(729)古い壁紙のリフォームは張り替えずに上から塗装する
築古マンションの原状回復やリフォームでよく話題にのぼるのが「壁紙どうするんだ問題」だと思います。
最初はきれいだった壁紙も、

経年変化で継ぎ目にスキマが生じてしまったり、

玄関やキッチンでは取りきれない傷や汚れが付いてしまったり、徐々にメンテナンスしにくくなってきます。

さらに、柄物となると小手先のタッチアップでは対応できないのが現実です。
以上の写真はリフォームから10年以上経った僕の実家で撮影したものですが、もしこれが賃貸の部屋だったら、新しい入居者さんを募集するには張り替えを検討しなければならないのかもしれません。
でも、うちの賃貸物件では壁紙の張り替えをおこなったことがありません。というのも、スキマが生じたり汚れてしまったりした古い壁紙はほぼすべて上から塗装で塗りつぶしてしまっているからです。
順を追って説明していきましょう。
僕が叔父からマンションの経営を引き継いだのは、今から10年以上前のこと。

当時の室内はというと、どこにでもある築古マンションの賃貸そのものの内装でした。

張られていたのは、こんな感じの控えめの凹凸がついたクリーム色のオーソドックスなもの。業者さんからカタログ渡されて「ここから選べば金額は変わりません」とか言われる類の壁紙ですね。
正直に言って、大家経験皆無だった当時の僕でも、この壁にはピンときませんでした。
いや、正確には、壁紙そのものが悪いのではありません。

そもそも、壁紙も木部も建具も色味がすべてバラバラなのが野暮ったく感じられたのです。
そこで、「ぜんぶペンキで真っ白に塗りつぶすことってできませんか?」と業者さんに相談してみました。
「塗装もできる」と言われたうえで業者さんから念を押されたのが、「傷みのひどい部分は壁紙は剥がしてから塗ることになりますし、新たに造作した壁などにはもともと壁紙がないので、すべて塗りつぶしても、表面の質感にはバラつきが出ることになりますよ」という点でした。
たしかに、壁紙には凹凸がありますが、パテでならした箇所は平坦になりますから、同じ色で塗っても、まったく同じ表情にはならないですよね。とはいえ、当時はいまひとつよくわからないまま、物は試しということでやってもらうことにしたのでした。

かくして塗装屋さんが入り、壁や天井はもちろん、古い建具や窓枠、押し入れの中など、塗れるところは全部真っ白に塗りつぶしてもらいました。

これは好みの問題かもしれませんが、こういうふうに真っ白に塗りつぶされているほうが、空間がスッキリと感じられました。壁紙の張り替えではなく、塗装を選んでよかったと直感しました。

近づいてよく見ると、もともとは壁紙だったことはわかりますが違和感はありません。
さて、事前に忠告された「質感のバラつき」についてはどうかと言いますと、

ごらんのとおり、壁紙が残った部分と壁紙のないフラットな部分が混在していますが、個人的にはまったく気になりません。むしろ、こういうラフな表情がインテリアに面白味を加えているように感じられ、好意的に感じたくらいです。
この仕上がりが気に入って、うちのマンションでは一貫して、古い部屋をリフォームするときには壁紙の張り替えはおこなわず(アクセントクロスは例外)、上からペンキで塗装するという方法を選択するようになりました。

たとえばこの部屋は、壁は塗装、天井を抜いて躯体あらわしにして塗装、古い建具も塗装、窓枠や欄間も塗装しています。

一方、こちらの部屋は天井やアクセントウォールに壁紙を取り入れつつ、壁や巾木はすべて白で塗りつぶしています。

塗装前の巾木はこんな感じで質感がガチャガチャして不安もありましたが、

ぜんぶ白で塗りつぶしてもらうとまったく気にならなくなりました。むしろ、さまざまな質感が混在している部分が「歴史のある古壁のような味わい」に見えてきたのです。
さらに。
これは後々実感することになったのですが、退去後に破れや汚れがあったら、DIYでタッチアップしやすいのも塗装仕上げのよいところなのです。

これは退去後の壁紙の破れ。入居者さんが引っ越しされる前に自分でボンドで貼り直してくれたようですが、ちょっと不格好な感は否めません。

こういうのは一度ベリッとはがしてしまい、

はがれかかったエッジをカッターで丁寧に切り落とし、

先ほどの壁紙を接着剤で貼り直します。

スキマにパテを盛って、

壁の色味に合わせたホワイトで、全体を塗りつぶしてしまいます。

これで、かなり目立たなくなりました。

離れて見ると、どこを直したかほとんどわからないくらい。これも全体をペンキ仕上げにしているからこそです。

先ほどもお見せしたとおり、もともとさまざまな質感が共存するラフな仕上がりの壁ですから、こういう修正跡も悪目立ちしないで済むというのもあります。

難点はペンキの調色に手間がかかるところ。
この教訓を活かして、次回のリフォーム(か原状回復)からは僕がふだん使っている塗料と同じ色味のホワイトで塗装してもらおうと考えています。

熱海の寝室の塗装にも使った「ノボクリーン」という白の塗料です。
こちらは業務用なので塗装屋さんにも情報共有しやすいかなと思っています。最近はラッキーなことに空室が出ない日々が続いていて試す機会に恵まれていませんが、次の退去の際には色を指定してリフォームしたいと思っています。

くたびれた壁紙のリフォームをお考えの方、張り替えという固定観念をいったん横に置いて、上から塗装してみてはいかがでしょうか?


















