(89)いろいろ考えた結果、祖母の桐箪笥を置くのを断念した
前々回は1階の床を仕上げましたが、今回からは2階の床材について書きます。
といっても、今回は床材を検討する手前までのプロセス。
まずは工事前の様子からどうぞ。
実は、2階の部屋についてはこの頃から考えていた計画がありました。
それが……
祖母の持っていた桐箪笥を収納として設置すること。
以前、骨董屋さんを呼んでガラクタを片付けたお話をしましたが、その写真の端にも写り込んでおりました。
骨董屋さんから聞いた話では、今や桐製のタンスはほとんど値がつかないんだそうで。
それなら、取って置いて完成後に収納として活用しようと考えました。
この山小屋は2階で寝ることを想定していますから、マットレスや寝袋などの寝具をしまう場所が必要なので、それに桐箪笥を使おうと思ったわけです。
計画当初のメモをごらんください。
箪笥には鉄脚をつけて少し高さを上げ、真ん中には高さをそろえたテーブルをDIYで作るつもりでした。
母屋で余ってたイスを好みの生地で張り替えて置き、仕事や創作などに集中できるスペースにしたいな、と。
しかし、計画を練っていくうち、ただでさえ狭いスペースを桐箪笥とテーブルとイスに費やしてしまっていいのだろうか、と思うようになりました。
2階の間取りをあらためて見てみましょう。
床面積は一階と同じく六畳ですが、階段の開口部があるので、さらに狭くなります。
五畳強といったところでしょうか。
もし、ここに桐箪笥とテーブルを置くと、こうなります。
図面で見ると大して狭くなっていないように見えるかもしれませんが、もともと天井が低い屋根裏のような造りの部屋なので、かなり狭く感じさせてしまう怖れがありました。
この空間にテーブルとイスというのはムリがあるのではなかろうか……。
桐箪笥を置くと、せっかくの壁紙が隠れてしまうのも難点でした。
第75回でも書きましたが、イギリスのコール&サン(Cole & Son)社の壁紙「ノーチラス(Nautilus)」は、いろいろと悩んで決めたもので、2階を象徴するようなインパクトのある柄です。
壁一面に貼られた壁紙が桐箪笥とイスで隠れてしまっては、せっかくの苦労が台無しになってしまうかもしれません。
しかも、桐箪笥を採寸した結果、
寝具を収納するには微妙なサイズだということがわかりました。
一段あたりの内寸は「幅86×奥行38.8×高さ20.5」(センチ)。
たとえば寝袋をまるめると直径がおよそ25センチなので、うまく収納することができません。
またマットレスについても、この容積にきれいに収まるものを探すのはかなり難しい印象でした。
桐箪笥はサイズも大きいので寝具ぐらいは簡単にしまえると思い込んでいましたが、どうやら考えが浅かったようです。
そんなわけで、残念ではありますが、桐箪笥(とテーブル&イス)はあきらめることにしました。
ちなみに、この桐箪笥、もったいないので僕の世田谷の部屋に持って行って、洋服を収納するのに使用することに。
いざ使うとなると、汚れや破損が目につくもので、
こんなふうに板にスキマが空いていると、ちょっと心配です。
ここには釘を打ち、
スキマを埋めました。
また、長い間、山小屋に放置されていたのでカビ臭さも気になりました。
中面は厚手のウェットシートで拭き、表面は乾いた布でしっかりと拭いた後、風通しのいい場所に置いて臭いを取りました。
段ごとに漢字が記してあるのも時代を感じますね。
自宅に設置した様子はこちら。
やっぱり2つをタテに積むと、箪笥らしい見え方になりますね。
以前、「日刊Sumai」の連載でも書きましたが、我が家はアンティークの引き戸を導入したりしているので、インテリア的にもマッチしました。
中には夫婦の洋服をしまっています。
元々の用途に沿った使い方を選んだせいか、収納力も申し分なく結果的にはすごく満足しています。
本題に戻りましょう。
桐箪笥をあきらめたおかげで、空間はゆったり確保できそうです。
ローテーブルを置き、床にゆったり座るスタイルを選ぶことにします。
さて、どんな床材を選ぶべきか。
次回は、床材を比較検討します。