(487)これまででもっとも高額な改修工事を施した室内を紹介する
今回は、今年の10月に8年ぶりに空室となった世田谷のマンションのお部屋をご紹介します。表題のとおり、これまで10部屋ほどリノベーションしてきたなかでもっとも高額な改修工事を施した部屋です。
ひさしぶりに昔の請求書を引っ張り出して確認したところ、
工事前の見積もり「3,390,000円」に加え、追加と変更でさらに「504,085円」、合計で「3,894,085円(税込)」でした。だいぶ前の話なので施主支給にいくら使ったかはわからないのですが、それも含めるとリフォームの総額は400万円を越えてしまうかもしれません。
ユニットバスは既存のものを交換せずにそのまま再利用したことを考えるとよくもまあこんなに使ったものだなとあきれる気持ちにすらなります。
間取りはこんな感じで広さはおよそ30平米。
以下、邑口京一郎さん撮影の写真で完成当時の室内の様子をごらんいただきましょう。いつもどおり、番号が付されている写真は末尾の間取り図で撮影位置を確認できますのであわせてご参照ください。
■洗面、トイレ、ユニットバスはいつもどおりの予算で
まずは玄関から。ポストにはアクセントにスカイブルーを塗ってもらいました。
壁に設けられたニッチはリフォーム前からあったもの。僕が大家を引き継ぐずっと前に、浴室のドアを通らない浴槽をなんとか浴室内に入れるために壁に穴を開けたことがあったそうで、その穴を流用してニッチを造ったんだと聞いています。
この部屋を手がけたころはまだ僕がタイルDIYにはまる前だったので土間はモルタルで仕上げてもらっています。
洗面です。洗面ボウルはサンワカンパニーの「テオレマ40」。ミラーキャビネットは同じくサンワカンパニーの「SUSメタ 400」。どちらも現在も販売されている定番です。
鏡下のニッチは工事で新たに設けたもの。ここも今なら絶対にタイルを張ったなと思わせられますね。
この洗面の右手にはトイレのドア。
開いたドアが向かいの壁に当たらないように折れ戸を採用しました。
トイレと反対には既存のユニットバスを残した浴室。当時は設置からまだ数年だったので交換せずにそのまま残しました。
ここまではほぼいつもどおりの予算で工事しました。
■お金を使いすぎたポイント(1):システムキッチン
この部屋のハイライトがシステムキッチンです。
リクシル(Lixil)のアレスタ(ALESTA)シリーズです。
リビングに面したシンクの背後にはカウンターを立ち上げました。
カウンターの前には、キッチンとリビングを仕切る引戸が設置されていて、
開いた状態でカウンターとして使うもよし、引戸を閉じてクローズドなキッチンとして使うこともできます。
このアレスタというキッチンシリーズは一般的に分譲マンションなどで採用されるグレードのキッチンで、賃貸に設置されることはまれ。静かに閉まる収納ドアをはじめ、使い勝手もよいのですが「255,000円」と高額でした。設置費抜きでこの価格ですから、お金の使い過ぎは否めません。
■お金を使いすぎたポイント(2):ベランダにサンルーム
キッチンからりリビングを臨みます。
ガラス窓の向こうのベランダにはサンルームがあり、洗濯機置き場が設けられています。
これは今回の退去後にアサクラが撮影した写真。
うちのマンションではリフォームのたびにキッチンの片隅に洗濯機置き場を設けているのですが、この部屋ではあえて洗濯機置き場をベランダ置きにして、サンルームで覆ってみたのです。
当然ながらベランダにサンルームを造るにはすごく費用がかかりました。今思えば、そこまでしてサンルームを設置する必要があったとは思えないのですが、当時は自分なりにいろいろと悩んだ結果でした。このへんの事情については次回に詳しく。
■お金を使いすぎたポイント(3):フローリング
リビングから寝室を向いたところ。インテリアのポイントはチェリー系の木目で白い壁をサンドしたデザイン。
いつもは木目調のフロアタイルなどを選ぶのですが、ちょうど同じころに実家のリノベーションで採用した合板フローリングが気に入ったので、調子に乗って賃貸にも採用してみました。
無垢の木材ではありませんが本物の木ですから木目がとてもきれいです。無垢とくらべると傷もつきにくくメンテナンスもしやすいので賃貸でも安心なのですが、当初予定していた床材(フロアタイル)の見積もりの倍近くの費用がかかってしまいました……。
ちなみに、天井にはフローリングの色にあわせて木目クロス(東リ)を張ってもらいました。床材と壁紙のサンプルをつきあわせて色味をそろえようと苦心して選んだのを思い出します。
寝室からリビングを眺めました。丸型のシーリングライトには壁紙に近い色の木枠が付いたものを選びましたが、今見るともうちょっとデザイン的に洗練されたものを選びたいなと感じます。
なお、照明スイッチはすべて神保電器(jimbo)のNKスイッチシリーズで統一しました。これも地味に費用がかさみましたが、デザイン的には申し分ありません。
ごらんのとおり、めざしたのは落ち着いた雰囲気でちょっぴり高級感のある内装でした。いざ工事を終えて感じたのは、こういう方向性は古い設備を残しづらくてとにかくお金がかかるということ。
お家賃としては工事前の9万円から12万円までアップしたのでたしかに効果はあったのですが、最近はもっとおさえた工事費用で同じく家賃3万円アップを実現することができていると考えると費用対効果は決して高いとはいえないのです。
にしても、なぜこんなにも散財してしまったのか。次回は、もう少し突っ込んでお金の使い過ぎにいたった経緯をまとめます。