(7)古本屋さんを呼ぶ
時はさかのぼって、2017年の春。
山小屋のリノベーションを決意し、書庫とは名ばかりの物置を片付け始めました。
終わったのは同年の晩秋。
学んだのは「考えこまないで始めるのが大事」ということ。
あまりに大量のガラクタを目の前にすると「どれくらい時間がかかるか」とか「効率のいい片付け方はないか」とか「何を捨てて何を残すか」とか「骨董屋を呼ぶかオークションサイトに出品するべきか」とか考えだしてしまい、憂鬱な気分になるのがオチ。
準備が整ったらやろう、タイミングがいいときに始めよう、などと思っているうちに時間ばかりが経っていきます。
とにもかくにも始めてしまうことが肝心なのです。
とはいえ、背中を押すきっかけがあるとありがたいのも事実。
僕の場合、山小屋のお向かいに住む老婦人(祖母の古くからの知人)が古本屋さんを紹介してくれました。
婦人の娘さん(僕も小さい頃から知っている)の旦那さんが古本屋さんだというのです。
聞けば、以前から書庫の前を通るたびに窓から見える本の山が気になっていたんだとか。
まさに渡りに船。
早速、見に来てもらいましたが、書庫のなかを見て、さすがの古本屋さんも驚いた様子でした。
これだけパンパンに本が詰まっているのを見るのは珍しいそうです。
とりあえず乗ってきた軽自動車に積めるだけ積んでもらったものの、ほとんど減った印象がなく、玄関付近にようやく立てる場所ができたていど。
「これは、先が見えないですね」と苦笑いしつつ「次回はバイトを連れてライトバンと2台で来ます」と言い残して帰って行きました。
半月後、宣言どおり2台でやって来て、一日で2往復もしてくれました。
それでもようやく半分が処分できたくらい。
結局、その後も2回来てもらい、運び終わるまでに計5往復してもらうことになりました。
こう書いてしまうと、文字の上ではかんたんに終わってしまいますが、運び出し~積み込みの作業は、傍から見ていてかなりのハードワークでした。
僕自身も、搬出のたびに古本屋さんとスケジュールをすりあわせ、マンションの仕事の合間をぬっては山の家に向かいます。
本が運び出されてカラになった本棚が出ると、それを運び出して粗大ごみに出す手配をしなければなりません。
サイズを測って、電話で申請し、専用のシールを購入しに行って……こうした作業もいちいち面倒でした。
古本が運びされ、骨董の入った段ボールなどが残った状態。
このあたりまでくると終わりが見え、心に余裕も出てきます。
古道具を眺めるとアイデアも湧いてきました。
祖母が使っていたミシン台を洗面台に使ってみようとか、
レトロなデザインの本棚を再利用してみようとか。
こんなふうにリノベーション後の姿を夢想するのは楽しいものです。
気になる品物は残して、残りの骨董は処分します。
幸い、古本屋さんが懇意にしている骨董屋さんを紹介してくれ、タダでも持って行けないという一部のガラクタをのぞき、大半は買い取ってもらいました。
こうして室内はほぼカラになり、ようやく出発点にたどりつきました。
気になる買取り価格については、また次回。