(606)キッチンの壁にステンレス板を張ってもらった
引き続き自宅のキッチンの話。
今回はガスコンロのわきに張った鉄板をご紹介します。
業者さんにステンレスの板を張り付けてもらいました。設置にいたるまでの経緯から、工事当日の様子、かかった費用までをまとめます。
■水回りにマグネットが効く壁があると便利
初めて鉄板を導入したのは山小屋の母屋でした。
場所は洗濯機の隣の壁。お風呂の脱衣所も兼ねていますが、棚などの収納を置くスペースはなく壁面を活用するしかありませんでした。
そこで「幅92センチ×高さ182センチ」の鉄板を壁に張り付けてもらったのです。
鉄板にはマグネットが効くので、
こんな具合にマグネット収納を駆使してさまざまなものが収納できて大変便利です。ビスで留める棚やフックなどとちがい、マグネットだとその時々で配置を自由に変えられるので移り気な自分には合っています。
かかった費用は設置費用も込みで「15,000円(税抜き)」。収納力が上がって便利になったことを考えると安いくらいの価格でした。
この鉄板について詳しくは過去の記事をどうぞ。
これに味をしめて、熱海のマンションをリフォームしたときにもキッチンに鉄板を設置しました。
張り付けたのはガスコンロわきの壁。
マグネットフックでエプロンや鍋敷きなどを引っかけています。
こちらの設置にかかった費用は「8,000円(税抜き)」とリーズナブルだったのですが、厚さが薄すぎたのか材質の問題か、マグネットの効きがいまひとつ。あまり重いものをかけることができないのが難点でした。
実は、山小屋とはお願いした業者さんが異なり、ひとことで「鉄板」と言っても、厚みや材質はさまざまなのだと知りました。
■入居者さんの部屋にステンレス板を設置した
さて、自宅のキッチンに鉄板を張ったのは、実は入居者さんがお住まいの部屋で工事するついででした。
熱海のマンションに泊まった入居者さんが「自分の部屋の壁にも鉄板が張ってあると便利かも」とおっしゃっていたのを耳にしたので、お客様へのサービスになるならと二つ返事でOK。業者さんとお部屋に下見に伺いました。
こちらの壁に張りたいとのご希望でした。たしかに、ここにいろいろ吊るせると便利になりそう。
ところが、ここに合う鉄板を探すのが意外に難航しました。
入居者さんの話では熱海と同じような色味の鉄板がよいそうなのですが、同じものでは磁力がいまひとつ。一方、山小屋の脱衣所に張った鉄板には磁力がしっかり効きますが、ブラックでは業務用キッチンのシルバーとホワイトを基調にしたキッチンにはどうもマッチしません。
そこで、ステンレスならインテリアにもマッチするのではないか?という話になったのですが、ステンレスも種類によって磁力が効かないものがあるんだそうです。手元にステンレスの棚があったのでマグネットフックを近づけてみましたが、
磁力が発揮されずくっつきませんでした。
聞けば、SUS304という種類のステンレスには磁力が効かないんだとか。ステンレスにこんな区別があるなんて初めて知りました。それに、仮に磁力が効くとしても、どのていどの厚みがあれば望むような磁力が発揮されるのかも判断が難しく……。
そもそも、世田谷でお世話になっている業者さんは、主にノーマルな住宅やマンションのリフォームを手がけているので、室内に鉄板を張るなんて工事はまずやりません。そんななかで「マグネットがしっかり効く厚みのステンレス板」を調べて手配してもらうのはなかなかの骨折りだったようで、申し訳ないことをしました。
鉄板を扱う専門業者さんに問い合わせてもらったりした結果、厚さ1.5ミリのSUS430(という種類のステンレス)の板ならば問題ないだろうという結論にいたり、ようやく工事とあいなりました。
施工後のキッチンです。
給湯器のパネルもうまく避けられるように加工してもらい、壁の端まできれいに収まりました。後述しますが、磁力についても申し分なく、入居者さんにも喜んでいただけたので工事したかいがありました。
■強力マグネットを組み合わせればフライパンだって吊るせる
で、同じタイミングで僕の自宅にも工事をしてもらいました。
施工前の自宅のキッチンです。
強火力の業務用ガスコンロを使っているので、周囲を防熱板で囲っているのは以前も書いたとおり。
おかげで安心感はあるのですが、
フライパンと周囲の防熱板の距離が近すぎて鍋を振りづらいという難点がありました。壁にステンレスを張れば防熱効果を得ながら、調理もしやすくなることでしょう。設置イメージはこんな感じ。
このリクエストを伝えたところ、キッチンの壁の高さが約1200ミリだったので「1219ミリ×1219ミリ」(4尺×4尺)のステンレス板を加工してもらうことになりました。
工事当日、鉄板が運び込まれました。1.5ミリというとそんなに厚くないかと思っていたのですが、重さは相当なもの。非力な僕だと持ち上げるのも大変な重さでした。
壁に両面テープを貼ってコーキング材を塗って接着します。
接着の瞬間。ここでズレたら大惨事なので現場にも緊張感が漂います。
さすがプロ、ピタッと収まりました。
念のため上部の2か所をビス留めしてもらって完成。新品のステンレスはピカピカでまるで鏡のようです。
かかった時間はおよそ2時間ほどだったと記憶しています。
マグネットフックもビタッとくっつきました。磁力の効きについては申し分ありません。当初はミトンくらい引っかけられればいいと思っていたのですが、これなら強力タイプのマグネットフックを使ってフライパンも吊るせるのでは?と思いつき、こんなものを買ってみました。
コクヨ(KOKUYO)の超強力マグネットフック「タフピタ」です。
耐荷重5キロのタイプを選びましたが、10キロのタイプもあります。カラーバリエーションも豊富ですが、インテリアに合わせてオレンジをチョイスしました。
超強力を謳うだけあってすごい磁力。一度くっつけたらズラすことすらできません。外すときは本体上部のレバーを引く仕組みです。
卵焼き用の小さなフライパンはもちろん、
大きめのずっしりとしたフライパンを吊るしてもビクともしません。厚めのステンレス板とタフピタの組み合わせ、素晴らしいです。
一度は撤去した防熱板もマグネットフックでステンレス板に再設置することができました。二重になったので防熱効果も増して安心です。
■予想以上にコストがかさんだのがデメリット
さて、最後に気になる費用の話。見積もりはというと…
鉄板本体の価格が「24,000円」、加工と運搬の費用が「25,000円」、取り付け費用が「12,000円」で、合計「61,000円(税抜き)」。これが1部屋分なのでかかった工事費用は倍になります。
う~ん、事前に予想した以上に高額になった印象は否めません。冒頭にご紹介した山小屋の事例(15,000円)や熱海の事例(8,000円)とくらべると価格がグンと上がったせいもあります。
前々回も書きましたが、近年、業務用キッチンも値上がりしていて、その背景には金属の価格高騰がありますから、今回のステンレス板が高額になったのも致し方ないのでしょう。
そもそも入居者さんとお約束してしまった手前「見積もり取ったら高いからやめます」と言うわけにもいかなかったのですが、こんなにかかると知ってたら工事の検討にはもう少し慎重になったかもしれません。まあ、入居者さんがすごく喜んでくれたのが救いです。
僕自身、ただの壁が収納スペースになって便利になったのは実感していますし、見た目的にも業務用キッチンとの組み合わせには大変満足しています。こだわりのキッチンを作りたいという人なら選択肢のひとつとして考慮する価値はあると思います。