(83)ユカハリタイルとモザイクタイルを床に貼るための準備をする
今回から1階の床を貼っていきたいと思いますが、クリアしなければならない問題があります。
それは、玄関に土間(三和土)がないことです。
工事前の写真をごらんください。
この家はもともと書庫として建てられたためか、土足での使用を前提に設計されたようで靴を脱ぐ場所がありません。
掃除中は、泥を落とすための古布を置いていましたが、実際に宿泊するには土間のスペースが必要です。
土間以外の床を5~10センチほど上げるというのがノーマルな解決案でしょうが、そうなるとそのぶん天井が低くなってしまいます。
工事前の天井高はおよそ2.4メートル。
居室としてはノーマルな高さですが、ここから床を上げた分だけ圧迫感が増していきます。
もともと2階は屋根裏のように天井が低いことを考えても、ただでさえ狭っ苦しい六畳の空間で1階の天井高まで犠牲にしたくありません。
などなど考えた結果、既存の床の上に床材を直貼りすることに決め、一部だけ既存の床を残して土間として使ってもらうことにしました。
これは写真に書き込んだイメージ図。
赤ペンで書きこんだ部分にユカハリタイルを貼ります。
使用する床材は前にも紹介した「西粟倉森の学校」のユカハリタイル「コグチ」と、岐阜県多治見市のタイルショップ「作善堂」のボーダータイル「ボックス貼り」。
この2つをミックスで貼ります。
それぞれについては、過去の原稿をごらんください。
【第37回】「西粟倉森の学校」のユカハリタイル「コグチ」を選んだ理由
厚みはどちらも1センチに満たない厚さなので、天井高への影響はほぼないと言っていいでしょう。
「コグチ」のユカハリタイルを仮置きしてみると、こんな感じ。
この高さだと、土間からほこりやゴミが入ってきてしまうでしょうが、それはあきらめることにします。
土間との段差が低い分、階段下の収納スペースは床材を貼らなくても違和感なく仕上がりそうです。
緑の矢印で指した箇所が冷蔵庫などを直置きするスペース。
コグチタイルはそれなりにお値段が張る床材ですので、貼らずに済む場所は貼らずに節約できれば助かります。
では、実際に必要な床材の量を計算してみます。
ざっくりとした施工箇所はこんな感じ。
赤で示した箇所がコグチタイルです。
いちばん大きなスペースが「2×1.6メートル」、次に大きなスペースが「1.1×1.2メートル」。
階段下の小さなスペースは余りでカバーできると思います。
施工面積は合計で「4.5平米強」となります。
ちなみに、コグチタイルは1ケースでおよそ2.5平米の施工が可能。
2ケースあれば十分ですね。
詳しい商品情報はオンラインショップをごらんください。
「西粟倉森の学校」のオンラインショップでは定期的にセールが開催されていますので、そこを狙って1ケース「31,100円」で購入しました。
でもって、届いたのがこちら。
サンプルなどで質感は確認済みだったのですが、やはりシートで見ると印象が変わりますね。
特に驚いたのが、ケースを開けた瞬間に漂うヒノキならではの爽やかな香り。
以前、「日刊Sumai」の連載でも書きましたが、最近のフロアタイルは非常に質が高く、見た目的には本物と見まごうような質感を実現させています。
ですが、やはり匂いや手触り(足触り?)のような感覚に訴えかける面では本物の木材は別格だと感じました。
今回は施工面積が狭いのでなんとか実現できましたが、これ以上の面積では予算的にちょっと難しくなったことでしょう。
家が狭くてよかったと思うことにします。
お金がかかるといえば、洗面まわりのモザイクタイルもなかなかです。
こちらも施工面積を確認しましょう。
先ほどの図面で言うと、青の箇所。
まず、床部分が「0.8×1.6メートル」で「1.28平米」。
平面図にはありませんが、ここに壁部分も加わります。
ざっくり「1.3×1メートル」で「1.3平米」。
合計すると「2.58平米」となります。
一方、タイルはというと、1シートあたり「0.3×0.3メートル」(0.09平米)で890円。
美濃焼モザイクタイルシート 細ボーダー ボックス貼(裏ネット) TS-08-BOX
2.58平米÷0.09=28.66666…
最低でも29枚は必要でしょう。
今回は、洗面からややはみ出たかたちでモザイクタイルを貼るので、多少余裕を持って「+5枚」して34枚注文しました。
34枚で計「30,260円」。
うむ、こちらも良いですね。
このモザイクタイルとコグチタイルをミックスして貼るのが今回の肝。
両者のホームページから拝借した画像を合成して事前にイメージを作ってみました。
合成が稚拙なのを差し引いても面白く仕上がりそう。
次回はコグチタイルを床に貼りつけます。