(764)築古増築ハウスは季節によって部屋を使い分けるのがベストなのかもしれない

別荘管理&修繕

前回、山小屋の母屋の客間にあったダイニングテーブルをキッチンダイニングに移転した話をいたしました。

この移転を機にテーブルも新調し、天童木工のダイニングテーブルと低めの椅子たちを組み合わせてみました。

移転の理由ですが、客間は外気の影響を受けやすく、一年の中で心地よく過ごせるシーズンが非常に短いので、ダイニングテーブルを置いたままにするのがもったいないと感じたからでした。

前回のくりかえしになりますが、

客間

外の緑も眩しい窓々からは、外からの冷気が絶えず室内に入ってきますし、小屋裏をあらわしにして開放感を出した天井は暖房効率を下げてしまいます

しかも、この部屋にはエアコンもなければガス栓もなく、暖房となると灯油ヒーターに頼らなければならないのですが、別荘となるとそうそう頻繁には灯油を買い足すこともできず……。

客間

これらを考慮すると、客間は室内が十分に温かくなる5月半ばごろから徐々に寒さが感じられる10月はじめごろまでの5カ月間くらいだけ使用することにして、残りの期間は使わないでおいてもいいだろうと考えるようになったのです。

「え、それしか使わないの?」と驚かれるかもしれません。

山小屋について少々背景を補足しておきましょう。

かつての山小屋

建てられた当時はこじんまりとしていた山小屋ですが、祖父が増築に次ぐ増築をくりかえしたせいで、いびつなくらい小さな部屋が連なる家になってしまいました。間取り図をごらんください。

山小屋の間取り図

このほか、玄関入ってすぐの階段を上がった二階にも小さな部屋が2つあります。ゲストが来ないときには夫婦二人で滞在しますが、とにかく広すぎて持て余しています。

家は広ければ広いほどいいと思う方もいるかもしれませんが、湿気や寒さが厳しく、たえずネズミやイタチ、ハクビシンの侵入の怖れがある山小屋では、部屋が多ければ多いほど維持管理の手間と費用がかさむのが現実なのです。一時は本気で減築も検討したほどです。

そんななか、前回のダイニングテーブルの移転を機に「我が家のような築古で増築しまくった家屋は、季節ごとに使う部屋と使わない部屋を分けて、年間通してムダなく活用すればいいのだ」と思いつきました。

いや、今までそれと意識してこなかっただけで、振り返ってみればそういう使い分けをして暮らすようになりつつあったというほうが正しいでしょう。

二階の外観

その代表が二階の使い方。夏でもエアコンなしで寝られる山小屋ですが、二階の部屋は別。一階からのぼってくる暖気や屋根に当たる日光の影響を受け、室温がかなり上がるため都心のような寝苦しさを感じてしまい、7月半ばから9月半ばまでの間は二階の部屋は洗濯物を干すだけにしか使っていません

その間、どこで寝ているかといえば一階にある裏手の小川に面した部屋

本部屋写真

小川を挟んで対岸にある竹林が天然のグリーンカーテンになり、この川沿いの部屋にはほとんど日光が当たらず、夏の夜もエアコンなしでぐっすり眠れます

本棚部屋

この部屋には祖父が造り付けた本棚がならび、今では僕の蔵書が収まっている書庫のような空間なのですが、事実上は本の物置といえる場所。もっとも有効に活用されているのは寝室として活用される真夏であることはまちがいありません。

ただし、その日当たりの悪さゆえ、10月くらいにはもううすら寒く感じる日があるくらいなのが欠点。結局、有効活用されるのが一年で2カ月ほどというのはいささか効率が悪すぎますが、ムリして部屋を温めたところで夫婦二人には広すぎて使いようもありません。「夏の寝室」として割り切って使用するのがいいのです。

秋の窓辺

逆に、秋の訪れとともに空気がひんやりとしてくると二階の部屋のありがたみが身に染みます。どこにいても肌寒さを感じる一階にくらべると、暖かい空気がのぼってくる二階は、日当たりのよさも相まって山小屋内でもっとも暖かい部屋になります

以上のように、「初夏から初秋にかけて活用される客間」、「夏だけは使われない二階」と「夏だけの寝室」……こんな具合に、季節によって空間を使い分けているのでした。

一方、山小屋びらきをする初春から山小屋じまいをする初冬まで、ずっと使用することを想定しているのがキッチンダイニングです。

キッチンダイニング

先日、床をリニューアルしたことからもわかるとおり、この部屋はゲストのみなさんと多くの時間を過ごす母屋の中心といってもいい場所になっています。

初春や晩秋など寒さの厳しい季節に夫婦二人で滞在するときは、眠る時間以外は、ほとんどの時間をこの部屋で過ごします。

ガスヒーター

それが可能なのは、「24時間365日湿度を調整する」ルームドライヤー、夏場の暑さを和らげてくれるエアコンに加え、寒さの厳しい春や秋冬に重宝するガスヒーターなど、冷暖房が一式完備されているからです。

ゲストルーム

同じく一年を通じて使用することを想定しているのが、昨年(2025年)にリフォームした母屋内のゲストルームです。

基本的にはゲストには離れの小屋に宿泊してもらうのですが、ゲストの人数が多いときやあまりに寒さに厳しい日には母屋のゲストルームに宿泊してもらおうとリフォームしました。広さは六畳ほどで、ベッドとワークテーブルがあり、ガスヒーターも使えるので暖かく過ごすことができます

ゲストルームから見たエアコン

四方を別の部屋に囲まれたこの部屋も日当たりが悪いため、エアコンなしでもあまり暑さを感じずに過ごすことができますが、暑さが過酷な日には引戸を開け、隣の脱衣所のエアコンで室内を冷やすこともできます

あらためて我が家の使い分けを間取り図でまとめてみると……

間取り図と季節による使い分け

キッチンダイニングとゲストルームは「初春~初冬」(真冬は山小屋は閉鎖)で使用、二階は「真夏をのぞいて初春~初冬」客間は「春~秋」川に面した夏の寝室は「真夏のみ」使用といったふうに使い分けていることになります。

山小屋の外観

増築に増築を重ね、小部屋が連なるような母屋ですが、こういった感じで宅内でシーズンごとに割り切って使い分けることで、だいぶ過ごしやすくなってきた気がします。

言い換えれば、季節ごとに家の中で心地よい気温の部屋を求めて移動する生活といってもいいでしょう。

季節に抗って家全体を冷やしたり温めたりする工夫に奔走するよりも、使いにくい部屋をあきらめるほうが苦労が少ないというのが、山奥の築古別荘を長らく管理してきて実感しているひとまずの結論です。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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