(108)「ゲスト用の別荘」を1年間運用してかかった光熱費などを振り返る
今年も残すところあと数日。
およそ一か月前に山小屋は冬支度を終え、お休みに入りました。
一年を振り返ると、今年はマンションの入居者さんや友人・知人に遊びに来てもらうことができたので、昨年がんばってリノベーションしたかいがあったなあ、と感慨深いです。
今回は、山小屋を「ゲスト用の別荘」として運営してきて「1年間でどれだけの光熱費や維持管理費がかかったか」詳しくまとめてみようと思います。
対象とした期間は、山小屋のリノベーションが完了した昨年の11月から今年の10月まで。
使用頻度の目安(訪問回数)は、だいたい年間24泊くらいとお考えください。
月にならすと2泊ほどですが、実際には12月~3月は冬休みのためゼロ、4月~11月は月2~4泊くらいで、計24泊といった感じです。
ゲストハウスとして見るとまだまだ少なめの使用頻度ですが、個人所有の別荘としてはけっこうな宿泊ペースだと思います。
なお、この山小屋の基本的な設備や広さなどについては、第12回「「週末スモールハウス」に必要な設備ってなんだろう?」をお読みいただければ、大まかな内容がおわかりいただけると思います。
【電気代は年間で「31,694円」】
では、電気料金から参りましょう。
20アンペアで基本料金858円。
ごらんのとおり、7月、8月、9月を中心に電気料金がかさんでいます。
避暑地の山小屋とはいえ、近年の夏の暑さを乗り切るにはエアコンの力を借りざるを得ません。
エアコンはそれなりに電気代を食いますから、これが主たる要因といっていいでしょう。
また、山小屋は夏場の湿気が強いので、24時間365日運転して室内を除湿するカライエ(途中まではルームドライヤー)を設置しています。
湿気の強い時期には、こいつががんばって稼働してくれたはずなので、それも増加分に影響していると考えます。
それ以外、大した電化製品はありません。
ホテルなどで見かけるペルチェ式の冷蔵庫は一年中電源がオンになっていますが、大した影響はないと思います。
あとは滞在中に、照明を点けたり、
ドライヤーを使用したり、換気扇を回したりはするでしょうが、これも滞在日数の少なさを考えると大きな影響はなさそうです。
ちなみに、60アンペアの母屋の電気代は年間6万円前後ですから、およそ2倍。
増築の結果ムダに広くなった母屋と、必要最低限のコンパクトな造りの離れの差が如実に出ています。
母屋は僕自身や家族、親戚も滞在しますから仕方ないと思ってはいますが。
【ガス代は年間で「17,005円」】
続いてはプロパンガスの料金。
ガスを使用しない冬場は、プロパン会社に依頼して停止してもらいます。
このあいだは料金がかからないのが助かります。
それ以外の月は、2,000円弱でだいたい一定しています。
使用しているガス器具は給湯器とガスヒーターです(キッチンはないので、コンロなどもありません)。
滞在日数が大して多くないせいか使用頻度も低く、どの月も基本料金の範囲内で収まった印象です。
3月と4月がやや多めですが、これは僕自身が試しに何度かシャワーブースを使用したためでしょうか。
まあ、100円~200円ていどの差ですから気にする必要はないでしょう。
母屋でも同様にプロパンガスを使用していますが、年間のガス代はおよそ3万円弱。
こちらはキッチンにガスコンロがありますし、お風呂では湯船を張ったりもしているためだと思います。
【水道代は年間「32,094円」(10,494円+21,600円)】
次は水道料金。
これについては、母屋と離れの小屋とは共通のメーターとなっているので、2軒分であることをお断りしておきます。
ごらんのとおり、料金は毎月同じで、基本料金に収まっています。
2軒分でもこれですから、別荘の水道料金はほぼ基本料金で済むようです。
「にしても、安すぎない?」と思われるかもしれませんが、これは「上水道」の料金のみだから。
下水道の整備されていない我が家では浄化水槽を設置していますから、下水料金はかからないのです。
