(611)石膏ボードにビスを効かせる2種類の方法をDIYで試す

前回、DIYで壁にビスを打つための下地の確認方法などについてお話しました。
(610)ビスを使って壁に収納を設置するために下地を確認する
この中でもご説明しましたが、一般的に壁はこんな構造になっています。

下地となる柱の上に石膏ボードが張られているのですが、表面の石膏ボードにはビスは効かないので下地に柱がある箇所を選んでビス打ちをおこなわなければならないのです。
でも、時には下地がなくて石膏ボードのみの場所にビスを打ちたいときだってありますよね。
今回は本来ならばビスが効かない石膏ボードにビスを打つための2つの方法をご紹介します。あらかじめお断りしておきますが、どちらの方法も、軽量で落下してもケガを負うリスクのないものを取り付けるという限定的な条件でのみ有効だとお考えください。重量のある棚の設置や頭上への設置については、安全を考えてプロにお願いすることをおすすめします。
■石膏ボードに「スピード・ミニ10」を使ってビスを打つ
前回、キッチンの壁にキッチンレールを取り付けました。

壁の左(青で示した部分)はコンクリート、右(赤で示した部分)は石膏ボード。ボードの両端(の白で囲った部分)には柱が入っていたので、右の柱を狙ってビスを留めました。

続いて、この上にアルミのシェルフを設置するのですが、2つのビス穴のうち右側は下地に柱がない石膏ボードだけの壁に当たってしまうのです。収まりを考えると設置位置をずらすわけにもいかず、なんとかここにビスで留めたいと引っ張りだしてきたのが「スピード・ミニ10」です。

以前、砂壁にフックを取り付ける際にも使いましたが、
「固めて強化。石膏ボードにネジが効く」と謳っているとおり、もともとは石膏ボードにビスを効かせるための商品なのです。
詳しい使い方については以前、「ESSE online」でも記事を書きました。
【ESSE online】石こうボードの壁にフックを取りつけるDIY。スピードミニ10の実力は?
仕組みをざっと説明すると、

石膏ボードに穴を開けてスポンジを押し込み、そこに専用の液を浸透させて固め、ビスが効く下地を造るのです。
実際の手順をごらんください。

マスキングテープで養生してから石膏ボードに下穴を開け、

それをドライバーなどで1センチほどに広げ、

楊枝などを使って穴の中に付属のスポンジを押し込んでから、

専用の液体を注入し、十分に浸み込ませます。

30分ほど待って、このスポンジがコチコチに固まったことを確認したら、

飛び出た部分をカッターで切り落とします。

壁の表面が少々はがれてしまいましたが、しっかりと硬化しました。

ビスをもんでみるとまるで木材に打っているかのような手ごたえが感じられます。

ガッチリと固定することができました。

シェルフにさまざまな物を置いてもビクともしません。このていどの小さな棚なら問題なく固定できる強度が得られる方法だと実感しました。
ただ、この「スピード・ミニ10」の欠点は、作業に時間がかかることと、スポンジにうまく液を染み込ませることができないと期待したような強度が得られにくいところ。丁寧に作業できる方におすすめの方法です。
■石膏ボードにアンカーを使ってビスを打つ
もう少し手軽に石膏ボードにビスを打ちたいのならばアンカーを使うのがラクでしょう。

というか、ふつう「石膏ボードにビスを打つ」となったら、真っ先に選択肢に上がるのがアンカーだと言えます。

先ほどシェルフを設置した壁の右側の空きスペースに、今度は小型のステンレスシェルフを設置します。

ごらんのとおり、2か所のビス穴で固定するのですが、

前回ご紹介した下地センサーで確認したところ、左のビス穴に当たる部分には下地がないとわかりました。

そこで、シェルフに付属していたアンカーを使うことにしました。商品に付属のアンカーは長さや径がネジと合っているので失敗しにくいというメリットがあります。新規にアンカーを購入するならばサイズの確認にはご注意ください。
基本的なやり方は前回コンクリートにアンカーを入れたときと同じ。

下穴を開けて、

ドライバーで少しずつ穴を広げて、

中にアンカーを押し込みます。

これで準備完了。先ほどの「スピード・ミニ10」にくらべると圧倒的に短時間で作業できるのが利点です。

この穴にビスを打てばちゃんと手ごたえを感じられるはずです。

ごらんのとおり無事に固定することができました。
説明すると簡単ですが、コツをつかめないと失敗することもよくあります。
ありがちなのが下穴が大きすぎてアンカーがグラついたり、穴を通り抜けて壁の向こう側に落っこちてしまったりする失敗です。一度アンカーよりも大きな穴を開けてしまったら、もう埋め戻すことはできませんから要注意。
アンカーの直径よりも多少小さめに穴を開けるようこころがけましょう。

左がアンカーで、右が穴を開けるときに使ったドライバー。アンカーのほうがやや太いのがおわかりになるはずです。
ただし、穴が狭いとアンカーを押し入れるのはちょっと大変。先端を差し込んでからハンマーなどで打ち込んで埋め込むと、しっかりとアンカーが入り込んで失敗しづらいと思います。
今回はシェルフに付属のアンカーを使うことができましたが、アンカーを選ばなければならないとなると、

種類が豊富すぎて、どのタイプのどの長さを選んだらいいのか、迷ってしまうかもしれません。
僕もこのへんには詳しくないので個人的な感想になりますが、「石膏ボード専用」を名乗るゴッツいスクリュー型のアンカーよりも、細い筒状のタイプのほうが使いやすいと感じています。たとえば、ポピュラーなところではこれとかでしょうか。
アンカーといえば「フィッシャー」的な安心感がありますし、割高ですがちょっと使いなら6本で十分だと思います。
まあ、どのアンカーを選ぶにせよ、大事なのはアンカーのサイズとビスの長さや太さをきちんと合わせること。サイズが合わなければ、ビスが空回りしたりキツくて入らなかったりします。 アンカーのパッケージには対応するビスのサイズ表が記載されているので、それを参考にしながら合ったものを選んでください。

そんなこんなで、素人なりに試行錯誤してキッチンの壁にさまざまな収納を設置したのでした。冒頭にも申し上げたとおり、素人のDIYですから落下しても困らないものを自己責任で取り付けるていどにしておくのが無難である、と最後にあらためてお断りしておきたいと思います。