(168)山小屋に来たお客さんに好評だったインテリア「ベスト5」
「世田谷のマンションにお住いの入居者さんのための週末スモールハウス」としてリノベーションした山小屋ですが、今年はコロナ禍でほとんどお客さんを迎えることができておりません。
昨年は、いろいろと設備の手直しなどもあったため、親しい友人や一部の入居者さんを招いて試験的な運用にとどまりましたから、結局、いまだ本格的なオープンにたどりついていないことになります。
とはいえ、プレオープン中に宿泊した方々からいろいろな意見や感想を聞けたのはすごく参考になりました。
洗面に設置したアメリカンタイプのコンセントにドライヤーのプラグがうまく挿さらないことに気づいたのはモニター宿泊してくれた仲の良い入居者さんでしたし、窓にロールカーテンを設置しようと決めたのも宿泊してくれた人たちの意見があったからでした。
「ここが良かった」という前向きな感想が聞けたのもうれしかったです。
今回は、山小屋に遊びに来てくれたみなさんから好評だったインテリアのベスト5(あくまで印象)をお届けしようと思います。
■第5位:ミシン台の洗面
祖母のミシン台を流用した洗面台は、女性を中心に好評でした。
ミシン台を流用するアイデア自体はもはや手垢のついた感はありますが、祖母の遺品というあたりに物語を感じてもらえるのかもしれません。
ミシン台のように別の用途のものを洗面に流用する際のポイントは、洗面ボウル選びや高さの確認などを熟考し、工事会社ときちんと話し合って進めること。
水道は素人が手を出せる領域ではないので、配管に関しては特に入念に話し合うことをおすすめします。
また、ミシン台はサイズが大きいわりに収納スペースが取りづらいため、実用性には「?」がつく印象は否めません。
この山小屋のように生活用品が少ない場所か、別に収納場所を確保できる物件でないと、あとあと不便さで後悔することになるかもしれませんね。
ちなみに、このブログではまだ触れていなかったかもしれませんが、鏡は柳宗理によるもの。
ヤフオクで送料込み「7,800円」で落札しました。
ふだんのマンションでは中に物が収納できるミラーキャビネットを選びますが、今回は実用性よりも見た目を優先し、こちらを採用しました。
ミシン台との相性もよかったと思います。
■第4位:トイレの丸窓
丸い形が印象に残るのでしょうか、トイレの窓も好評でした。
以前もご説明しましたが、これ、厳密に言えば、丸窓ではありません。
もともとこの山小屋に設置してあったふつうのサッシ窓の手前にDIYで壁を設けて丸い窓があるように見せているだけです。
前から丸い窓っていいなと漠然と思っていましたが、オーダーして特注するような余裕もなければ、ガラスを加工して窓を作る技術も気力もありません。
そんななかでの苦肉の策がこの丸くくりぬいた壁でした。
丸型にカットするのも東急ハンズで木材加工をお願いしたので、自分では大したことはしていません。
訪れる人に気に入ってもらえたのを見ると、これで十分だったのかなと思っています。
完成後はドライフラワーを飾ってアクセントにしています。
花のシルエットが映えてきれいです。
我ながら、このアレンジは気に入っています。
■第3位:階段に塗ったアイアン塗料
このブログではおなじみtoolboxが扱うシュペンパンザーの「アイアン塗料」。
木やプラスチックに塗ってアイアンのような質感を出せるのが魅力ですが、これを塗って既存の木製階段をアレンジした「なんちゃってアイアン階段」は、質感の面白さで興味を持っていただけたことが多かったです。
アイアン塗料はボッテリと重ね塗りし、最後にやすりがけすると、独特の凹凸が際立って独特の質感が出る塗料です。
もともとヨーロッパの建物などに用いられるロートアイアンを補修する塗料であり、屋外での使用も想定されているため、歩く場所に塗っても劣化しない塗膜の強さがありますから、階段にも安心して塗れました。
アイアンといえば、ブラックの印象が強いですが、カラーバリエーションは豊富でシルバー系やグリーン系、ブルー系やブラウン系の色もあります。
こちらはtoolboxのホームページから許可を得て転載させていただいた色見本。
実は今手がけているキッチンでは、カウンター部分に「シルバーグレー」を塗っています。
重厚なグレーといった趣の色合いで、これはこれで使い道がいろいろありそうだなと感じます。
安価な家具やミニチュアなどのアレンジにもうってつけです。
■第2位:天井裏に貼った木材「ヴィレ」
屋根裏のような二階の低い三角天井に貼った木材「ヴィレ」は、大工さんや建設業者さんなど、玄人の受けがよかった印象です。
写真を撮影してくれたカメラマンの邑口京一郎さんをはじめ「北欧っぽい」という感想をいただきますが、そのとおりで北欧のデザイナーによる北欧のパイン材を使った建材です。
が、それも後付けの知識でしかなく、僕自身はサンワカンパニーの建材リストの中から面白そうなものを選んだだけ。
照明が当たると独特の波型の形状が際立つのは計算でも何でもなく、完成後に気づいたうれしい驚きでした。
以前書いたとおり、この施工、とにかく大変でした。
この山小屋でいちばん辛かった作業は?と聞かれたら、このヴィレを貼る作業だと即答するくらいです。
作業中は「おれ、なんでこんなことDIYでやろうと思ったんだろう」と何度も後悔しました。
この天井は自分でも気に入っていますが「もう一度やる?」と言われるとちょっと……それくらい大変でした。
もし建設会社に注文できるくらいの予算的な余裕がある方には自信を持ってすすめたい、そんな建材です。
僕は天井に貼りましたが、壁に使ってもいいと思いますよ。
■第1位:一階の大きな窓
もっとも好評なのは一階に設けた大きなはめ殺しの窓だと断言できます。
玄関ドアを開けて室内を見た人のほぼ全員がこの窓に反応します。
この窓は小さな小屋の顔ともいえる存在です。
個人的には、この山小屋の価値は建物本体よりも緑豊かな環境にあると思っています。
この窓が切り取る景色は都心では得難い魅力だと自負しています。
狭くて狭いこの小屋を数字上の面積よりもぐっと広く感じさせてくれるのもうれしいところ。
既存の腰高の引き違い窓を撤去し、一枚ガラスの窓を設置するのはそれなりのお金もかかりましたが、ここは妥協しなくてよかったと思っています。
現場で会ったガラス屋さんが「こういう窓を設置する機会はなかなかないからうれしい」みたいなことを言ってくれたのには僕も感激しました。
とまあ、こんな具合にゲストから好評だったインテリアを列挙してまいりましたが、最後に「施主のアサクラは思い入れがあるけど、わりとスルーされがち」なインテリアもご紹介させてください。
モザイクタイルとひのき製タイルをミックスして張った一階の床です。
モザイクタイルと木製タイルをランダムに切り替えるというのは前から試してみたかったアイデアであり、個人的には非常に気に入っているのですが、すぐ前にある大きな窓のインパクトにかき消されるのか、ほぼほぼスルーされてしまいます。
なんというか、こういうこだわりポイントというのは施主の自己満足に終わりがちなので、本丸である世田谷のマンションを手がけるときは、ちゃんと冷静になろうと思いましたです、はい。