(601)クッションフロアにフロアタイルを重ね張りして感じたこと
前回、リフォームが完了した自宅をごらんいただきました。
今回から室内の詳細についてあれこれ書いていきたいと思います。初回は床に張ったフロアタイル(コンポジションタイル)についてです。
■エンボス加工のクッションフロアはとにかく汚れが溜まるので心から後悔している
10年前、自宅をリフォームしたときにキッチンをはじめとする水回りの床に選んだのはクッションフロアでした。
クッションフロアというと表面がツルツルテカテカして安っぽい素材感のものが多く、賃貸の部屋では一度も使ったことがないのですが、このとき選んだものはエンボス加工が施されていて、その模様と質感が気に入ったのです。
ところがこれが大失敗でした。
ちょっと油断するとエンボスの溝にすぐ汚れが溜まってしまうのです。
溝に入り込んだ汚れは雑巾がけくらいではなかなか落ちません。
そのうち、まるでエンボス部分だけが塗装したように黒ずんでいきます。
これをきれいにするには歯ブラシを使って掃除するしかないのですが、とにかく大変な作業。
なんとか汚れは落ちるのですが、水回りの床全面をきれいにすると腰も腕も痛くなってしまいます。そうそう頻繁に掃除できるわけもなく、やがてコロナ禍で来客がなくなると重い腰を上げて掃除することもなくなり、ついにはひどいありさまになってしまいました。
これはもっとも汚かったとき。写真で見てもこれですから現物は言わずもがな。床がこんなに汚いなら他を掃除してもなあ……そんなふうに感じてしまい、キッチンが散らかる元凶ともなっていました。
■リフォームにはコンポジションタイルの「マチコV」を選んだ
そんな状態に耐えきれなくなり、床のリフォームを思い立ったのは2023年の秋のこと。実際に施工したのが24年の秋ですからなんと一年もダラダラしていたことになります。
それにはいくつか理由がありまして。
ひとつは我が家のキッチンが脚付きタイプの業務用キッチンであったこと。
もしこんな感じで床から立ち上がっているキッチンならば張り替えはしやすいのですが、脚の下まで床が続くキッチンだと床の張り替えは容易ではなく、ためらわざるをえなかったのです。
不幸中の幸いは業務用キッチンの脚はアジャスターのように回転させて高さを調整できる仕組みになっていたこと。床張りをする際に一時的に脚を短くして作業すれば、キッチンそのものを移動しなくてもなんとか張り替えられると思いついたことで工事へのモチベーションはぐっと上がりました。
床材に選んだのは東リのコンポジションタイル「マチコV」。
コンポジションタイルはいわゆる「フロアタイル」の一種ですが、多層的な構造ではなく均質的な単層構造になっているのが特徴のシンプルな床材です。詳しくは以前の記事をどうぞ。
中でもおすすめなのが東リの「マチコV」。賃貸で採用した際には「床材最安値」ともいえる価格に驚きました。
物価が高騰しまくっている2025年時点でも実売価格は平米単価約1,200円。
数年前に職人さんに施工してもらったときは平米単価で4,500円でしたから、安心して採用できる素材。昔設計事務所で働いていた方によれば「困ったときはマチコV!」だったとのこと。
リーズナブルなのに仕上がりは安っぽさを感じさせないのが素晴らしいんですよね。
カラーバリエーションが豊富なのもありがたく、我が家に合いそうな色をピックアップしただけでもこんな具合で、どの色を選ぶかかなり迷いました。
クリーム色を選べばこれまでと変わらない印象の床にできるでしょうし、色を変えるにしてもブラウン系の落ち着いた色味を選べば大失敗はしなさそうです。
ただ、冒険するなら「赤みがかったオレンジ」や「クリーミーなイエロー」、「オリーブグリーン」あたりを試してみてもいいなと思い、妻にも相談してみたところ、
ということで、背中を押される気持ちになり、我が家のテーマカラーに近いMV86(Red orange)に決めました。
かなり攻めたチョイスなので張る前は心配でしたが、賃貸の部屋とちがって自宅なので失敗してもまた張り直せばいいかな、と。
■重ね張りは耐久性に不安が残るが、作業はラク
施工の詳細については次回に譲りますが、思ったよりも作業は容易でした。
というのも、既存のクッションフロアをはがさずに、その上から重ね張りしたからです。
もちろん、床材を張り替えるときは既存の床材をはがすのが基本であることは僕も承知しています。洗面の床にモザイクタイルを張ったときは、ちゃんとはがして合板の下地に戻してからタイルを張りました。
でも、今回は施工範囲が広いうえに、キッチンや冷蔵庫を置いたままで作業したかったので、はがせない場所も出てきてしまいます。そんなわけで、表面をふいてから重ね張りしたのです。
下地に直接張るよりも強度的に劣るのはまちがいないのですが、この手の接着剤はそれなりに強力なのでそうそう簡単にははがれないのも事実。重ね張りしてから3カ月余りが経ちましたが、今のところはがれそうな気配はまったくありません。
ご注意いただきたいのは既存のドアとの絡み。我が家で唯一のドアはトイレのドアなのですが、幸い床とのスキマには余裕があり、厚さ2ミリのマチコVを重ね張りしたあとも問題なく開閉できていますが、このスキマがタイトだと重ね張りのあとにドアが開かなくなってしまうこともあるので要注意です。
予想外だったのがうっすら下地の模様が透けてくること。
冒頭にも書いたとおり、もともとの床にはエンボスで模様が施されていたのですが、上からコンポジションタイルを張ってみると、うっすらその模様が見えてしまうのです。コンポジションタイルって硬いように思えるけど下地の不陸をしっかり拾うんですね。
本当に「うっすら」ですから僕自身は気にしていないのですが、イヤな人にとってはイヤかもしれません。こういう細かいところにこだわるならば、横着はせずにしっかり床材をはがして調整してから施工せよ、ということになると思います。
個人的に仕上がりには大満足。
かなり攻めた色選びをしましたが、全体的に見るとエグイ感じにもならず愛らしさを感じる仕上がりになったと自負しています。
次回はタイルの数拾いから接着までDIYの一部始終をリポートします。