(311)【小さな家の小さな本棚⑬】『北欧インテリア見本帖』と「北欧に暮らす日本人の家」

インテリア

前回、リノベーション前のマンションの室内をご紹介いたしました。

今回は、新しい部屋のインテリアを考える上でヒントをもらった書籍をご紹介しようと思います。

『北欧インテリア見本帖』と「北欧に暮らす日本人の家」書影

北欧インテリア見本帖』(集英社、2017年)と「北欧に暮らす日本人の家」(『LEE』2018年11月号別冊付録)の2冊です。

前者は雑誌『LEE』の2014年12月号,15年11月号,16年12月号の別冊付録を抜粋・再編集した書籍です。

副題で「フィンランド、スウェーデン、デンマーク ALL現地ルポ」と銘打っているとおり、雑誌『LEE』では定期的に北欧各国の住まいを取材し、別冊として特集してきたのですが、それを再編集したのが本書です。

日本で「北欧特集」というと「リサ・ラーソン」や「マリメッコ」、「Yチェア」といったメジャーなアイテムにスポットが当たりがちですが、この本では現地の人々が実際にどんな部屋に暮らしているかが紹介されているのが興味深いです。室内の写真に加え、家族構成や平米数、間取り図なども紹介されているので、自分の家と比較してみるのも面白いかもしれません。37~70平米までの部屋に絞ったチャプターもありますので、日本の一般的なマンションの広さにも近くリノベーションを考える人には参考になるのではないでしょうか。

ちなみに、僕がこの本を知ったきっかけは同じく『LEE』の別冊である「北欧に暮らす日本人の家」に掲載されているお部屋でした。

原田浩行さんのお宅
「北欧に暮らす日本人の家」裏表紙より引用

「カウニステ(kauniste)」を主宰する原田浩行さんとミッラ・コウックネンさんのお宅です。

原田さんは日本人ながらフィンランドでミッラさんとともにテキスタイルブランドを立ち上げた方。以前、東京に開いた店舗(現在は閉店)を取材した際にはいろいろお話をうかがいました。配信先にまだ記事が残っていましたので、ご興味ある方はどうぞ。

【日本初出店!「カウニステ」のテキスタイルの魅力をたっぷりご紹介】

洗練されていながら尖るところない、どこかほっこり感を漂わせるテキスタイルの魅力については以前にこのブログでもご紹介しました。

原田さんのお部屋はモノトーンを基調にした室内で、ダイニングテーブルもDIYで黒く塗装したんだそうです。

このインテリアを背景にして部屋の随所に配されたテキスタイルがアクセントとして際立つという仕掛けです。

島塚絵里さんのお宅
※「北欧に暮らす日本人の家」表紙より引用

テキスタイルといえば、表紙に選ばれている部屋も素敵です。テキスタイルデザイナーの島塚絵里さんが建築家のご主人、二歳の娘さんと暮らす部屋ですが、自身がデザインしたというカーテンなどがシンプルな色合いの部屋に彩りを加えています。

シルヴァストご夫妻のお宅
※「北欧に暮らす日本人の家」裏表紙より引用

他にも、北欧で暮らす日本人の家が多数紹介されています。

「北欧に暮らす日本人の家」書影

雑誌の別冊付録なので新品での入手は難しいかと思いますが、一読の価値はあると思います。

Amazonで古本を入手する際には別冊付録の有無をしっかりと確認しましょう。

さて、この別冊をきっかけに手に取ったのが、以前の特集をまとめた『北欧インテリア見本帖』でした。

『北欧インテリア見本帖』書影

こちらも上述の付録と基本的に同じフォーマットで、「イケア(IKEA)」をはじめインテリア業界で働く人たちの部屋が大半を占めています。

アウニ・フオタリさんのお宅
※『北欧インテリア見本帖』表紙より引用

表紙に取り上げられているのはフィンランドのテキスタイルブランド「ヨハンナ・グリクセン」のスタッフの方のお部屋です。手前に見えているソファも「ヨハンナ・グリクセン」のテキスタイルで張り替えたんだそうです。古いチェストは存在感がありますね。

※『北欧インテリア見本帖』裏表紙
※『北欧インテリア見本帖』裏表紙より引用

それぞれのお宅で北欧ならではの家具や雑貨がどう配置されているかを見るのも楽しいのですが、個人的に興味深かったのは、それぞれのお部屋のベースとなる床や壁のディテールです。インテリアでいえば、いわば背景にあたる部分ですが、マンションのリノベーションを考えるにあたっては非常に参考になりました。

たとえば、巾木。最近の日本では、部屋に巾木を設けないのが流行りだという印象があります。

世田谷のマンションの壁と床

僕自身も、ざっくりとした雰囲気が好きで巾木のないインテリアの部屋を作ってきました。

でも、この本を読んで巾木や廻り縁といった装飾を設けた部屋の雰囲気も素晴らしいなとあらためて感じました。

巾木にモノトーンの柄物の壁紙を組み合わせるというやり方も試してみたいと思いました。柄物の壁紙はインパクトが強いので賃貸には使いづらいと思っていましたが、本書に紹介された壁紙の数々はどれも素敵です。

大きなペイズリー柄をあしらった壁(11ページ)、グレーの花柄の寝室(43ページ)、黒のドット柄やツリー柄の壁紙を張った子ども部屋(13,55ページ)など、どれも個性的ながらイヤな感じはありません。ぜひ本書を手に取って写真をごらんになってみてください。

思えば、うちのマンションでも壁紙をアクセント的に張ったことはありました。

世田谷のマンションのアクセントクロス

これはこれで気に入っていますが、もう少し主張の強い柄を選んで巾木と組み合わせれば、また雰囲気のちがう部屋になりそうです。

そのほか、今や日本でも定番となったヘリンボーンの床や、室内の一部にグレーの塗装を施してアクセントをつけるのにもトライしてみたいな、と。

「壁や床に柄や装飾を盛り込みつつ、モノトーンで落ち着いた雰囲気にまとめる」

今回のリノベーションではそんなインテリアを目指してみることにしました。

次回は、サンゲツのショールームに壁紙を見に行きます。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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