いから、最近の僕はコストダウンだけを目的とした施主支給はほとんどおこなわないようになりました。まあ、このへんは「こうすべし」というよりは、「こんな施主もいるのだなあ」くらいに聞いていただければいいと思います。
なんにせよ、施主支給は本来ならば工事のプロがおこなう領域に素人が足を踏み入れるような行為なので、業者さんと密にコミュニケーションを取って気持ちよく施工してもらえるよう配慮が必要なのだろうと思います。


















