(106)洗面のおしゃれ水栓が凍結したと勘違いして恥をかいた話

トラブルや失敗

まだ紅葉が残る12月の前半頃、山小屋は冬のお休みに入ります。

窓からの紅葉

今年の山じまいはちょっと早めの12月1日。

急に寒さが強まったこともあり、水道管の凍結が起きないうちに早めに冬支度をすることにしました。

冬の留守中に怖いのが水道管の凍結(とそれに伴う破裂)です。

近年は温暖化が進んでいるとはいえ、2017年から18年にかけての冬のような猛烈な寒さに襲われれば、水道管はひとたまりもありません。

水道管の凍結と破裂

以前、「日刊Sumai」の連載でも書きましたが、冬のあいだに凍結した母屋の水道管は春になって大開放状態で大変でした。

そのトラウマの記憶もあってか、今年の3月の山開きの際には洗面の水栓が凍結で故障したと勘違いしてしまったことがありました。

今回は、その際に初めて意識した「海外式の水栓の意外な特徴」について書きたいと思います。

まだまだ寒さの厳しい3月の中頃のことでした。

昨年リノベーションした山小屋が冬のうちにトラブルに巻き込まれていないか、心配で少し早めに山に向かったのです。

昨冬に閉めた水道の元栓を開けると、洗面の蛇口からドバドバと水が流れ出ます。

山じまいの水抜きの際にハンドルを開けたままにしたせいかと思いましたが、いくら閉めても水が止まりません。

水栓が止まらない
※後から撮り直したイメージ画像です

寒さで水栓が壊れた!

すっかりテンパってしまった僕は、ひとまず開けた元栓を閉め直し、失意のうちに帰宅しました。

後日、山小屋の水道工事を手がけてくれた水道屋さんに連絡を取って事情を話しました。

すると、「あのタイプの水栓は、おそらく壁を壊さないと修理できないだろう」という返事が。

壁を……壊す……?

あんなに苦労してタイルを貼った壁を!?

ショックで卒倒しそうになる自分を奮い立たせ、ひとまず業者さんと一緒に現場を確認してもらうことに。

まだ寒さも厳しい3月下旬、山小屋に水道屋さんがやってきてくれました。

とりあえず、元栓を閉めた状態で水栓を外してもらうことに。

やっぱり壁は壊さなければならないんだろうか……祈るような気持ちで見守っていたのですが、業者さんの様子がどうも変です。

「これ……壊れてませんね」

え?

「ちょっと元栓開けて確かめてみましょうか」

恐る恐る元栓を開けると、なんてこった、壊れて出っ放しのはずの水栓がちゃんと止まってます。

水栓が止まってる
※後から撮り直したイメージ画像です

いや、でも、こないだはたしかに水が止まらなかったはずなのに……。

「たぶん、こういうことですね」と水道屋さんが説明してくれたのをまとめると以下のとおり。

日本で一般的な水道のハンドルは、左のお湯も右の水も、左にひねると出て、右にひねると止まる仕組みになっています。

日本のハンドルの仕組み

ですが、この山小屋に導入したサンワカンパニーの水栓「ラベンナ」のハンドルは、中央の蛇口に向かってハンドルをひねると出て、外側にひねると止まる仕組み。

ラベンナのハンドルの仕組み

つまり、左のお湯ハンドルは右に、右の水ハンドルは左にひねると出る仕組みになっています。

テンパった僕は、この点にまったく意識が及びませんでした。

両方とも右にひねって止めようとしてしまったのです。

両方右だと水の栓が開栓に

「ラベンナ」のハンドルを左右とも右にひねると、左の水栓(お湯の栓)が開いている状態になります。

体に染みついた日本方式を無意識に試してしまったわけですが、これでは止まるわけもありません。

向きが逆かと思って試した記憶はあったのですが、左右とも左にひねってみたところで、

両方左だとお湯の栓が開栓に

今度は右の水栓が開いている状態になるので結果は同じで、水は出続けます。

一見すると、どちらにひねっても水が出ているように思えてしまうのです。

この事態を目の前にして、水栓が壊れて止まらなくなったと早合点してしまったわけです。

ぐぐっ……。

せっかくのタイルを壊さないで済んでよかったですね」

と水道屋さんは言ってくれましたが、壊れてもいない水栓のために山奥まで呼び出してしまった僕は平謝りするしかありませんでした。

落ち着いて使っているときには「ラベンナ」の使い方に戸惑うことはなかったのに、パニックになったせいで、とんだミステイクでした。

ほんと、恥ずかしい……。

後日、海外出張の多い妹に話すと、「言われてみると、海外のホテルではわりと見かけるね」と言われました。

サンワカンパニーの「ラベンナ」は見た目も海外おしゃれ水栓風ですが、中身もまさかの海外方式だったわけです。

洗練されていて素晴らしいデザインですが、日本式に慣れていると思わぬ落とし穴が待っていることもあるということでしょうか。

っていうか、僕の思慮が浅かっただけなのかもしれないけど……。

思えば、このパニックの心理的な背景には「山小屋の水抜きがしっかりできていたか不安」という気持ちがありました。

母屋と同じく、しっかり手順は踏んだものの、母屋にくらべて窓が大きくて室温が下がりやすく、床下も風が吹き抜ける作りになっている離れの小屋は水道管が凍結しやすいのではないか、と心配だったのです。

だったら対策すればいいのですが、昨年はリノベーションにかまけて、そこまで手が回らないまま年を越してしまいました。

二度とこんな失敗はすまいと、今年は冬を前に床下に水抜き用の水栓を新たに設置してもらうことにしました。

次回は、床下に設置した水抜き水栓と、山小屋の冬支度について書きます。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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