(48)DIYではスキルやセンスよりもスケジューリングが断然大事

トラブルや失敗

小屋の内装をまるごと自分でやるとなると、ちょっとしたDIYとは次元のちがう困難に直面します。

工事前の室内

第26回では、作業環境をきちんと整えなかったせいで想像以上の不自由や苦労を味わう羽目になった経験を書きました。

今回は、作業環境以上に大事な問題=スケジューリングの大切さについて書こうと思います。

この山小屋の内装をDIYで手がけるにあたって、僕が心配していたのは「自分に十分なスキルがあるか」とか、「選んだ素材の組み合わせがうまくハマるか」とかでしたが、終わってみればそもそも心配するポイントがずれていたんだとわかります。

そんなことよりはるかに大事なのが「きちんとスケジュールが立てられるか」なのです。

第5回でも書きましたが、DIYで内装をやると言ってもプロにお願いしなければならない作業はたくさんあります。

うちの場合、DIY作業をサンドイッチするように、前後で業者さんのお世話になりました。

たとえば、2階の壁面の例で言うと、

(1)まず大工さんに窓を加工してもらったり壁を造作してもらい、電気屋さんに既存の設備の撤去などをおこなってもらいます。

大工さんに窓を作ってもらう

(2)次に僕がDIYで壁に木材を貼って塗装をおこないます。

DIYでオスモカラーを塗装

(3)最後に電気屋さんがスイッチやコンセントを設置しました。

電気配線

当然ながら、(1)と(3)については、事前に業者さんと日程をすりあわせ、スケジュールを決めておくことが必要になります。

すると、必然的にDIYに割く(2)の時間も、前もって決定しなければならないことになります。

ここで僕が犯した失敗は「早く完成させたいあまりタイトなDIYスケジュールを組んでしまった」ことでした。

もともと工事が始まる予定だったのは2018年の春過ぎだったのですが、業者さんの仕事が立て込んでいるということで、6月頃から外壁の工事が始まりました。

外壁工事の足場

外装と並行して、内部では大工さんによる壁などの造作が行なわれ、それが終わる頃に僕のDIYが始まることになります。

それが7月の半ばから後半くらいでした。

自分としては、なるべく早めに完成させて、年内のうちに山小屋を使ってみたいという焦りがあったのです。

そこで、DIYに充てる期間を(今思えば)ギリギリに設定してしまったのです。

具体的なスケジュールはこんな感じでした。

スケジュール

DIYにあてる期間をおよそ2か月と設定しました。

仇となったのが「中途半端にリノベーションの知識があること」でした。

いつものマンションの工事のスケジュール感覚を元に、2か月あれば余裕でできるだろうと思ったのですが、これが大きな間違い。

だって、マンションの工事日程はプロの職人さんがほぼ毎日作業することを前提に建てられているのです。

僕のような素人が暇を見つけて足を運び、探り探りで初めてのDIY作業に挑戦するのは天と地の差。

何度も書いたとおり「完成度に固執せず、ゆるく作業」しましたが、職人さんよりもはるかに遅く、クオリティの低い作業になります。

ちょっと考えればわかることですが、あのときはやる気と焦りで前のめりになっていて、「まあ、なんとかなるだろう」と安易にスケジュールを組んでしまったんです。

素人は怖い。

結果、スライスウッドの施工の回(第22,23回)やヴィレの施工の回(第25回)でも書いたとおり、僕の見通しの甘さが祟り、工事はとにかく押しに押して、スケジュールはずれこむばかり。

遅れを取り返すために、朝8時起床を7時にし、7時を6時にし、それもダメなら夜明けとともに作業を始め、日没までの作業も夜まで延長して無理をしました。

当然、疲れもたまるので作業も雑になってきます。

心に余裕もなくなってくるので全然楽しくありません

しかし、すでにDIY後の設備工事の予定は決まってしまっているので、やめることもできず泣きそうになりながら作業しました。

同じスケジュールでもう一度やれと言われても絶対にイヤです。

そんな僕の経験から学べる教訓があるとすれば「DIYのスケジュールは余裕を持って設定すべき」という(きわめて当たり前の)こと。

そもそも素人仕事なんですから、スケジュールなんて読めないのがふつうなんです。

となると、「とりあえずスケジュールなんて決めないでゆっくりマイペースにDIYに取り組む」のが正解だった気がします。

業者さんに電気工事や水道工事をお願いする必要があったとしてもDIYが完了してから発注すればいいんです。

週末だけ別荘を訪れてDIYをおこなおうと考えている人にはマイペースに作業することをおすすめしたいですね。

僕の場合は離れの工事だったので母屋で寝泊まりすることができました。

でも、たいていの場合、工事中は満足に寝る場所も確保できないでしょう。

寝袋など持ち込んだり車中泊したりと手段はありますが、それだとなかなか疲れも取れないはずです。

また、水回りの工事状況によってはトイレや入浴は外で済ませなければならなくなります。

「築古別荘を買ってDIYで直す」なんていう言葉に漂う優雅な雰囲気では済まされない、大変な作業になることもあるでしょう。

ときには、うんざりしてやめたくなるかもしれません。

でも、そういうときはやめればいいのです。

事前にムリなスケジュールを立てていなければ、工事を一時中止にすることもできます。

今年は寒くなってきたし、また来年にしよう……素人のDIYなんですから、それくらいのスタンスで楽しくやればいいと思います。

自分が立てたムリなスケジュールで苦しんだ僕からの自戒を込めた感想でした。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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