(76)DIYで輸入壁紙を貼って失敗したけど、振り返るとあきらめがついた
今回はこれをDIYで貼って失敗した話をします。
僕だって大して準備もせずにヘラヘラと臨んだわけではありません。
海外製の壁紙を貼る練習として、前回ご紹介した「WALPA(ワルパ)」でワークショップ「輸入壁紙貼り方教室」に参加したりもしました。
その模様については「日刊Sumai」の連載で詳しく書いたのですが、壁紙の貼り方の大まかな手順を簡単に振り返っておきたいと思います。
【1】ローラーで壁にノリを塗る
【2】壁紙を貼り、撫でハケで空気を抜く
【3】竹ベラでクセをつけ、カッターで切断する
【4】継ぎ目にジョイントローラーをかける
こんなふうに手順をまとめると簡単そうに見えるんですけど、いろいろと落とし穴はありまして。
ノリをしっかりと塗らないと壁紙がめくれ上がって継ぎ目がのぞいたり、
隣り合った壁紙がしっかり密着していないと継ぎ目がうっすら見えてしまったりするんです。
これらの失敗を踏まえた上で本番に臨んだのでありました。
実際の施工に入る前に、必要な壁紙の量の計算について触れておきましょう。
僕が選んだのは「コール&サン(Cole & Son)」の「ノーチラス(Nautilus)」です。
施工面積が大して広くない(ヨコ2.7メートル×タテ1.27メートル)こともあり、1ロールで余裕で足りると思い込んでいました。
ところが、WALPAのスタッフさんに購入時に聞いてみると、意外にギリギリだと判明。
というのも、僕が選んだ「ノーチラス」は柄がずれてリピートされる「ステップリピート」だからです。
こちらはWALPAのワークショップでいただいた資料。
無地や単調な模様の壁紙の場合、隣の列にそのまま続きを貼ることができます。
これが「ストレートリピート」です。
一方、「ステップリピート」の壁紙では、柄が斜めに繰り返されて貼られます。
柄に動きが出てダイナミックになりますが、柄合わせのために不要な壁紙が出てしまいます。
「ノーチラス」だとこんな感じ。
水色の枠で囲った部分がロスになる部分ですね。
このロスを考慮して必要な壁紙の量を計算しなければならず、なかなか複雑かつ面倒な計算で自分ひとりではどうしても不安。
こういうときはプロに相談するべきでしょう。
僕は壁紙を貼るスペースのタテ・ヨコの長さを現場の写真に書き込んでお店に持って行きました。
これを元にスタッフの方が必要な量を割り出してくれ、なんとか1ロールで収まるとわかりました。
実は「ノーチラス」は1ロールがおよそ3万円もする高級壁紙(!)
もしもう1ロール必要となると、計画そのものを見直す必要があったでしょう。
よかったよかった。
無事に壁紙の量も確定したところで、いよいよ実際の施工に入ります。
こちらが前々回に下地処理を済ませた壁。
まずは壁紙の上端を、壁の上部の柱に合わせます。
少し余裕を持って下側をカットします。
カットしたのがこちら。
これを貼るのに使うのが、「カベ紙用のり」とローラーとバット。
今回は後々はがすことを考えていないので「強力タイプ」を使いました。
価格:813円 |
バットにノリを絞り出し、
ローラーをつけて、
壁に塗ります。
塗りづらいところはハケを使います。
さて、この上に壁紙を貼るのですが、ここからが大変でした。
ノリを塗った石膏ボードは思ったよりも壁紙のくっつきがよく、位置の修正がけっこう難しいのです。
壁紙の上に壁紙を貼るワークショップでは位置の調整がしやすかった印象があり、この差に戸惑いました。
スキマを埋めようとずらすとシワが寄り、うまくいきません。
なんとかずらそうと苦戦しているうちに、指に接着剤が付着してしまいます。
その指でうっかり壁紙を触れてしまうと、壁紙の表面の柄がくっついてハゲてしまうことも。
あせっているうちにも接着剤はどんどん乾いてはがしにくくなります。
破れたりする大惨事が起きる前に、どこかであきらめて前に進まねばなりません。
作業中は予想以上にテンパってしまい、写真を撮る余裕すらなく悪戦苦闘。
なんとか貼り終えた状態。
さいわい、遠くから見てわかる露骨な大失敗はしないで済みました。
しかし、近寄ってみると失敗がいろいろ目について仕方ありません。
継ぎ目が目立つところや、
壁紙の表面がはがれて欠けたところ。
なかでもいちばんの失敗は、小窓の周辺。
見事に柄がズレズレです。
小窓の上下を挟んで貼った際に、平行がうまく取れなかったのか、隣の壁紙とどうやっても柄が合わなくなってしまいました。
泣く泣く、ずれた柄で貼った悲しさよ……。
作業を終えた直後は、ほんとに落ち込みました。
1ロール3万円の壁紙で失敗した……と。
やっぱり壁紙だけ職人さんに頼むべきだったかと後悔もしました。
少し時間が経ってから眺めても、自分では失敗したところばかりに目がいって、どうにも落ち込むばかり。
しかし、山小屋を訪ねてきてくれた人たちの感想を聞くうちに徐々に気分が変わってきました。
インパクトのある柄ということもあり、みなさん壁紙にはすごく反応するのですが、失敗した箇所にはほとんど気がつく様子がありません。
「実はここが失敗して…」という話もするのですが、みなさんあまりピンと来ない様子。
「目を凝らして隅々まで見たりしないよ」と言った人もいました。
そうなんです。
DIYをしてるときって目線が対象にめちゃくちゃ近いので、とにかく粗ばかりが目につくんです。
しかも、失敗は記憶にもはっきり残るから、少し離れて眺めても視線がそっちに引っ張られてしまうのです。
でも、「訪問した人はフラットな目で部屋全体を見るので、ちょっとやそっとの失敗には気づかない」んですね。
この事実、マンションの内見などでなんとなく気づいていましたが、自分でDIY(で失敗)してみて、はっきりわかりました。
おかげで、DIYを終えて半年以上経った頃には、僕自身もあまり気にしないで壁を眺めることができるようになりました。
なんといっても、お客さんのための山小屋。
ゲストが気にしないなら、それはそれで良かろうということです。