(551)目地幅を調整しつつサブウェイタイルの割り付けを考える
前回、サブウェイタイルの選び方や張り方についてお話しました。
今回は「施工する場所にいかにきれいにタイルを収めるか」について考えます。
■サブウェイタイルの目地幅は自分で決めねばならない
僕が選んだのはサンワカンパニーの「ビセル」というタイルでした。
サイズは「タテ7.5cm×ヨコ15cm」。
一方、張り付ける壁のサイズは「タテ202cm×ヨコ313cm」。
小粒のモザイクタイルならともかく、これだけ大きいタイルを壁一面に張るとなると、事前にタイルの収まり=割り付けについてしっかり考えないと大失敗する怖れがあります。
その際に重要になってくるのが目地幅のサイズです。
複数のタイルがネットや紙で一体になっているモザイクタイルとは異なり、サブウェイタイルは一枚一枚張り付けていかねばなりません。
ということは、目地幅についても自分で決定しなければならないのです。
■バスケット張り固有の目地の問題
前回、僕がえらんだ張り方は「バスケット張り」でしたが、ここでひとつ問題があります。
こうやってざっくりならべたときは気にならなかったのですが、きちんと目地を取ろうとすると、
このように目地幅がアンバランスになってしまうのです。
先ほども書いたとおり、タイルのサイズは「タテ7.5cm×ヨコ15cm」でヨコがタテのぴったり2倍なので、
タテに2枚ならんだときとヨコに2枚ならんだときでは、タテ向きにならんだタイルの目地の分だけズレが生じてしまうというわけです。
あちこち目地が太くなったり細くなったりではきれいに見えないので、同じ方向にならぶ2枚の間には目地幅を取らないことにしました。
言葉で説明するとわかりづらいですが、こういうこと。
2枚1組で正方形ととらえて、ならべていくイメージです。
結果的には、タイルにテーパーがかかっていることもあって目地幅を取らなかった部分にも細い目地を入れることができ、きちんとバスケット模様ができました。
■目地幅は収まりから逆算して5mmに決めた
では、壁に対して何枚のタイルが必要かを考えていきますが、ポイントになるのが目地幅をどれくらい取るかです。
タイル本体のサイズに加え、目地幅込みで計算しなければ正確な収まりはわかりません。
採用したビセルの公式ページでは「目地幅:3mm以上」が推奨されていましたので、ひとまず3mmで考えてみると、
タイル1組2枚で「150mm×150mm」で、目地幅の「3mm」が加わるので、「153mm×153mm」となります。これがいわゆる目地込みの寸法というやつです。
これがこの壁にどう収まるかを考えればいいことになります。
まず、壁の高さ「2020mm」を「153mm」で割ると、13組のタイルが収まって「約3cm」のスキマが残る計算になります。悪くないですね。一方、壁の横幅「3130mm」を「153mm」で割ると、20組のタイルが収まったあとに「約7cm」のスキマが残ってしまいます。
ここまでスキマができると、タイルをカットして埋めなければなりません。が、それはしたくない。
そこで、目地幅を増やして再調整してみることにします。
目地幅5mmではどうでしょうか?
目地込み寸法は「155mm×155mm」。
壁の高さ「2020mm」に対して13組が収まったあと「5mm」のスキマが残る計算になります。ほぼぴったりです。
他方、壁の横幅「3130mm」を「155mm」で割ると、20組のタイルが収まって「3cm」のスキマが残る計算。これくらいの余白なら許容範囲かな。
もう少し目地幅を増やせば横幅のスキマはもっと狭くできますが、そうすると縦方向の収まりがつかなくなるので「目地幅5mm」で決定することにしました。
サブウェイタイルは大判なので8mmから10mmくらいまでなら太めの目地として成立するので、この目地幅を調整することでスキマを残りにくくするのがDIYでは大事になってくると感じました。なお、目地幅や周囲のスキマもデザインの一部だとこだわるのであれば、半端なスキマはタイルカットで埋める覚悟をしてください。
■実際にならべてみて収まりを確認する
とまあ、こんな具合に計算機片手にあれやこれや考えてみたのですが、机上ですべて決めるのも不安なので、実際に床にならべて再確認してみることにしました。
目地は5mm取って、
13組のタイルをタテにならべました。高さに対する収まりはほぼぴったりでシビアだったので、目地幅は4mmと5mmの間くらいの感覚でならべたところ、
想定した2015mmより気持ち短い2050mmとなり、無事に「2020mm」に収まる見込みがつきました。ギリギリを攻めて最後に収まらないよりも、ややスキマが残るほうが安全かなと感じました。
なお、横幅についてはスキマが広いので多少の誤差が出ても問題ありませんから、実物をならべて確認する手間は省きました。
あらためて枚数を確認しましょう。
必要なタイルの枚数は高さに対して13組、横幅に対して20組となります。
1組2枚の計算ですから、13×20×2=「合計520枚」のタイルが必要だと確定しました。
「ビセル」は1ケースあたり「88枚入り」なので、6ケースで「528枚」あれば無事に足りることになります。まちがいがなくてよかった。
ちなみに、「ビセル」は1ケース88枚でおよそ1平米を施工できる計算なので、
採寸のみにもとづく施工面積でいえば6.3平米だと足りないのですが、タイルの並べ方やスキマの設け方次第で必要な数も変わってしまうので、やっぱり事前に入念な数拾いをやっておくのが大事だと実感しました。
次回は、タイルを接着する際の下地について考えます。