かわりに浄化水槽の点検と清掃の費用「21,600円」がかかります。
水道料金と合わせると「32,094円」。
別荘によっては公共の水道が通っておらず、地下水をくみ上げる専用水道を使用している場合もあり、その場合は通常よりも高額になる場合もあるようです。
【通信費は年間で「71,146円」】
光熱費以外にも出費はあります。
なかでも高額なのが、通信費=固定電話の電話料金です。
水道料金と同じく母屋と共通で、無線Wi-Fiを飛ばしています。
ネット回線に伴うプロバイダ利用料も含みます。
山奥という立地のせいで、山小屋では、携帯電話は1つのキャリアしか通じません。
しかも、それも電波が不安定だったりします。
僕や妻のように別荘でも仕事したいとなると、時に大きめのデータをアップロードしたりする必要もあり、どうしても自宅と同程度のネット環境を整えねばなりません。
というわけで毎月6千円弱の通信料を払っています。
年間で「71,146円」はなかなかこたえる出費なのですが、無線LANでお客さんにもネットを快適に使ってもらえているのはサービスとして大事。
また、電話の子機も置いてあるので、電波の届かないキャリアを使用しているお客さんには、電話をかける必要がある際に使用してもらっています。
(ただし、母屋にかかってきた電話をお客さんが取ることのないように、着信音はミュートしてあります)
以上のように、個人だけで同じ通信費を払っていた過去とくらべると、通信費の費用対効果は高まってきていますし、今や不可欠な出費となりました。
もちろん「別荘では完全に仕事を忘れたい」という方なら、この通信費は不要になります。
【火災保険が年間で「19,774円」+固定資産税も】
以上に加えて、別荘を所有すると火災保険や固定資産税も支払う必要があります。
火災保険の金額は、2019年10月~23年10月までの5年間で「98,870円」。
1年あたりに換算すると「19,774円」になります。
厳密に言うと、うちの場合は火災保険にプラスアルファをしているので、若干お高めかもしれません。
プラスアルファと表現したのは、施設内でお客さんがケガをしたり、備品を破損したりした場合にも補償が適用される保険に入っているためです。
自分のためだけの別荘なら、もちろん不要です。
面積がぐっと広い母屋の火災保険とくらべてみましょう。
母屋は5年で「280,600円」、1年あたりでも「56,120円」です。
やはり面積の差が露骨に値段に反映されますね。
一方、固定資産税はというと、母屋も含めた全体でも「21,200円」。
世田谷でマンションを営む身からすると激安とすら思えます。
もしこのブログで紹介している10平米の小屋ていどを所有するだけなら、かなり安くなるでしょう。
軽井沢のようなステータスのある土地でなければ、別荘を所有した際の固定資産税については大した心配はなさそうですね。
【年間の光熱費などの合計は「192,913円」】
最後に、もう一度費用のおさらいをしましょう。
ぜんぶ合計すると、年間に「192,913円」でした。
別荘にネット回線を引く必要がなければ、通信費はまるまるカットできますし、固定資産税の母屋分を差し引けば、年間12万円くらいに収まる可能性はありそうです。
ということは、月々1万円で別荘が運用できるということになります。
この数字だけ見ると「安い」と思いがちですが、これはあくまでも最低限必要な金額であることをお忘れなく。
たびたび書いてきましたとおり、山奥の築古別荘というものはとにかく金食い虫で、毎年あちこち壊れます。
以前、「日刊Sumai」の連載でも書いたとおり、母屋ではこの10年で250万円の修繕費用を費やしてきました。
もし、築古の小屋を買って別荘代わりにしようと考える方がいらっしゃるなら、光熱費の心配をするよりも、毎年けっこうな修繕費が出て行くことこそ覚悟すべきだと思います。
「やっぱり別荘ってお金がかかる」
今年最後も代わり映えのしない結論にたどりついた次第です。
では、みなさま、良いお年を。