(112)アクセントウォールに貼る壁材を比較検討してみる【機能編】
引き続き山小屋のアクセントウォールに貼る壁材を、「見た目の存在感」「コストパフォーマンス」「DIY難度」の3点で比較検討していきます。
前々回は木材、前回はタイルを取り上げましたが、最終回となる今回は「機能編」と題して独自の機能を持つ壁材を検討したいと思います。
【ペグボード】
存在感 :★☆☆~★★★
コスパ :★★★
DIYの簡単さ:★★★
機能 :収納性に優れる
まずご紹介したいのがペグボード。
木材のボードに穴を開けてあるので有孔ボードとかパンチングボードとか呼ばれることもありますね。
特徴はなんといっても自由度の高い収納力。
この穴にさまざまなかたちのフックなどを引っかけることで壁一面を収納にすることができます。
フックを外して動かせば、ディスプレイは何度でも変更可能なのもうれしいです。
工房で工具をおしゃれに収納したり、キッチンで調理道具をならべたり、玄関でお気に入りのスニーカーを飾ったりするには最適です。
「見せる収納」ゆえに、ディスプレイの腕前次第で見た目のインパクトが大きく変わるのがポイントでしょう。
棚を置く場合と比べて省スペース化が期待できるというメリットもあります。
今回検討しているアクセントウォールの前には祖父が遺した本棚を置くつもりだったのでペグボードは不向きでしたが、収納力の高さが気に入り階段下の収納スペースに設置することにしました。
ペグボード用のフックもさまざまな形状のものが販売されているので、うまく工夫すればいろいろなものがコンパクトに収納できます。
コストパフォーマンスにも優れています。
シナやラワンのボード自体が安価なので、穴開け加工を施しても大した金額になりません。
僕が注文した業者さんでは、915ミリ×1,815ミリのサイズで「2,500円」でした。
平米単価に直すと「約1,500円」と激安です。
ただし、上記の価格に加工量と送料が加わります。
加工量は大したことありませんが、一枚板を配送するので送料はお高め。
ですから、最終的な合計金額は本体の倍くらいになることを想定しておいたほうがいいでしょう。
それでも、およそ5千円ほどですから、やはり安価なことに変わりはありません。
施工については後日詳しく紹介しますが、固定さえしっかりできれば、そんなに難しくありません。
【珪藻土】
存在感 :★★☆
コスパ :★★★
DIYの簡単さ:☆☆☆~★☆☆
機能 :調湿性に優れる
続いては珪藻土。
珪藻土の機能は調湿性です。
湿度が高いときは室内の湿気を吸収し、乾燥しているときは湿気を吐き出すことで、室内の湿度を調整する機能があります。
(といっても、空調機器のような劇的な効果はありませんのでご注意を)
すでに書いたとおり、山小屋の壁には珪藻土を多用しています。
もともとノーマークだった珪藻土を使おうと思ったきっかけは、うちの奥さんの仕事仲間が余った珪藻土を安く譲ってくれたこと。
約11平米分が「15,500円」だったところを、半額の「7,750円」でという話だったので、ありがたく8千円ちょっきりで譲ってもらいました。
平米単価にすると「1,400円」が「730円」になった計算。
よく考えて見ると、もともとの値段も高くないですし、かなり得をした感じがするのですが、問題はDIYで施工する際の手間ですね。
珪藻土は水を加えて専用の道具で練る必要があるため、準備だけでも一苦労。
いざ施工となっても、タイルのような出来合いのものを貼りつけるのとちがって、人間が手で表情をつけていくので施工する人間の技術と個性がダイレクトに出てしまいます。
以前書いたとおり、僕はワークショップに参加して珪藻土の塗り方を体験しましたが、目の前で先生がこともなげに塗っている様子と、自分の手で塗ったときの難しさとのギャップに驚きました。
ランダムに塗れば素人感は隠せなくもありませんが、もしクシ目をつけたいとか、扇形の模様をつけたいという具体的な希望があるなら、プロに任せたほうが安心かもしれません。
以前、「日刊Sumai」でカシワバラ・コーポレーションが提供する「WALL RENOVATION」というサービスを取材したことがあります。
専門の職人が壁一面(10平米ていどを想定)を左官で仕上げ、料金は「109,000円~」だそうです。
道具代などの抜きに、材料費を先ほどの「15,500円」くらいと仮定すると、差額は約10万円ほどになりますが、これが人件費でしょう。
よく珪藻土の壁は高いと言われますが、それは技術力のある職人さんを数日間拘束して壁を塗ってもらう人件費が圧倒的に大きいのだと思います。
実際に「WALL RENOVATION」のサンプルも拝見しましたが、素人の僕が塗った珪藻土とは雲泥の差でした。
左官は腕=価格の差がダイレクトに出るジャンルなのですね。
仕上がりにこだわらずDIYでやれば安く上がりますが、とにかく手間がかかります。
最近は、写真のような練り済みの珪藻土も販売されていて、こちらを使うと準備の手間が省けてラクですが、それでも下地の準備は必要ですから、気軽にとはまいりません。
それでも、ペンキ塗装や壁紙にくらべて独特の表情がある仕上がりが得られる点や、調湿機能がある点も含めると、壁材としてはおすすめです。
山小屋のケースで言えば、こういう感じの細かい箇所の施工が必要なところは、
珪藻土の施工がいちばん向いていると感じました。
もしこういう場所に木材やタイルを貼ったとしたら、加工にはけっこうな手間がかかったと思います。
【エコカラット(Lixil)】
存在感 :★★☆
コスパ :★★☆
DIYの簡単さ:★★☆
機能 :調湿性と有害物質の低減
Lixil(リクシル)のエコカラットも珪藻土と同じく調湿機能を持つ壁材で、臭いや有害な物質を低減する機能も持っています。
詳しくはオフィシャルホームページをごらんいただくとして簡単に説明すると「調湿機能のある素材を専用の型で成型し、石や木のような質感を持たせた壁材」です。
そのため、本物の石材や木材とくらべるとやや質感が単調に感じられるきらいがあるのですが、遠目から見ると十分見栄えがしますし、うまく光が当たると陰影が際立ち雰囲気も出ます。
デザインのバリエーションも豊富ですし、石や木にはない調湿機能が備わっていて、しかもメンテナンスもしやすいなど、非常に平均点の高い壁材だと感じました。
そのうえコストパフォーマンスにも優れています。
ショールームやカタログに記載されている平米単価はあくまで参考価格で、専門の通販業者などで購入すれば、かなり安価に手に入ります。
価格は業者によって異なりますが、僕が選んだ「ラフソーン」は、とある業者さんでは0.97平米が施工できる1ケースで「5,555円」(2020年1月時点)でした。
平米単価に直すと「約5,727円」。
前回、前々回とお読みいただければ、安価な部類に入ることがおわかりいただけると思います。
というわけで、いろいろと迷ったのですが、総合的に優れた「エコカラット」をアクセントウォールに選ぶことに決めた次第です。
次回は、エコカラット選びと購入までを解説いたします。