(31)ガラス、ヘリンボーン、和柄……モザイクタイル選びは悩ましい
仕事柄、いろんな建材に触れる機会がありますが、いちばん好きなのはタイルです。
一粒が数センチのモザイクタイルを組み合わせて、玄関の土間や水回りを飾るのは楽しいものです。
専門の業者に依頼すれば、ちょっとした施工でもあっというまに5万くらいふっとびますが、DIYで施工すれば意外にお金がかからず1万くらいで済むのも魅力です。
タイルというとDIY難度が高い印象もありますが、世田谷のマンションで何か所も貼っていくうちに、少しずつコツを覚えることができました。
黒のボーダータイルで仕上げた洗面や、
三角タイルを用いた玄関土間など、
やればできるようになるものです。
プロの仕事とはくらべものになりませんが、少し離れてみれば素人仕事とはわからないていどの出来ばえには仕上がります。
ですが、今回ほど広い範囲に施工するのは初めてです。
赤く囲ったところがタイルを貼る箇所。
シャワーブースの前から洗面までの床に加え、洗面背部の壁の途中まで貼ります。
もともと水回りと相性のいいタイルですが、ほかの部分の床材や壁材と貼り分けることにより、洗面(&脱衣所)のスペースをゆるやかに区切るのが狙いです。
これだけ広い範囲をDIYで貼るとなると、タイル選びにもいろいろな制約が出てくるのですが、とりあえずわきに置きましょう。
まずは「前から使ってみたいと思っていたタイルリスト」から、今回の洗面にマッチしそうなものを自由に挙げていきます。
まずは【 ニューヨーカーグラス 】から。
名古屋モザイクのショールームで見つけたガラスタイルです。
レトロなホテルを思わせるような色合いが素晴らしいです。
上品な雰囲気に仕上がりそう。
続いては【 デスポート 】。
こちらも名古屋モザイクで見つけました。
大ぶりの六角形のインパクトもさることながら、表面が凹面になっており独特の反射を見せるのも面白いです。
色のバリエーションも豊富で、モダンさとレトロさが同居するような雰囲気。
次は【 ジャポニカ 】です。
こちらは平田タイルのショールームで発見。
丸型のタイルにあしらわれた和柄の模様が個性的です。
陶磁器を思わせるブルーもいいですが、さりげなく柄が主張するホワイトも気になります。
最後は【 クローシェマーブル 】。
こちらは平田タイルのカタログに掲載されていて、一目で気に入りました。
フローリングではすっかりおしゃれスタンダードになった感のあるヘリンボーン模様ですが、モザイクタイルではまだまだ使われることも少なく、新鮮さを感じます。
ミニマムサイズと言えるほど一粒一粒が細かいことや、名前のとおり大理石を思わせるマーブル模様が特徴です。
思いついたものを挙げるだけでもキリがありません。
名前のとおり【 麻の葉 】をかたどったタイル(名古屋モザイク)や、
平田タイルの【 ニードル 】など、
使ってみたいリストはまだまだ続きますが、ひとまず先の4点に絞って具体的に比較検討しました。
今回の工事では、3つのポイントがタイル選びのカギとなってきます。
(1)施工面積が広い(=使用するタイルの量が多い)
(2)洗面の壁から床にかけて施工する
(3)洗面の水栓が壁付けである
まず(1)ですが、今回の施工面積はおよそ2.5平米強。
一般的なタイルは1シートが30センチ四方ですから、0.09平米ほど。
ざっと30シート近くは必要になります。
とすると、1シートあたりの価格差がそれだけ大きく響いてくることは考慮しなければならず、高額なタイルは選べません。
予算から逆算すると、せいぜい1シート千円強くらいが限度。
次に(2)ですが、今回は洗面から床にかけて施工するので、足で踏むことを想定したタイル選びが求められます。
最後の(3)は、施工上の難度の問題。
今回採用した水栓「ラベンナ」は、蛇口とハンドルを壁に直接付けるスタイルです。
したがって、タイルを施工する際に水栓まわりのタイルはカットする必要があります。
モザイクタイルのカットは形状や厚みによって方法や難易度が異なります。
プロの職人さんならともかく、素人の僕がDIYする以上、無謀なチョイスは避けて施工しやすいタイルを選ぶべきです。
以上の3条件と先に挙げた4つの候補を照らし合わせてみると……
残念ながら3条件を満たすタイルはひとつもありませんでした……。
素人が施工しやすくて値段もリーズナブル、しかも自分が気に入るものとなると、やはり簡単には見つかりません。
ならば、心機一転、新しい候補を探すことにしましょう。